ファシネイティングロック、宿敵ファウンドを下して凱旋門賞を目指す(アイルランド)[その他]
タタソールズゴールドカップ(G1・5月22日カラ競馬場)1m2½(約2100m)4歳以上
ファシネイティングロック(Fascinating Rock)はファウンド(Found)との対決を制し、昨年の英チャンピオンS(G1)優勝に続き、大きな勝利を手にした。ファウンド陣営のバリードイル勢(Ballydoyle)とライアン・ムーア(Ryan Moore)騎手は、この日はすでに同じく1番人気でG1レースに臨んだマインディング(Minding)が惜敗していたので、2回目の失望を味わっていた。
一方、ファシネイティングロックに騎乗したパット・スマレン(Pat Smullen)騎手は、自身の39回目の誕生日を3馬身3/4差の勝利で祝った。同馬は残り3ハロン(約600m)からスピードを上げ始め、ファウンドとムーア騎手を置き去りにした。
ムーア騎手は残り2ハロン(約400m)でファウンドに合図を送り仕掛け始めたが、オッズ8-15(1.53倍)の一番人気を背負った同馬は、最後の1ハロン(約200m)で明らかに苦戦していた。ファシネイティングロックは、全く同じ距離のムーアズブリッジS(G2・5月2日カラ競馬場)においてファウンドに大敗を喫していたが、このレースで勝ってエイダン・オブライエン(Aidan O'Brien)厩舎の才能あふれる牝馬との対戦成績を2勝1敗とした。
スマレン騎手はこう語った。「ファシネイティングロックは本当に素晴らしい馬です。このレースで良いパフォーマンスを見せると考えていました。大きくてがっしりした馬です。私たちは雨乞いをしていましたが、本当に降ってくれました。彼は今や成熟しており、馬場では安定感があります」。
目標は愛チャンピオンS(G1)と凱旋門賞(G1)
この日すでに、愛1000ギニー(G1)でマインディング(Minding)がオッズ4-11(1.36倍)の一番人気を背負いながら頭差で負けて、オブライエン調教師とムーア騎手のコンビは敗北を味わっていた。しかし、マインディングが最後の直線でずっと対抗馬を脅かしていた一方で、ファウンドは不良に近い重馬場においてファシネイティングロックにとって本当の脅威とはならなかった。
馬場状態のために、有力馬のタイムテスト(Time Test)やザグレイギャッツビー(The Grey Gatsby)はこのレースを回避した。しかし、ダーモット・ウェルド(Dermot Weld)調教師が管理する5歳馬ファシネイティングロックは、このひどい馬場状態で、自身が欧州で最高クラスの中距離馬であることを証明した。
ボイルスポーツ社(BoyleSports)は4月、ファシネイティングロックのプリンスオブウェールズS(G1・ロイヤルアスコット開催)でのオッズを6-1(7倍)とし、ベットウェイ社(Betway)は同レースでのファウンドのオッズを11-2(6.5倍)に下げていた。2015年仏ダービー(G1)優勝馬ニューベイ(New Bayアンドレ・ファーブル厩舎)には、おおむね5-1(6倍)のオッズが付けられている。
しかし、ウェルド調教師は出走馬確定前の賭けをしようと考えている賭事客にこう忠告した。「ファシネイティングロックはステップレースを素晴らしくこなしましたが、馬場状態が重要となります。本当に素晴らしい馬です。(プリンスオブウェールズSには出走させずに)休養させて、愛チャンピオンSと凱旋門賞を目指します」。
[訳注:この発言を受け、各ブックメーカーはプリンスオブウェールズSの出走馬確定前の賭けからファシネイティングロックを取り下げた。その代り、5月24日にイスパーン賞を圧倒的強さで制覇した日本馬エイシンヒカリにおおむね2-1(3倍)のオッズが付けられている]。
ラドブロークス社(Ladbrokes)において、ファシネイティングロックは凱旋門賞で20-1(21倍)のオッズが付けられている。[訳注:なお、エイシンヒカリは凱旋門賞でおおむね8-1(9倍)のオッズがつけられている]。
By Stuart Riley
[Racing Post 2016年5月22日「Fascinating Rock blows Found away in Gold Cup」]