競馬界、ブックメーカーからの賦課金提案を拒否(イギリス)[開催・運営]
競馬界は、オンライン賭事業者上位10社の内の6社が行なった任意資金提供の提案を拒否した。10月31日、第55次(2016-2017年度)賦課金計画の会議の決裂を受け、これらのオンライン賭事業者はこの拒否について不可解なことと評した。
賦課金計画についての決定は、今やジョン・ウィッティングデール(John Whittingdale)文化・メディア・スポーツ大臣に委ねられた。英国競馬界の主要な資金調達メカニズムの1つについての決定が政府に委ねられるのは、2010年以来のことである。
10月31日のランチタイムに、賦課金計画についての最終提案がなされた。ブックメーカー大手4社のベットフレッド社(Betfred)、コーラル社(Coral)、ラドブロークス社(Ladbrokes)、ウィリアムヒル社(William Hill)に加え、ベット365社(Bet365)とスカイベット社(Sky Bet)は、現在賦課金が課されていない海外競馬賭事から、今後3年間で3,000万ポンド(約55億5,000万円)の提供を保証した。しかし、競馬界はこれをあまりに低額であるとして拒否し、通常の法定賦課金についての提案も拒否した。
これと併せて、いくつかの賭事業者はオンライン賭事からの資金提供について見直案を提示していた。オンライン賭事に関しては現在、海外に拠点が置かれていることから賦課金が課されていない。
競馬界は、任意資金提供と通常の法定賦課金は表裏一体で結びついているという見解を表明した。そして法定賦課金の提案を受け入れるためには、海外賭事についての協議から満足できる結果が引き出されることが必要であると明言した。
ベット365社以外の5社の共同声明文には、次のように記されている。「競馬界が私たちの提案を拒否したことに失望しています」。
「私たちは競馬界に対し、海外賭事から多額の資金提供の受取りを開始するとともに、海外で賭事を提供する賭事業者を新たに賦課金プロセスに参加させる唯一の機会を提供しました」。
「私たちの見解では、3年間で3,000万ポンド(約55億5,000万円)の追加提供は、寛大かつ公正な提案だと考えています。私たちは競馬改善に向けた要求に応じるために、この資金提供を提案したのですが、それを無作法なやり方で拒否するとは不可解です」。
声明文は次のように続く。「現実的に、ブックメーカーからの賦課金収入、最近合意された画期的なメディア権の収入、競馬界のスポンサーからの相当な収入を組み合わせて考えると、なぜ混乱が起き、その解決のためにこの案件が政府に送られるか理解しがたいことです」。
「今回の拒否により、私たちが要求を満たすためにできることはほとんど無くなり、長期的に競馬界に対して役立つことはできません」。
ブックメーカー委員会(Bookmaker Committee)のマイク・オケーン(Mike O’Kane)委員長もこの海外賭事についての議論における重要人物であるが、失望を表明した。
同氏は次のように語った。「ブックメーカー委員会は、ブックメーカーと競馬界が直面している課題を現実的に取り扱うために、有意義な議論を行いました」。
「競馬界は、通常の法定賦課金、メディア権、スポンサー料から収入を得ており、これらの資金源はすべてブックメーカーです。この収入は毎年増加しているのに、競馬界はさらに賦課金収入の増加を望んでいます。競馬界はこのことを認めなければならないと、私は考えています」。
「この決裂は、競馬産業と賭事産業の関係が一体いつになったら安定期に入り、双方が利益を享受できるのかという点において、より不確実性をもたらします。ブックメーカー委員会は、決定に向けて準備している文化大臣を支援するために全力を尽くします」。
By Bill Barber
(1ポンド=約185円)
[Racing Post 2015年11月2日「Bookies say levy offer rejection by racing is inexplicable」]