マリブムーン、100頭目のブラックタイプ競走優勝産駒を送り出す(アメリカ)[生産]
スペンドスリフトファーム(Spendthrift Farm)で供用されるマリブムーン(Malibu Moon 20歳)は、重要な金字塔を打ち立てた。3歳牝駒のシマリングアスペン(Shimmering Aspen)が6月17日に、同馬にとって世界で100頭目のブラックタイプ競走優勝産駒となったのである。
マリブムーン(父エーピーインディ 母マコウンバ 母父ミスタープロスペクター)は、2000年に最初に供用されたカントリーライフファーム(Country Life Farm ポンズ一家所有)があるメリーランド州においてこの記録を達成した。シマリングアスペンは、同州ローレルパーク競馬場においてアルマノースSを制したことでブラックタイプ競走勝馬となったのだ。同馬はヒルウッドステーブル(Hillwood Stable)のオーナーであるエレン・チャールズ(Ellen Charles)氏の所有馬である。チャールズ氏の母はメリーランド州でサラブレッドを生産育成しており、父は州内競馬場で裁決委員を務めていた。
マリブムーンは供用1年目から種牡馬としてのポテンシャルを見せていた。同馬はG1優勝馬マコウンバを母とし素晴らしい血統を持っていたが、怪我により良い競走成績を残せなかった。B・ウェイン・ヒューズ(B. Wayne Hughes)氏の自家生産馬マリブムーンは、デビュー戦で2着となった1ヵ月後にハリウッドパーク競馬場の未勝利戦を制したが、その後怪我で競走馬としてのキャリアを終えた。
馬主のヒューズ氏とポンズ氏は、マリブムーンが種牡馬として堅調なスタートを切れるように、初年度の種付料を3,000ドル(約33万円)に設定した。供用1年目は101頭、2年目は112頭の牝馬に種付けした。初年度産駒がデビューした2003年は、産駒の活躍によりフレッシュマンサイアーズランキングで6位に入った。パーフェクトムーン(Perfect Moon)は初年度産駒の中でも最も優秀な産駒で、ベストパルS(G2)およびハリウッドジュベナイルS(G3)で優勝した。
早熟な初年度産駒が活躍したことで、マリブムーンは移籍し種付料も上昇した。2004年種付シーズンはケンタッキー州レキシントンに近いキャッスルトンリオンズ(Castleton Lyons)に移り、種付料1万ドル(約110万円)で供用された。マリブムーンは現在も、スペンドスリフトファーム、キャッスルトンリオンズ、そしてカントリーライフファームを含むパートナーシップが所有している。
ヒューズ氏がスペンドスリフトファームを購入した4年後の2008年、マリブムーンは同ファームに拠点を移した。そして2013年に産駒オーブ(Orb)がケンタッキーダービー(G1)で優勝し、種付料は自己最高の9万5,000ドル(約1,045万円)となった。
スペンドスリフトファームのネッド・トッフィー(Ned Toffey)場長は、「マリブムーンは自家生産馬でありながら種牡馬として最高レベルまで上り詰めたので、私たちにとっても興味深い馬です。彼は長い間優秀な種牡馬だったので、ダービー勝馬を出したことで彼を見る周りの人の目が変わったわけではありません。ただ、これは間違いなく彼の手柄であり、種牡馬としての地位を歴史に刻む一助となるでしょう」と述べた。
マリブムーンはこれまでに40頭の重賞勝馬を送り出しており、6月18日時点で2017年ブラッドホース総合種牡馬ランキングにおいて6位となっている。今年は重賞勝馬を3頭出しており、それらはサンタアニタダービー(G1)をはじめ複数のG1を制しているゴームリー(Gormley)、レイチェルアレクサンドラS(G2)およびフェアグランズオークス(G2)の勝馬ファレル(Farrell)、そしてコナゴールドS(G2)の勝馬ランサムザムーン(Ransom the Moon)である。
ナンシー・ターヒューン(Nancy Terhune)氏、アーネスト・フローボーゼ(Ernest Frohboese)氏、キャンディーランドファーム(Candyland Farm)によりケンタッキーで生産されたシマリングアスペンは、2017年の競走馬ランキングを着実に上りつつある。同馬は複数のステークス競走を制した牝馬アスペングロー(Aspenglow 父Lion Hearted)の第2仔で、母にとって初のブラックタイプ競走勝馬となる。アスペングローはターヒューン氏とフローボーゼ氏によってウエストバージニア州で生産され、ターヒューン氏に所有された。
By Eric Mitchell
(1ドル=約110円)
[bloodhorse.com 2017年6月19日「Malibu Moon hits black-type century mark」]