第1回ペガサスワールドカップの枠順決定(アメリカ)[開催・運営]
第1回ペガサスワールドカップ招待S(G1)の枠順が決定した。1月28日にガルフストリームパーク競馬場で施行される世界最高の総賞金1,200万ドル(約13億8,000万円)を誇るこのレースには、2頭の世界最強ダート馬のカリフォルニアクローム(California Chrome)とアロゲート(Arrogate)が出走する。
予想オッズでは、カリフォルニアクローム(6歳 父ラッキープルピット)が6-5(2.2倍)で最も有力とされているが、同馬は大外枠の12番ゲートから発走する。一方、7-5(2.4倍)で2番目に有力とされているアロゲート(4歳 父アンブライドルズソング)は最内枠の1番ゲートから発走する。
カリフォルニアクロームを管理するアート・シャーマン(Art Sherman)調教師は、大外枠を引いてしまったことについて、「何の言い訳もできません。大外枠で唯一良いことは、発走までにゲート内で長く待たされずに済むことです」と述べた。
ブリスネットコム社(BRISnet.com)の統計によれば、2006年の馬場改修以降にペガサスワールドカップと同じ1⅛マイル(約1800m)のレースで12番ゲートから発走した馬の成績は18戦1勝である。
シャーマン調教師は、「カリフォルニアクロームはスピードを使い分けます。もっと内側の枠を引くことを望んでいましたが、彼はこのようなマイナス要素をすべて乗り越えるでしょう。信じて下さい」と語った。
2016年ドバイワールドカップ(G1)優勝などの快挙により、カリフォルニアクロームはこれまで1,450万ドル(約16億6,750万円)を獲得し、北米最高賞金獲得馬となった。現役最後のレースとなる予定のペガサスワールドカップで同馬が優勝すれば、その獲得賞金額は日本のオルフェーヴルが獲得した1,900万5,276ドル(約21億8,561万円)を超えるので、世界最高賞金獲得馬となるだろう。
ジャドモントファームの所有馬アロゲートは、1¼マイル(約2000m)のトラヴァースS(G1・サラトガ競馬場)で2着馬に13馬身1/2差をつけてトラックレコード(1分59秒36)で優勝した。その後、BCクラシック(G1)を制したことで、1¼マイル戦での成績を2戦2勝とした。
アロゲートは1月21日、サンタアニタ競馬場の"稍重"のコースで行われたペガサスワールドカップに向けた最終追切りで6ハロン(約1200m)を1分12秒13で走った。バファート調教師はこの様子に満足し、こう語った。
「アロゲートは週ごとに強くなっています。レース当日も今日と同じ調子で走ってほしいです。輸送には多くのハードルがありますが、調教の様子は良く、好調だと言えます。アロゲートはこの挑戦への覚悟ができているようです」。
ペガサスワールドカップの競走距離はBCクラシックよりも1ハロン(約200m)短い。カリフォルニアクロームは2016年オーサムアゲインS(G1・サンタアニタ競馬場)と2014年サンタアニタダービー(G1)を制したことで、この距離(1⅛マイル)で4戦2勝している。アロゲートはこの距離を走るのは初めてだが、現在5連勝中である。
南カリフォルニアを拠点とする両馬は、ガルフストリームパーク競馬場で出走するのは初めてである。カリフォルニアクロームはウィンターチャレンジS(12月18日・ロスアラミトス競馬場)で12馬身差の優勝を収めて以来の出走で、アロゲートはBCクラシック(11月6日)以来の出走となる。アロゲートは1月1日のサンパスカルS(G2・サンタアニタ競馬場)に出走予定だったが、雨による馬場悪化のため、前日に出走を取り消した。
ペガサスワールドカップの主催者ストロナックグループ(Stronach Group)は、賞金を確保するために、12の出走枠のオーナーがそれぞれ100万ドル(約1億1,500万円)を支払うプランを考案した。アロゲートとカリフォルニアクロームが出走するにもかかわらず、第1回ペガサスワールドカップの出走枠はすべて埋まった。
フランク・ストロナック(Frank Stronach)氏は枠順抽選会において「素晴らしいレースになることでしょう」と語った。
ペガサスワールドカップの出走枠は優良馬で占められる。その中には、アロゲート、カリフォルニアクローム、エラゴン(Eragon)、キーンアイス(Keen Ice)、ノーブルバード(Noble Bird)、シャーマンゴースト(Shaman Ghost)のG1馬6頭がいる。
クラークH(G1)優勝馬ガンランナー(Gun Runner)もこのレースへの出走を検討していたが、調教を受けていたフェアグランド競馬場で馬ヘルペスウィルス(EHV-1)が発生したことで断念することになった。感染が確認されなかった厩舎の隔離措置は1月22日に解除されたが、ガルフストリームパーク競馬場の職員によれば、ガンランナーは同競馬場への移動に必要な検査を受けていない。
ガンランナーの関係者は出走枠のオーナーであるルイスレーシング社(Ruis Racing)とすでに契約を交わしていたが、代りに同社所有のウォーエンヴォイ(War Envoy)が出走することとなった。
予想オッズ12-1(13倍)で3番目の有力馬とされているキーンアイスは、2015年トラヴァースSで三冠馬アメリカンファラオ(American Pharoah)を下したことで、すでに番狂わせを演じている。
ノーブルバード(6歳 父バードストーン)は、2015年スティーヴンフォスターH(G1・チャーチルダウンズ競馬場)を制し、2016年にペガサスワールドカップと同じ距離のハグヤードフェイエットS(G2・キーンランド競馬場)でレコードタイムを出している。
シャーマンゴーストは、2015年にカナダのクラシック競走を制してカナダ最優秀3歳牡馬となった。同馬は2016年もブルックリン招待S(G2)とウッドワードS(G1)を制し、素晴らしいシーズンを送った。
ブレーキングラッキー(Breaking Lucky)も2015年にカナダのクラシック競走を制している。また、2015年から2016年にかけてアルゼンチンでG1・3勝を果たしたエラゴン(Eragon)は、米国デビュー戦となるペガサスワールドカップで大金星を狙っている。
しかしながら、最も注目を集めているのはアロゲートとカリフォルニアクロームである。2頭の最強ダート馬の再対決は間近に迫っている。
By Frank Angst
(1ドル=約115円)
[bloodhorse.com 2017年1月23日「Arrogate, California Chrome Meet Again in Pegasus」]