セリ会社、付加価値税率引上げの影響が購買者に及ばぬよう工夫(アイルランド)[生産]
アイルランドの新しい付加価値税率の影響を受けるサラブレッド購買者のために、ゴフス社(Goffs)とタタソールズ・アイルランド社(Tattersalls Ireland)は協力して、一般的な“申告様式”を作成した。
馬の販売および馬産業関連のサービス提供に課される標準付加価値税率について、“アイルランドは英国やフランスに対し競争上有利になっている”と欧州司法裁判所(European Court of Justice)が裁定したことで、アイルランドの税率は2015年1月1日以降4.8%から9%に引上げられた。英国とフランスでは馬販売に課される付加価値税率は現在20%である。
しかし、農業に関連する者が農業生産の目的で馬を購買する場合は4.8%の税率が適用される。
ゴフス社のCEOヘンリー・ビービ(Henry Beeby)氏は次のように語った。「購買者がこの税率変更に適切に対処できるよう、ゴフス社とタタソールズ・アイルランド社は取り組んできました。新しい税制がサラブレッド産業に影響を及ぼさないことを確信しています」。
「新しい税制を知っているかどうか確認するために、私たちは購買者のもとに出向き話し合っています。そして購買者の税の申告を簡素化する一般的な申告様式をタタソールズ・アイルランド社と共同で作成しました」。
「アイルランド政府は新しい命令を遵守していますが、それが馬産業に悪影響を与えるとは私たちは考えていません」。
「アイルランドの付加価値税率はまだとても有利であり、しかもいくつかの要件を満たせば購買者は引上げられた税率で支払う必要がありません」。
タタソールズ・アイルランド社のロジャー・カシー(Roger Casey)社長は、新しい税率適用後もなおアイルランドの馬産業には競争力があるということについて同様の見解を示した。そしてアイルランド・サラブレッド生産者協会(Irish Thoroughbred Breeders’ Association:ITBA)は公平な立場を維持するために取組んできたと付け加えた。
「欧州連合(European Union)を満足させ、かつアイルランドの競争力を維持するために、ITBAとその事務局長シェーン・オドワイヤー(Shane O’Dwyer)氏は長年真剣に取り組んできました。そして最高の結果を出したと思います。今はできる限り簡単な方法でそれを実施することが課題です」とカシー社長は語った。
セリで購買を行う競走馬の馬主などには付加価値税率9%が適用されるが、大半の生産者やピンフッカーは引上げ後の税率は適用されないだろう。しかし、どちらかわからない購買者は、会計士あるいは税務顧問に助言を求めることが勧められている。
カシー社長は次のように語った。「税率は購買者によって決まり、購買者が提出する申告書に左右されます。購買者が農業従事者であれば税率は4.8%のままです。そうでなければルールどおりで、(4.8%とした)申告書を受け取るまでは9%の税率が適用されます」。
馬販売での付加価値税の変更に加えて、種付料には13.5%の付加価値税が課されることになる。しかし種牡馬を供用する牧場が株式会社でない場合、この税は適用されない。
By Katherine Fidler
[Racing Post 2015年1月7日「Sales companies join forces to act on VAT increase」]