BHAのハーマン会長、11月に辞任(イギリス)[開催・運営]
BHA(英国競馬統轄機構)の会長であるスティーヴ・ハーマン(Steve Harman)氏は、競馬界全体を代表して政府とともに賦課金制度の一層の改革に携わるという新たな任務を担うために、現在の職を辞任する。同氏は、利益相反取引(訳注:組織の役員が自己あるいは第三者のために組織と取引をする場合など、当該役員と組織との利害が相反する取引)ではないかとの指摘を受けて、調査の対象となっていた。
BHAの発表(5月22日付)によれば、新会長の正式な募集手続は間もなく開始される。
BHAの理事会は、ハーマン氏とアリゼティコンソーシアム(Alizeti consortium)のCEOアレックス・フロスト(Alex Frost)氏の間で利益相反取引が行われた可能性について調査した。アリゼティコンソーシアムはトート社に投資することが見込まれている。ロンドンタイムズ紙は3月、ハーマン氏がフロスト氏を午餐会ゲストとしてチェルトナム競馬場の来賓室に招待するなど、両者の親密な関係について報じた。
BHAは同じ発表において、ハーマン氏が会長を退くことも明らかにしたが、理事会から独立して行われた調査では、利益相反は認められなかったと述べた。
BHAの発表はこう続く。「BHA理事会は、ハーマン氏の行為は競馬施行規程51項の違反にあたらないと判断しています。ハーマン氏は、"ロンドンタイムズ紙の記事に関して当初理事会に行った説明は正確さに欠いていた"と謝罪しました」。
BHAのスポークスマンはこう付言した。「これでこの件が終わりになり、BHAが英国競馬を統轄し管理するという中心的任務に集中して取り組めることを望んでいます」。
ハーマン氏が年末に開始する新たな職務においては、競馬産業においてもっとも優先すべき財政問題に焦点が合わせられる。それは、国会と一緒に取り組む賦課金制度の改革、そして競馬界に影響を与える賭事に関する諸問題である。
ハーマン氏はこう語った。「賦課金制度は、競馬産業が直面する唯一最大の問題です。私たちの産業にとってできるだけ有利な取引ができるように、支援を活性化させる機会を手に入れたいと思います。これにより、海外賭事業者から確実に賦課金を徴収し、将来の競馬界の資金調達を保証するために賦課金制度をさらに改革することができるでしょう」。
政府は5月初旬、ゲーム機のFOBT(固定オッズ発売端末)の賭け限度額を100ポンド(約1万5,000円)から2ポンド(約300円)へ引き下げた。競馬産業はこの動きについて、競馬界の収入を年間4,000万~6,000万ポンド(約60億~90億円)減少させる可能性があると述べた。
BHAの関係者は声明においてこう述べた。「FOBTの賭け限度額の大幅引下げにより(多くのベッティングショップが閉鎖に追い込まれ)競馬界の収入が減少する可能性があります。これは、私たちの産業にとって最大の問題です。将来の資金調達を確実なものとする改革を行うために、競馬界全体が一丸となり政府とともに取り組むことが大切です」。
By Frank Angst
(1ポンド=約150円)
(関連記事)海外競馬ニュース 2013年No.16「BHA会長にロイヤル・ダッチ・シェル社副社長のハーマン氏が就任予定(イギリス)」、2018年No.4「賭事産業と競馬界、FOBTの賭け限度額の2ポンドへの引下げを懸念(イギリス)」
[bloodhorse.com 2018年5月22日「In November Harman to Step Down as BHA Chairman」]