ロンジンがパートナー競馬場に新技術を提供(国際)[開催・運営]
ハロンタイムやレース中の位置取り、それに走行距離をリアルタイムで見られる次世代のトラッキング技術が、ロイヤルアスコット開催などで導入される。
ロンジンポジショニングシステム(Longines Positioning System:LPS)と、複雑な要因によりLPSの利用が困難であるアスコット競馬場やシャンティイ競馬場向けに開発された衛星測位システム(GNSS:精度のやや低いGPS)は、競馬ファンに独特のレースの見方を提供する。
これらの技術により、競馬ファンは、レースをあらゆる角度から見たり、特定の馬を追跡したり、騎手の視点で見たりすることができるようになる。また、レース終了後に再生可能で、ハロンタイムや走行距離などの情報をグラフで比較できる。
ロンジンのパートナー競馬場に提供されるLPS技術は、すでに世界中の14競馬場に設置されている。ロイヤルアスコット開催(アスコット)、凱旋門賞ウィークエンド(シャンティイ・ロンシャン)、香港国際競走(シャティン)でも利用可能となることが期待されている。ただし、これらの4競馬場とはまだ契約が完了していない。
LPS技術には新しい写真判定カメラも含まれており、これまでの2倍の1秒間に1万枚の写真を撮ることができる。これにより、デッドヒート(同着)は過去のものになるだろう。
ロンジンのフアン・カルロス・カペリ(Juan Carlos Capelli)副社長はこう語った。「LPS技術を本当に誇りに思っています。弊社は競馬に関わって長い歴史を持っています。1878年に弊社が初めてタイム測定を行ったスポーツは競馬であり、この新技術が出現した時、私たちはまず競馬に導入することを決断しました」。
「2年前、私たちはランドウィック競馬場(シドニー)でLPS技術を立ち上げました。先週シドニーを訪れたところ、この技術に満足しているようでした。それで、私たちはLPS技術をパートナー競馬場に一括して提供することを決定しました。そのパッケージには、タイムキーパー、写真判定システム、2種類のトラッキングシステム、セカンドスクリーンが含まれます」。
「我が家の子供たちは、テレビでスポーツ中継を見ているときに、より多くの情報を得るためにセカンドスクリーンを見ています。5年後には誰もがセカンドスクリーンを見ることになると考えています」。
カペリ副社長はこう続けた。「アスコット、ロンシャン、香港、シャンティイのすべてが、LPS技術を導入することを望んでいます」。
「設置は迅速に行えるのですが、ランドウィック競馬場で導入する際に、とりわけビッグレースで多くのテストを行う必要があることが分かりました。なぜなら、場内で5万人が携帯電話を持つことに加えて、安全対策と救急サービスが強化されることで、利用可能な周波数に影響が出るからです。このため、LPS技術はファンに提供する前に、これと同様の環境でテストする必要があります」。
「一般に発表するよりもかなり前に、LPS技術を設置することになるでしょう」。
そしてこう付言した。「LPS技術は、すでに世界中の14競馬場に設置されており、うまく作動しています。私たちはこれを水面下で設置し、品質について絶対的な確信を持ってから、皆様に非常に精度の高い技術を提供することを望んでいます」。
「私たちはスポンサーではなくパートナーであり、競馬の発展に役立ちたいと考えています。もっと多くの人々が、新しいトラッキングシステムよりも写真判定システムを利用するでしょう」。
アスコット競馬場のスポークスマンであるニック・スミス(Nick Smith)氏はこう語った。「とても専門的な技術の提供であり、LPS技術がどれだけ大きく発展したかを目の当たりにすることは非常に興味深いものでした。新しい技術の画期的な利用方法であり、ハロンタイムの測定技術は将来のことを考えれば非常に重要です」。
ホッペガルテン競馬場はLPS技術を導入しているが、ロンジンの技術拠点があるライプツィヒに近いことから多くのテストが実施された。
同競馬場のオーナーであるゲルハルト・ショーニング(Gerhard Schöningh)氏は、「素晴らしい技術であり、これを利用することにワクワクしています。ホースマンや競馬ファンにより多くの情報を提供できることは、競馬に大きな利益をもたらします」と語った。
By Stuart Riley
[Racing Post 2017年5月2日「Launch of new system to provide Royal Ascot sectionals」]