チェスター競馬場、入場者数激減のため酒類持込み禁止を見直し(イギリス)[開催・運営]
チェスター競馬場は、7月の場内酒類持込み禁止以来、入場者数が大幅に落ち込んだため、この措置を見直すことを約束した。
場内ブックメーカーは、8月中旬の会合において、競馬場役員に対し、この禁止措置によって、売上げが60%減少し、営業スタンドの価値が数千ポンド低下したと伝えた。このブックメーカーの圧力により、チェスター競馬場は禁止措置の見直しに着手することになった。
チェスター競馬場は、毎年8月の家族デーに約3万人の入場者を集めてきたが、今年は昨年と比較して約10%減少した。その一因は、ソーシャルメディア上で実施された入場拒否キャンペーンである。
チェスター競馬場のCEOリチャード・トーマス(Richard Thomas)氏は、オフシーズンに実施予定の見直しによって、酒類持込み禁止が撤廃されることはなさそうだと述べた。
8月22日も競馬を開催するチェスター競馬場は、引き続きこの禁止を課す以外に選択肢はないとしている。競馬開催日における市内の犯罪率上昇への警戒と、今年競馬場で婦人警官が負傷した事件が発生したことから、警察は酒類持込み禁止を継続しなければ競馬場での酒類販売に反対すると脅しをかけている。
場内ブックメーカーは、禁止措置は必要なく、競馬場に持込む酒量を制限するだけに留めれば、入場者数に打撃を与えることはないだろうと主張する。
会合に出席した北部ブックメーカー保護協会(Northern Bookmakers Protection Association)の代表2人のうちの1人で、場内に2つの営業スタンドを有するアラン・リグルスワース(Alan Wrigglesworth)氏は、次のように語った。「ちょうど、営業スタンド1つに付き2万ポンド(約370万円)を支払ったところです。禁止以前にその購買に同意しました。おそらく、今ではその価値は、支払った額の3分の1程度でしょう。売上げは、3分の2まで下落しました」。
2001年から1つの営業スタンドを運営しているグラハム・ソープ(Graham Thorpe)氏は、次のように語った。「酒類持込み禁止は、ブックメーカーに大きな影響を与えています。全体の売上げは60%減少し、営業スタンドの価値にも影響しています」。
「私たちの不安が理解されたこと、とりわけチェスター競馬場が禁止措置の見直しを約束してくれたことに、勇気づけられました。しかし、その一方で、彼らは禁止が撤廃される保証がないことも明確にしました」。
「禁止は我々場内ブックメーカーに痛手を与えていますが、以前のように営業スタンドに活気が戻るのであれば、禁止措置の見直し結果を待つつもりです」。
トーマス氏は、禁止以降、入場者数が30〜40%減少したことを認めたが、禁止措置に従う人々からは好意的な反応を得ていると語った。
そして、次のように付言した。「私たちは、アルコールに関して責任があり、逃れることはできません。この措置が収入面に影響を及ぼすのであれば、それを取り戻すために行動します。禁止措置の見直しは行われますが、直感的には、その撤廃の可能性は極めて低いと思います。我々は、この禁止措置を講じるように命じられたので、実施しました」。
By Graham Green
(1ポンド=約185円)
[Racing Post 2015年8月21日「Chester to review alcohol ban following layers’ protests」]