BCスプリント優勝調教師マリア・ボレル氏に動物虐待罪の逮捕状(アメリカ)[その他]
ケンタッキー州農務省職員は6月29日、ケンタッキー州中部の121エーカー(48.4ha)の牧場に43頭の馬を放置したとして、マリア・ボレル(Maria Borell)調教師とその父チャールズ・"チャック"・ボレル(Charles "Chuck" Borell)氏を第2級動物虐待罪で告発した。
ケンタッキー州の獣医師ロバート・スタウト(Robert Stout)博士によれば、チャック氏は拘束されてマーサー郡保安官事務所に引き渡され、また、マリア氏には逮捕状が出された。
ケンタッキー州修正法525.130によれば、第2級動物虐待罪はA級軽犯罪である。
69歳のチャック氏は6月29日、マーサー郡の牧場に姿を現したが、門が施錠されていたため中に入ることができなかった。同氏はその後まもなく拘束され、ボイル郡の拘置所に勾留されている。尋問は7月5日にマーサー郡裁判所で実施される予定。
スタウト博士は、ボレル親子には放置された馬への保護義務があると判断されたことから、告発を決定したと語った。
この事件を取り扱う農務省捜査官のシェーン・ミッチェル(Shane Mitchell)氏はこう語った。「捜査は進行中であり、さらに明らかにしなければならない点があります。しかし、チャック・ボレル氏とマリア・ボレル氏の両者を告発するのには十分な証拠があります」。
「捜査官はマリア氏の所在を特定しようとしています。そのうち彼女は拘束されるでしょう」。
農務省職員は6月初旬から、ボランティアや馬関連団体とともに放置された馬を世話しているが、そのうちの数頭の健康状態は不良である。
USレーシングコム社(USRacing.com)のマーガレット・ランサム(Margaret Ransom)記者は、これらの馬の悲惨な状況をこう伝えている。「この牧場はチャック氏により賃借されていた。娘のマリア氏は昨年、ギャラリーファーニチャーステーブル(Gallery Furniture Stable)のランハッピー(Runhappy)を管理し、BCスプリント(G1)で優勝した。しかしその後すぐに、同ステーブルから解雇され、オーナーのジェームズ・マキングヴェール(James McIngvale)氏に対して訴訟を起こした」。
「放置された馬の所有者はマリア氏かその父親、あるいはその両方と思われる。しかし、彼らはこの数ヵ月間、これらの馬の所有権やその保護義務の所在について揉めていた」。
6月27日に、ヴィクトリア・キース(Victoria Keith)氏がフォックスヒル牧場(Fox Hill Farm)のウェブサイトに、放置された馬の写真を掲載したことから事態は急展開した。キース氏と同牧場の所有者リック・ポーター(Rick Porter)氏は、馬を移動させるための支援を約束した。
同日、獣医師チームは立入り調査を行い、各馬を診察した。そしてその翌日、高度な治療が必要な6頭の移動を開始した。このほか、3頭が衰弱、10頭が低体重、14頭が標準体重、8頭が過体重と診断された。
高度な治療が必要とされた6頭は、レキシントン近郊のブラックバーン矯正施設にあるサラブレッド引退馬基金(Thoroughbred Retirement Foundation)に輸送された。
州当局職員はチャック氏が拘束される前、放置された馬を移動させるかどうかなどについて決定するために、馬の所有者を見つけて連絡しようとしていた。
なお、レキシントンから40マイル(約64km)の場所にある事件のあった牧場は、49万9,900ドル(約5,249万円)で売りに出されている。
By Ron Mitchell
(1ドル=約105円)
[bloodhorse.com 2016年6月29日「Borells Charged With Animal Cruelty」]