キャッシュ・アスムッセン氏、凱旋門賞でのデットーリ騎手の騎乗を大絶賛(フランス)[その他]
今年もロンシャン競馬場で素晴らしい凱旋門賞(G1)を観戦した。多くの優良馬がその風格を見せつけた。しかし、特に卓越していたのは、フランキー・デットーリ(Frankie Dettori)騎手が乗ったゴールデンホーン(Golden Horn)だ。
ゴールデンホーンは、ひどい枠順(14番ゲート)にもかかわらず、大外を走ってから内側に寄って行った。すぐに好位置を確保し、トレヴ(Treve)のペースメーカーをうまく利用することができた。この枠順で大外に出すことは簡単だったが、ゴールデンホーンは頭を高く上げていた。通常であれば、ロンシャンの2400m戦で勝つのは不可能なゲート番だ。フランキーはスピードを落としたり馬群の後方につくのではなく、ゴールデンホーンは最後までスピードを溜めているだろうと考えつつ、落ち着かせるために馬なりに走らせる手段を選んだ。先行馬のすぐ後ろをつけるように走り出してから、ゴールデンホーンは落ち着き始めた。
そしてゴール300m手前で、ゴールデンホーンは“生き返った”。私は1991年にスアーヴダンサー(Suave Dancer)で凱旋門賞を制したとき、全く逆のことをした。先行馬群から少し離れ、後方に控えていた。しかし、枠順が良かったから、その冒険は報われたし、レース展開も今年の凱旋門賞より早かった。
レスター・ピゴット(Lester Piggott)氏は、ゴールデンホーンの全レースを見ており、「初めの頃ほどは掛かっていなかった」と話した。ピゴット氏は英ダービー(G1)の頃からすでに、「ゴールデンホーンは掛かる」という印象を語っていた。ゴールデンホーンにとって凱旋門賞は2回目の2400m戦だったが、フランキーは落ち着かせる術を心得ていた。ゴールデンホーンは最後の300mに差し掛かった時には素晴らしい状態であり、後はフランキーの思うがままだった。
トレヴは4着であったが、改めて本物のチャンピオンであることを見せつけた。ゆっくりとスタートし、展開が遅いレースで、少し外目を走っていた。「時間を戻すことができたらなぁ!」と考える。レース翌日はいつも、終わったレースについて良い作戦が立てられるものだ。私自身も現役時代そうだった。しかし最後に一言いうならば、トレヴはライバルとの戦いを決してやめなかった。だから我々は、彼女が改めて見せたチャンピオンたる風格を確かめることができた。
キャッシュ・アスムッセン(1991年凱旋門賞をスアーヴダンサーで制覇した元騎手)
By Cash Asmussen
[Paris Turf 2015年10月6日「Frankie a ete excellent」]