チェスター競馬場、全出走馬に400ポンドを提供(イギリス)[開催・運営]
チェスター競馬場で、英国競馬史上最大の出走手当計画が実施される。同競馬場は1月13日、今年出走する全ての馬の馬主に対して、1回の出走につき少なくとも400ポンド(約6万8,000円)を受領できるようにすることを約束した。
ロイヤルアスコット開催の大幅な賞金引上げの発表後すぐに、この計画の実施が発表された。この計画は、大手グループに属さず独立したチェスター競馬場にとって、約25万ポンド(約4,250万円)の負担となるが、他場に向かいそうな馬を引き付ける方策の1つとして発足した。
どの馬主も400ポンド(約6万8,000円)以上を受け取って、チェスター競馬場を後にすることになる。
BHA(英国競馬統轄機構)のルールの下では、馬主は賞金額の8%を調教師、6%を厩舎、6%以上を騎手に配分することが義務付けられている。
チェスター競馬場は昨年12月、馬主協会(Racehorse Owners Association:ROA)の年次表彰式で英国最高の競馬場に選ばれた。昨年この計画が実施されていたとすれば、同競馬場は15万8,165ポンド(約2,689万円)の支出を要していただろう。昨年BHAは、ブックメーカーの任意資金提供を利用して4着〜8着馬へ賞金を提供していたが、現在この措置は消滅しかかっている。このことがチェスター競馬場に、2015年には必要なかった400ポンドの支給を実施するきっかけとなった。
チェスター競馬場の競走担当理事であるアンドリュー・モリス(Andrew Morris)氏は次のように語った。「この計画を実施する第一号の競馬場となり、競馬産業をリードしたいと思います」。
「これまでシーズンを通じた出走手当計画を実施した競馬場はありません。今や喜んで馬をチェスターで出走させてもらえるでしょう。そして、たとえ入着賞金を獲得できなくても400ポンドを受け取れます。特別な報奨金だと考えます」。
「大半の出走馬関係者が賞金を獲得できないという事実を思い起こすことは、重要であると感じています。また、所有馬に現役を続けさせるには、費用が掛かることも分かっています」。
「所有馬をチェスターで走らせることを選択した人々の気持ちに応えたいと思います。これはインセンティブとなります」。
「2016年にチェスターの出走頭数が大幅に増加することで、この計画が成功したと判断するつもりはありません。しかし、この計画を実施した結果として、人々が他場ではなくチェスターを選択することを期待していることは言うまでもありません」。
「チェスターの多くの競馬開催日は、競馬開催が集中して競争が激しい土曜日です。全場が同じ出走馬のパイを巡って競合しています。この計画が出走馬関係者の注目を集め、その所有馬をチェスターで走らせるように促すことを望んでいます」。
モリス氏は次のように付言した。「出走頭数がはっきりしないので、どれぐらいの費用が掛かるかは正確に把握できません。しかし、私たちにとって大きな財政支出となり、現行の賞金レベルを引き上げることになります。これまでブックメーカーによる任意資金提供から支払われた額を考慮すれば、私たちの支出額は約25万ポンド(約4,250万円)になると推測されます」。
ROAのレイチェル・フード(Rachel Hood)会長は、チェスター競馬場のこの計画を賞賛し、次のように語った。「チェスター競馬場はつい最近、競馬開催日に馬主を手厚く待遇することで評価され、ROA最高競馬場賞を獲得しました。2016年の全レースを対象とした出走手当計画は、優れた提案です」。
「所有馬を出走させるとき、馬主にはしばしば高額な費用が発生します。それを埋め合わせる資金提供があれば、チェスター競馬場のレースに挑戦する動機がさらに増します」。
「実際のところ、競馬場は出走馬を巡って互いに競合しています。馬主が出走計画を立てる際に、この革新的計画が影響するものと確信しています」。
チェスター競馬場で所有馬を定期的に出走させているマーワン・クーカッシュ(Marwan Koukash)氏は、次のように語った。「しばらく前から、チェスター競馬場は馬主に一流の施設とホスピタリティーを提供することで、競馬界をリードしてきました。この新たな素晴らしい計画は、出走コストを埋め合わせる上で大きな役割を果たします。このような計画が英国競馬界で実施されることを喜んでいます。より多くの馬をチェスターに出走させるつもりです」。
By Lee Mottershead
(1ポンド=約170円)
[Racing Post 2016年1月14日「Chester in bold move to pay £400 for every runner」]