アルシャカブレーシング社、預託料未払いについて弁明(イギリス・カタール)[その他]
ジョアン殿下率いるアルシャカブレーシング社(Al Shaqab Racing)は、調教師たちの"多大な忍耐と理解"に感謝している。そして、数ヵ月にわたり未払金の支払いを求めてきた人々に対し、まもなくそれが口座に振り込まれることを明言した。
英国の数人の一流トレーナーは、アルシャカブレーシング社の数千ポンドの預託料が支払われないまま、調教活動を行わざるを得なくなっている。同社は近年、競馬の国際舞台において最高レベルの影響力を持ちつつある。
アルシャカブレーシング社のカリファ・アルアティヤ(Khalifa Al Attiya)社長は、この預託金の未払いは財務の見直しと再編成が関係していると主張した。
しかし同社の関係者の中には、昨年は高額取引のために予算が早くも枯渇していたと考える者もいる。同社は昨年の仏2000ギニー(G1)の4日前に、後に仏クラシック2勝を果たすことになるブラムト(Brametot)の所有権半分を購買していた。
その未払金の規模を見積もることは困難だ。しかし、多くの調教師が数万ポンドの預託料を受け取っていないので、全体的な負債総額は7桁[100万ポンド(約1億5,500万円)以上]に上ると考えられている。
調教師だけではなくほかの業者への支払いも滞っている。1月1日夕、調教師たちは次のような書簡を受け取った。「アルシャカブレーシング社の支払いに遅延が生じていることを陳謝いたします。このような事態を招いた問題を解決している最中です。まもなく皆様の口座に未払金が振り込まれることと思います。この問題に迅速に対処するために、私たちは欧州の会計部門を再編成しています。1月1日以降は、ドーハ(カタール)の財務事務所で処理する前に承認を得るために、ブクト牧場内のフランス事務所にすべての請求書を集中させています」。
書簡はこう締めくくられている。「この機会を利用して、皆様の多大な忍耐とご理解に感謝いたします。すべての未払金は支払われますので、ご安心ください」。
本紙が取材したどの調教師も、自身の名前が引用されることを望んでいない。しかし、この件で影響を受けた調教師の1人はこう語った。「とても困難な状況に陥っています。この状況がもうすぐ打開されることを望んでいます。調教師の大半は30日~45日以内に仕入先に支払いを行います。私たちが現在経験しているような多額の未払金は、資金繰りに極めて悪い影響を及ぼします」。
アルアティヤ社長は本紙宛ての声明においてこう述べた。「弊社は他企業と同様、説明責任と責務を伴って運営しています。その責務とは、1年間の財務報告を仕上げて未払い請求書すべての返済を行うことです。弊社の財務報告において、遅延している支払いに気付きました。なぜ支払いが遅れたのかという質問に答えることこそ、財務報告における核心となります」。
アルシャカブレーシング社はフランスに重点を置くようになっている。同社は今年、2歳馬を11頭しか英国の厩舎に預託しないとみられている。英国ではフランキー・デットーリ騎手が同社の主戦騎手を務める。
同社はトレヴで凱旋門賞(G1)を2勝し、ガリレオゴールド(Galileo Gold)で英2000ギニー(G1)を制するなど、数々のG1レースで勝利を収めてきた。それと同時に、スポンサー活動にも乗り出し、ロッキンジS(G1)開催日(ニューベリ競馬場)のスポンサーも務めている。
ニューベリ競馬場は声明でこう述べている。「アルシャカブレーシング社はニューベリ競馬場にとって重要なスポンサーです。同社のサポートと献身ぶりに感謝しています」。
「今年はロッキンジSの5年間のスポンサー契約の4年目になります。同社の投資に対して最大限の利益をもたらすことができるように緊密に協力して取り組んできました」。
「アルシャカブレーシング社との取引は私たちにとってすべて満足のいくものであり、現行契約の残り2年間において、一緒に取り組むことを楽しみにしています」。
BHA(英国競馬統轄機構)のメディア担当理事であるロビン・マウンジー(Robin Mounsey)氏は、BHAの立場について聞かれこう語った。「個々の案件を取り巻く憶測についてのコメントは控えようと思います。馬主と調教師の間で契約が交わされていてBHAに苦情が寄せられる場合は、競馬施行規程上、BHAは預託料未払いについての争いを仲裁することができます」。
By Lee Mottershead
(1ポンド=約155円)
[Racing Post 2018年1月3日「Al Shaqab say sorry as they admit to causing major racing debts problem」]