6重勝馬券“ジャックポット”、対象レースを複数開催に広げる(イギリス)[開催・運営]
ベットフレッド社(Betfred)は、トートジャックポット馬券(Tote Jackpot)の売上げの減少に歯止めを掛け、増加させるために、この50年間で最も大きな見直しを行った(訳注:ブックメーカーのベットフレッド社は2011年にトート社を買収し、その馬券発売事業を運営している)。
トートプール社(Totepool)の“戦略転換”により、10月13日からジャックポット馬券の対象6レースは1つの開催からではなく、当日施行される複数の開催から人気のレースが選ばれる。
ジャックポット馬券の的中を難しくすることにより、キャリーオーバーが繰り返され賭事プールが潤沢になって、的中者が出た場合には、少額の賭金でも人生を変えるような大当たりが出ることを、トートプール社は期待している。
ジャックポット馬券は1966年のロイヤルアスコット開催で初めて発売され、その後毎日提供されている。ただし、1999年にトートスクープ6馬券(Tote Scoop6)の発売が開始されてからの5年間だけは、土曜日の発売が停止されていた(訳注:スクープ6馬券は基本的に土曜日に発売されているが、重要な開催のときには土曜日以外の日に発売されることがある。複数の開催の中から、テレビ放映のある人気6レースを対象としている)。
2011年、デボン州ノーストウトンの暖房技術者であるスティーヴ・ホワイトリー(Steve Whiteley)氏は、わずか2ポンド(約370円)でジャックポット馬券史上最高の145万ポンド(約2億6,825万円)を的中させ、全国紙で報道された。
しかしそれ以降、ジャックポット馬券はスクープ6馬券の影に隠れてしまった。スクープ6馬券は、昨年5月に賭事プールが1,600万ポンド(約29億6,000万円)を超え、8人の的中者を億万長者にした。
ジャックポット馬券の実質的な運営者であるベットフレッド社は、次のように語った。「この馬券の売上げを盛り返すために新たな方策が必要です。近年英国で出走頭数が減少しているため、ジャックポット馬券の売上げは低迷しています。そして、このことが平均賭事プールと払戻金の減少につながっており、トートプール社はそれを上向かせることに専念しています」。
ベットフレッド社とトートプール社の社長であるマーク・ステビングス(Mark Stebbings)氏は次のように語った。「ジャックポット馬券は目を引くような高額配当が出るかどうかに掛かっています。残念ながら、近年それは十分に出ていません。この馬券を幅広い層に向けて最大限に売り込むためには、多額の賭事プールと高額配当が必要です。ジャックポット馬券で億万長者が出てほしいと思っています」。
「対象レースを1つの開催に限定しないことは、大きな転換になるでしょう。我々が実施した調査によれば、この措置はジャックポット馬券の活性化につながります。1,500万ポンド(約27億7,500万円)の高額配当を出したスクープ6馬券は、英国のプール賭事で何が実現できるか証明しました。私たちも賭事客を少しばかり夢見るような気持ちにさせたいと思います」。
「毎日のジャックポット馬券をもっと難解なものにしても良いと考えています。それは賭事客の利益となり、この馬券をもっと面白いものにするでしょう」。
チェルトナムフェスティバルやロイヤルアスコット開催のような特別なイベントにおいては、ジャックポット馬券の対象6レースはその開催のみから選択され、選択範囲が複数の開催に広げられることはない。
ステビングス社長は、ジャックポット馬券を的中しにくくすることは良いが、難しすぎて客離れを起こさないように、バランスをとらなければならないと語った。
そして次のように付言した。「今後は、ジャックポット馬券を的中させるために複数の開催のレースを検討しなければなりません。この対象範囲の拡大により、この馬券はより難しいものになりますが、的中は不可能ではありません。適切なバランスをとることが不可欠です」。
「刷新されたジャックポット馬券を幅広い層に売り込む機会を探る任務を、マーケティングチームに託しました」。
ジャックポット馬券のその他の点については変更はない。最低発売金は引き続き、場外で1ポンド(約185円)、場内で2ポンド(約370円)である。ジャックポット馬券の対象6レースでは、プレイスポット馬券も発売される。
By Bill Barber
(1ポンド=約185円)
[Racing Post 2015年10月9日「Jackpot set for major overhaul in bid to arrest decline」]