優秀な種牡馬クワイエットアメリカン、30歳で死亡(アメリカ)[生産]
30歳のクワイエットアメリカン(Quiet American父ファピアノ)は、安楽死措置により死亡した。同馬は、1998年にケンタッキーダービー(G1)とプリークネスS(G1)を制し二冠を達成したリアルクワイエット(Real Quiet)の父である。
ダーレーのジョナベル牧場(Jonabell Farm ケンタッキー州レキシントン近郊)で供用されていたクワイエットアメリカンは、2013年に種牡馬生活から引退していた。勝馬デミュア(Demure 父ドクターフェイガー)を母とする同馬は、現役時代はモハメド殿下に所有されていた。
ゴドルフィン米国支社のCOO(最高執行責任者)ダン・プライド(Dan Pride)氏はこう語った。「クワイエットアメリカンは、誰もが所有馬に望むような、競走馬および種牡馬としての偉業を達成し、長く幸せな一生を過ごしました。彼の卓越した能力は、その産駒を通じて受け継がれることでしょう。私たちのお気に入りの馬でしたし、多くの競馬ファンに愛されていました。彼がいなくなって、誰もが寂しい思いをするでしょう」。
タータン牧場(Tartan Farmフロリダ州)が生産したクワイエットアメリカンは、今年の4月29日に30歳の誕生日を迎えた。同馬は1987年ファシグ・ティプトン社ケンタッキー秋1歳セール(Fasig-Tipton Kentucky Fall Yearling Sale)において、ダーレースタッドマネージメント社(Darley Stud Management)により30万ドル(約3,150万円)で購買された。
2歳時と3歳時にはわずかな数のレースにしか出走しなかったクワイエットアメリカンは、4歳時(1990年)に突然活躍し始めた。NYRAマイルH(G1・現シガーマイルH)を制し、サンディエゴH(G3)で偉大なアルゼンチン産牝馬バヤコア(Bayakoa)を下し、ウッドワードH(G1)とチャールズHストラブS(G1)で2着となった。引退後はマクツーム殿下のゲインズボロー牧場(ケンタッキー州ヴァーサイルス近郊)で種牡馬入りした。しかしマクツーム殿下の死去をうけ、ダーレーが種牡馬事業をジョナベル牧場に統合したため、2007年初めに同牧場に移動することになった。
クワイエットアメリカンは種牡馬として、3年目の産駒までで14%のステークス勝馬を出し、早い時期から頭角を現した。初年度産駒に1997年最優秀古牝馬のヒドゥンレイク(Hidden Lake)、3年目の産駒に1998年最優秀3歳牡馬リアルクワイエットがいる。リアルクワイエットはベルモントS(G1)で鼻差の2着となり三冠を逃した。
他に活躍したクワイエットアメリカン産駒には、G1馬のスウィッチ(Switch)、シアトルスムーズ(Seattle Smooth)、カララファエラ(Cara Rafaela)のほかに、英国とアイルランドのハンデ戦でトップハンデを背負ったウォリアークイーン(Warrior Queen)がいた。G1を数回制したスウィッチは、2012年ファシグ・ティプトン社ケンタッキー11月セレクト混合セールにおいてモイグレアスタッドファーム(Moyglare Stud Farm)により430万ドル(約4億5,150万円)で購買された。
クワイエットアメリカンの種付料は最高で3万5,000ドル(約368万円)であった。ブラックタイプ勝馬54頭を送り出し、産駒獲得賞金は6,400万ドル(約67億2,000万円)以上となった。
ブルードメアサイアー(母父)としては、クワイエットアメリカンの牝馬は、今年これまでの6頭も含め83頭のブラックタイプ勝馬(うち33頭が重賞勝馬)を送り出し、クワイエットアメリカンを母父とする馬の獲得賞金は9,500万ドル(約99億7,500万円)以上に上った。中でも最も優秀なのは、同じジョナベル牧場で供用されている2006年最優秀3歳牡馬で優良種牡馬のバーナーディニ(Bernardini)と、2005年の年度代表馬セントリアム(Saint Liam)である。
By Blood-Horse Staff
(1ドル=約105円)
[bloodhorse.com 2016年10月14日「Quiet American Euthanized at 30」]