ゴールデンホーンとデットーリ騎手が凱旋門賞制覇(フランス)[その他]
トレヴ(Treve)の凱旋門賞(G1・2400m)三連覇は叶わず、歴史は塗り替えられなかった。凱旋門賞優勝の栄光を手に入れたのは、ゴールデンホーン(Golden Horn)と、この勝利に狂喜したフランキー・デットーリ(Frankie Dettori)騎手である。
フリントシャー(Flintshire)が昨年同様の2着、ニューベイ(New Bay)が3着、トレヴが4着となった。
あらゆる予測と憶測がなされたが、結果は実に明快なものであった。
ゴールデンホーンは、シャア(Shahah トレヴのペースメーカー)に他の15頭のどの馬よりも接近して追走していた。そして、最後の直線で動き出し、誰もが馬群の中にトレヴの姿を探している間に、抜け出した。
トレヴはゴール間際に外から追って来たが、勝馬を脅かすには勢いが足りなかった。ゴールデンホーンの馬主アンソニー・オッペンハイマー(Anthony Oppenheimer)氏は、「ゴールデンホーンは速い馬場であれば、トレヴを“簡単に”負かすだろう」と語り、議論を呼んでいた。
しかし、それは現実のものとなった。デットーリ騎手は観衆から大きな称賛を浴びた。今やゴールデンホーンは、英ダービー(G1)、エクリプスS(G1)、愛チャンピオンS(G1)、そして凱旋門賞を制したのだ。
凱旋門賞4勝を達成したデットーリ騎手は、次のように語った。「私はゴールデンホーンを心から信頼していました。彼はスーパースターのようにそれを成し遂げました」。
「見事なパフォーマンスでした。この1週間どう乗るか考えあぐねていましたが、最強馬に騎乗しているのですから、その能力を生かし、どれだけ優れた馬かということを世界に見せたかったのです」。
「おそらく、これまで騎乗した中で最高の馬です」。
デットーリ騎手は、レース序盤に14番枠から発走したゴールデンホーンを大外に出し、人目を引いた。同馬の関係者はレース前、この枠は不利だと考えたかもしれない。
ジョン・ゴスデン(John Gosden)調教師は次のように語った。「この枠を引いたとき、まずはじっと外を走らせて、自分のレースをさせてから、馬群に入り込ませることを考えていました。適切な位置を確保するためのこの計画は、最終的にとてもうまくいきました」。
「フランキーの“神騎乗”でした。彼はこのコースで卓越した騎乗を見せます」。
ゴスデン調教師にとって、凱旋門賞初優勝である。「フランスでの凱旋門賞優勝は、英国でのダービー優勝と同じくらい名誉なことです」と同調教師は付言した。
ゴールデンホーンの今後のプランは、レース後の体調の回復具合に掛かっている。しかし、ブックメーカーのベットフレッド社(Betfred)は、ゴールデンホーンをBCターフ(G1・10月31日キーンランド競馬場)の1番人気馬[オッズ4-5(1.8倍)]とした。
アブドゥラ殿下の陣営に不満なし
カリド・アブドゥラ(Khalid Abdullah)殿下が所有するフリントシャーとニューベイの今後のプランは、異なるかもしれない。
アブドゥラ殿下のレーシングマネージャーであるテディ・グリムソープ(Teddy Grimthorpe)氏は、次のように語った。「2頭とも素晴らしいレースをしました。不満はありません。良い位置取りで、道中の走りも良く、最後の直線では適切に動き、すべて完璧にこなしました。ただ、一番強い馬が勝ちました」。
「今後のプランは慎重に検討しなければなりません。フリントシャーはブリーダーズカップに挑戦するかもしれません。ニューベイについては、アンドレ・ファーブル(Andre Fabre)調教師と殿下に、意見を伺わなければならないでしょう。現役続行か引退かについて考慮しなければなりません」。
By Tony Smurthwaite
(1ユーロ=約135円)
[Racing Post 2015年10月4日「Glory for Dettori as Golden Horn wins Arc」]