海外競馬ニュース 軽種馬登録ニュース 海外競馬情報 統計データベース 海外競馬場・日程 世界の競馬および生産統計 海外競走登録 申請書類
血統書サービス 引退名馬
twitter FB
TOPページ > 海外競馬ニュース > ニューマーケットの坂路建設計画にゴーサイン(イギリス)[開催・運営]
海外競馬ニュース
2017年09月22日  - No.37 - 3

ニューマーケットの坂路建設計画にゴーサイン(イギリス)[開催・運営]


 ニューマーケットの坂路建設計画は、実現に向けて一歩前進した。9月6日、総工費1,000万ポンド(約15億円)のこの野心的な計画にゴーサインが出されたのだ。

 昨年夏、ニューマーケットの"レースコースサイド(ニューマーケット競馬場ローリーマイルコースに隣接する調教エリア)"に新たな坂路を建設する計画が発表された。この建設により、ウォレンヒル(バリーサイドにある坂路)に似た環境で調教活動ができる。人気ある調教エリア"バリーサイド"を離れて"レースコースサイド"で活動する調教師が増えるかもしれない。

 このニュースは"レースコースサイド"を拠点とする調教師たちに歓迎された。ニューマーケット調教師連合会(Newmarket Trainers Federation)のマーク・トンプキンス(Mark Tompkins)会長はこう語った。「ニューマーケットの調教師は皆喜んでいると思います。とりわけ"レースコースサイド"で活動する私たちのような調教師は、このニュースを歓迎しています。実現するのはまだ先の話ですが、今回大きな一歩を踏み出せました。将来に大きな希望を持っています」。

 「建設工事が始まれば、さらに多くの領域で改善が進み、新しい調教コースも作られるでしょう。ニューマーケットは今後も重要な調教拠点であり続けるでしょう。この坂路が建設され、オールウェザー馬場について議論されることで、さらに充実します」。

バランスを取り戻す

 "バリーサイド"は、ジョン・ゴスデン(John Gosden)、サー・マイケル・スタウト(Sir Michael Stoute)、ロジャー・ヴァリアン(Roger Varian)、ウィリアム・ハガス(William Haggas)、ルカ・クマーニ(Luca Cumani)などの調教師が拠点とする。その収容率は90%とされるが、"レースコースサイド"の収容率は60%前後と見込まれる。

 全長900mの最新式のこの坂路は、ハミルトンロードに建設予定であり、"レースコースサイド"の人気を高めることが期待されている。"レースコースサイド"の調教師たちは現在、40分も掛けて町の向こう側まで移動してウォレンヒルを利用している。

 ハミルトンロードで活動するスチュアート・ウィリアムズ(Stuart Williams)調教師はこう語った。「人工の坂路を建設することは見事なアイデアです。現在、"バリーサイド"を拠点とする調教師には、準備運動をさせる場所が沢山あります。2つの調教エリアのバランスが取り戻されることを望んでいます」。

 「"バリーサイド"は大変混雑しています。私は調教手順を変更して、あちらに行かなくて良いようにしました。新しい坂路がより多くの調教師と馬主を"レースコースサイド"に引き付けることを望んでいます」。

素晴らしい構想

 新しい坂路は、地面より低い場所からスタートし、高架橋を30m上がり、人工の盛り土部分でゴールする。毎日2,000頭が調教されるウォレンヒルは40mの高低差がある。関係者が同様のギャロップ走路を見るために日本を訪れた後に、この計画は考え出された。

 ハミルトンロードを拠点とするジョージ・スコット(George Scott)調教師もこの計画を歓迎し、こう語った。「ジョッキークラブの素晴らしい構想です。この坂路は、私たちの調教活動にもう1つの特色を与えます」。

 「調教師にとって坂路を使うことは不可欠ではありませんが、週に1~2回町を横切って移動しています。ウォレンヒルは大抵混雑しています。こちらに坂路が建設されれば、移動をしなくて済むでしょう」。

 「工事が始まるのはまだ先です。しかしフォレストヒース市議会がこの3年間の建設計画を承認したことで、ジョッキークラブエステーツ社(Jockey Club Estates: JCE)は次の段階に進むことができます」。

 JCEのニック・パットン(Nick Patton)社長は9月6日、こう語った。「当然のことですが、フォレストヒース市議会が建設計画を承認したことをとても嬉しく思っています。承認を得ることは、この計画の重要な部分です。しかし工事が始まる前に、やるべきことがまだあります」。

 「これは野心的な計画です。次の段階は、建設計画の詳細をまとめることと、資金調達です」。

 「競馬産業は、ニューマーケットにより多くの馬とビジネスを引き付けて、地域経済に一層貢献することを目指しています。この計画はその目標を中心に立てられています。しかし、ブレキジット(英国のEU離脱)の影響で、坂路建設への資金を調達するには厳しい環境となっています」。

 パットン社長はこう付言した。「JCEは10年、15年、20年先のことを計画しており、ニューマーケットに"世界最高のサラブレッド調教拠点"としてのステータスを維持させようとしています。坂路建設計画は、"レースコースサイド"を魅力的なものとする基本計画の主要部分であり続けるでしょう」。

By Peter Scargill

(1ポンド=約150円)

[Racing Post 2017年9月7日「Ambitious £10 million Newmarket sky gallop gets the green light」]


上に戻る