ハイランドリール、有終の美を飾りクールモアで種牡馬入り(アイルランド)[生産]
世界を股にかけて活躍したハイランドリール(Highland Reel 父ガリレオ)は、まるで来年種牡馬入りしたときに生産者を引き付ける決め手をまだ欠いていたかのように、12月10日の香港ヴァーズ(G1 2400m)を制してその輝かしい競走生活にさらに箔をつけた。
ハイランドリールがクールモアで種牡馬入りすることは、10月に発表されていた。同馬はその後、BCターフ(G1)でタリスマニック(Talismanic)の3着となったが、香港ヴァーズでは今度はタリスマニックを1¾馬身差で下し形勢を逆転させた。
この勝利により、エイダン・オブライエン(Aidan O'Brien)調教師が管理する同馬の通算成績は27戦10勝、2着~3着9回となった。
同馬は2歳のときにヴィンテージS(G2)で圧勝した。その後、セクレタリアトS(G1 アーリントンパーク競馬場)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)、BCターフ、コロネーションカップ(G1)、プリンスオブウェールズS(G1)で優勝した。また、今回の勝利で香港ヴァーズ2勝を達成したことで、3大陸において通算G1・7勝を果たした。
さらに、G1競走において7回2着~3着となった。中でも印象的なのは、連覇をかけた2016年香港ヴァーズでのサトノクラウンの2着や、仏ダービーと凱旋門賞での2着である。
同馬はそのたゆまぬ努力により、欧州調教馬としては最高賞金を獲得した。その獲得賞金は751万3,355ポンド(約11億2,700万円)に上る。
オーナーブリーダーであるクールモアパートナーのもとで第2のキャリアを開始するハイランドリールについて、オブライエン調教師は敬意を表してこう語った。
「ハイランドリールはまったく特別な馬です。本当にかけがえのない馬です。彼のように遠征上手な馬は実にまれです。2歳の時から遠征が得意で、グッドウッド競馬場のヴィンテージSを制しました。そのうち、世界中を遠征するようになりました。まったく信じられないような馬です」。
「今後彼に替わる馬はいないでしょう。しかし、普通よりも1年長く、5歳まで管理することができたのは幸運でした」。
ハイランドリールは、早熟性・気品・スタミナといった重要な特質に加え、卓越した種牡馬となる権利をもたらす血統を持つ。
クールモアの偉大な種牡馬ガリレオの産駒であるハイランドリールは、G2勝馬で愛ダービー2着馬のアイダホ(Idaho)の全兄であり、豪州G1競走で2着2回のヴァルデモロ(Valdemoro)の半弟でもある。
これら兄弟の母ヴェガー(Hveger)は、SAJCサウスオーストラリアンオークス(G2)で2着、SAJCオークス(G2)で3着となったデインヒル牝駒である。つまりハイランドリールは、フランケル(Frankel)やテオフィロ(Teofilo)のような優秀な種牡馬を送り出したのと同じ血統の組合せ(父ガリレオ、母父デインヒル)から生まれている。
ヴェガーは豪州のG1馬エルブストローム(Elvstroem)の全妹であり、クイーンアンS(G1)優勝馬ハラダサン(Haradasun)の半姉である。
これは由緒あるファミリー(牝系)と言える。ヴェガーの母はAJCオークス(G1)を優勝し、コーフィールドカップ(G1)で2着となったサークルスオブゴールド(Circles of Gold)である。同馬は、現役時代は優秀なスプリンターで引退後は卓越した種牡馬となったスタースパングルドバナー(Starspangledbanner)の2代母の半姉でもある。
これらすべてを勘案すれば、ハイランドリールの初年度種付料1万7,500ユーロ(約236万円)はとても値打ちのあるもののように見える。
By Martin Stevens
(1ポンド=約150円、1ユーロ=約135円)
[Racing Post 2017年12月10日「Highland Reel gilds the lily as he enters stallion service for Coolmore」]