2018年ブリーダーズカップはチャーチルダウンズ競馬場で開催(アメリカ)[開催・運営]
ブリーダーズカップは2018年、2011年以来初めてチャーチルダウンズ競馬場(ケンタッキー州ルイビル)に戻ってくる。この合意は4月25日に同競馬場で発表された。
チャーチルダウンズ競馬場がブリーダーズカップの開催地となるのは、1988年に初めて同競馬場でブリーダーズカップが開催されてから通算9回目である。2018年ブリーダーズカップは11月2日と3日に開催予定であり、NBCスポーツ(NBC Sports Group)がテレビ中継する。
ブリーダーズカップ協会(Breeders' Cup Ltd.: BCL)のビル・ファリッシュ(Bill Farish)会長は、「チャーチルダウンズ競馬場で再びブリーダーズカップが開催されることに、大変興奮しています。同競馬場はブリーダーズカップの国際イベントとしての価値を高め続けるでしょう。BCLとチャーチルダウンズ社(Churchill Downs Inc.: CDI)が一緒に取り組むことで、2018年ブリーダーズカップが大成功を収めることを確信しています」。
2011年以来、チャーチルダウンズ競馬場は"顧客の満足度"に重点を置いた設備改良に約6,700万ドル(約73億7,000万円)を投資している。クラブハウスを改装し、ウィナーズサークルに近いラウンジエリア、グランドスタンドのテラス席、ルーフトップのラウンジエリア、超高級エリアの"ザ・マンション"を新設し、向こう正面に世界最大の高解像度の大画面"ビッグボード"を設置した。
CDIのケヴィン・フラナリー(Kevin Flanery)理事長は、2018年にブリーダーズカップが戻ってくるまでに、さらに設備改良が行われるだろうと述べた。
そしてこう語った。「常に改善を志しています。顧客の満足度に重点を置きつつ、我々は満足の行く体験を提供しているかどうか自問してきました。私たちはチケットではなく体験を売っているのです。目標に達していると確信していませんので、何らかの取り組みを実施していくでしょう」。
チャーチルダウンズ競馬場は2010年、ブリーダーズカップ史上において、最多の入場者数(11万4,353人)を記録したほか、最高の場内パリミューチュエル賭事総売上げ[2,251万ドル(約24億7,610万円)]と、最高の賭事総売上げ[1億7,385万ドル(約191億235万円)を達成した(訳注:ブリーダーズカップは以前1日開催だったが2007年から2日開催となり、これらの数字は2日間のトータルである)。
関係者の間では、2018年までにブリーダーズカップへの関心は高まるので、チャーチルダウンズ競馬場で再び記録が樹立されると考えられている。
BCLの理事たちは昨年、初めてキーンランド競馬場(ケンタッキー州レキシントン)で開催された2015年ブリーダーズカップは、コミュニティーの参加と顧客サービスに関する流れを作ったと語った。そして、今後のブリーダーズカップ開催場(2016年サンタアニタパーク、2017年デルマー、2018年チャーチルダウンズ)における原型モデルとして役立つだろうと述べた。
ルイビル市のグレッグ・フィッシャー(Greg Fischer)市長はこう語った。「私たちは長年、2018年ブリーダーズカップ開催に向けて取り組んできました。競馬界において、ルイビルのような市は他にありません。CDIとBCLがこの数年間有意義な話し合いを重ねてきたことに感謝します」。
フィッシャー市長は「ルイビル市は2011年からホテルの客室を50%増加させ、観光客の市内での満足度を向上させるために取り組んできました」と語った。
そして、「ルイビル市民は首を長くして、ブリーダーズカップが帰ってくるのを待っていました。2018年に我々は記録を打ち立てるでしょう」と付言した。
BCLとCDIの理事たちは、2011年から両社の間で軋轢があったとするのは事実無根であり、ブリーダーズカップはもうすぐチャーチルダウンズに戻って来ると述べた。
フラナリー理事長はこう語った。「私たちは長年、BCLと良好な関係を築いてきました。そしてブリーダーズカップを再び開催する意思があることを伝えました。私たちはすべての人々に、両社の話し合いの扉はいつも開いていることを理解いただきたいと思います。BCLが次の開催場を探そうとしているときに、私たちはいつも手を挙げてきました。彼らは私たちが興味を持っていることを分かっています」。
チャーチルダウンズ競馬場は昨秋、2018年ブリーダーズカップ開催地に立候補することをうっかり認めてしまった。
ケンタッキー州議会は、ブリーダーズカップとその開催場に対する州税を免除する法案を何度か通過させてきた。しかし、直近で成立した減免措置は2017年に失効する。BCLのクレイグ・フレイヴェル(Craig Fravel)理事長は、関係者は2018年ブリーダーズカップの前に同様の法案を通過させるよう求めていくだろうと語り、「この記者会見が終われば、まず着手することの1つです」と付言した。
フラナリー理事長は「ロビー活動が始まるとはいえ、2017年1月に始まる議会が法案を提出する最初の機会となるでしょう」と述べた。
BCLとCDIが締結したのは1年契約である。BCLの理事たちは「1つの競馬場が連続してブリーダーズカップを開催していた時期もありましたが、今後は1年契約が主流となるでしょう」と述べた。フレイヴェル理事長は、「ブリーダーズカップを開催できる競馬場は5~6場ありますが、ブリーダーズカップを開催したことのない競馬場が今後候補地として考慮されないというわけではありません」と語った。
そして同理事長は、「ストロナックグループ(Stronach Group)はこれからもブリーダーズカップを開催したいと考えており、同グループが所有するメリーランドジョッキークラブ(Maryland Jockey Club)はローレルパーク競馬場の大規模な改装工事を実施しています」と述べた。ストロナックグループのCOOのティム・リトヴォ(Tim Ritvo)氏は「ストロナックグループはメリーランド州で初めてブリーダーズカップを開催することに、大変興味を持っています」と語った。
フレイヴェル理事長は、「NYRA(ニューヨーク競馬協会)は経営体制が最終的に決定すれば、再びブリーダーズカップを開催する構想を抱くでしょう。また、キーンランド競馬場が再びブリーダーズカップ開催地として立候補することを期待しています」と付言した。
2019年ブリーダーズカップ開催地は今年のブリーダーズカップ終了直後に発表される予定である。
By Tom LaMarra
(1ドル=約110円)
(関連記事)海外競馬ニュース2015年No.13「ケンタッキー州、ブリーダーズカップへの優遇税制措置法が成立(アメリカ)」
[bloodhorse.com 2016年4月25日「Breeders' Cup to Churchill Downs in 2018」]