アイルランド競馬界、薬物不正使用と戦うことを宣言(アイルランド)[開催・運営]
アイルランド競馬界は、"馬に薬物を不正に使用した者は捕まる"というメッセージを送った。禁止薬物対策委員会(Anti-Doping Task Force)は2月4日、禁止薬物が検出された馬に対する永久出走停止処分を勧告したのだ。
ホースレーシングアイルランド(Horse Racing Ireland: HRI)は報告書において、禁止薬物を検出する最新検査装置と適切な設備を揃えるために、184万5,000ユーロ(約2億3,063万円)の初期投資を行うことを明言した。
2014年12月に発足した総勢16名の禁止薬物対策委員会は、ターフクラブ(Turf Club)の上席裁決委員であるメタ・オズボーン(Meta Osborne)氏が議長を務め、とりわけアナボリック・ステロイドを問題薬物の1つと見ている。
オズボーン氏は次のように語った。「不正行為を撲滅し、馬の福祉を最優先にすることが主な目標です。アナボリック・ステロイドなどの"常時禁止薬物"が投与された馬は、永久出走停止処分となります。これは、アイルランド競馬界では不正行為は認めないという明確な声明です」。
「この重要な分野において、資金や人員を確保して体制を整備し、競馬の公正性を最高水準に保つために、ターフクラブはHRIと一緒に取り組み続けます。これにより、アイルランドのサラブレッド産業の国際的評判を守ることができます」。
2014年10月、ニトロテイン(Nitrotain アナボリック・ステロイド)を所持していたフィリップ・フェントン(Philip Fenton)調教師に3年間の調教停止処分が科された。これにより傷ついた競馬のイメージを改善するために、禁止薬物対策委員会は多くの勧告を行った。同委員会は6ヵ月後に再招集される。
より多くの競技外検査が計画されるとともに、収集・分析されるサンプル数は毎年大幅に増加する。また、アイルランドでのセリ上場馬も薬物検査を義務付けられる。
ターフクラブのCEOであり禁止薬物対策委員会のメンバーであるデニス・イーガン(Denis Egan)氏は次のように語った。「私たちは皆、この報告書に大変満足しており、業務を効果的に遂行するための資金や人員を与えて下さったことを嬉しく思っています。明朝にでも競技外検査を開始することができます」。
「競馬産業全体は、"薬物なしの競馬"という考えに賛成しています。競馬でアナボリック・ステロイドを使用することに正当な理由などありません。薬物使用については、誰もがその情報を伝える義務があります。ターゲットが絞られているならば、より有効な検査ができるでしょう」。
HRIは、最新検査装置を購買し、課題に対応する設備を整えるために、184万5,000ユーロ(約2億3,985万円)の支出を承認した。また、公正確保関連予算を使用して、増加する年間サンプリングコストに対応し、より高水準の競技外検査を実施するほか、ターフクラブ内に禁止薬物の担当部署を設立する。
障害馬を管理するジェシカ・ハリントン(Jessica Harrington)調教師は2月4日、この報告書を歓迎して次のように語った。「良いことだと思います。とりわけ競技外検査に関して、この報告書は競馬が正しい方向に進むための1つのステップです。他の全てのスポーツには競技外検査があり、競馬界がそれを実施できない理由はありません」。
HRIのCEOブライアン・カヴァナー(Brian Kavanagh)氏は次のように語った。「禁止薬物対策委員会の設立は、アイルランドの競馬界と生産界の評判を守るために不可欠でした。HRIは、今回の合意と強い勧告を喜んで受け入れます」。
「非合法の競走能力向上薬は、世界全体で対応しなければならない問題の1つです。現在、アイルランドは先頭に立って、この問題に正面から取り組んでいます」。
「私たちの主な関心事は、アイルランドの競馬界と生産界の薬物検査制度が世界水準にあるということを保証することです」。
By David Jennings
(1ユーロ=約125円)
[Racing Post 2016年2月5日「HRI declares war on drug cheats」]