ハーツクライ産駒のヨシダ、ダート初挑戦でG1優勝(アメリカ)[その他]
5月5日、ヨシダ(Yoshida 父ハーツクライ)は芝G1のターフクラシックS(チャーチルダウンズ競馬場)で優勝を果たした。ヨシダには芝路線で十分な選択肢があるが、将来種牡馬として十分な評価を得られるかどうかは断言できない。そのような状況で、9月1日のウッドワードS(ダートG1 サラトガ競馬場)に出走させる有力馬の不在が、モット調教師とヨシダの馬主たちにこの牡馬がダート馬場でどのように才能を発揮するかを確かめる気にさせた。
総賞金75万ドル(約8,250万円)のウッドワードS(約1800m)において、馬群が最後の直線に差し掛かる中、ヨシダは陣営の期待に最高の形で応える走りを見せた。これは現在、ヨシダをブリーダーズカップに出走させるかどうかという幸せな悩みを陣営にもたらしている。
芝の傑出馬ヨシダにとって2回目で4ヵ月ぶりとなるG1制覇は、サラトガ競馬場の最も歴史あるダートG1競走での勝利だった。ダート初挑戦にもかかわらず、あらゆる点で自然な走りぶりを見せた。14頭立ての後方から上がって来て、直線を力強く疾走し、ガンナヴェラ(Gunnevera)を2馬身差で破ったのだ。
ヨシダの血統はこのような快挙を成し遂げることを暗示していた。なぜなら同馬の祖父は米国2冠馬サンデーサイレンスであり、母は2011年バレリーナS(G1 サラトガ競馬場)を制したヒルダズパッション(Hilda's Passion)であるので、ダート適性が高いと思われるからである。
ヨシダはダートで十分調教されたが、それは同馬が挑もうとしていたウッドワードSへのちょっとしたテストに過ぎなかった。同レースには、クラシック勝馬のタップリット(Tapwrit)や、重賞を数回制しサラトガのダート馬場でステークス勝利を挙げたことのあるガンナヴェラなどの強敵がいた。モット調教師は、ジョエル・ロザリオ(Joel Rosario)騎手を背に後方から抜け出して疾走したヨシダを見て、この馬をBCクラシック(G1 チャーチルダウンズ競馬場)に出走させることを検討しなければならなくなった。
モット調教師はこう語った。「ヨシダは芝でも実力を発揮しG1を制したので、ダートで走らせなかったのは見当違いだったとは思いません。ずっと芝で走らせるつもりでした。今回ダートに転向した理由はタイミングだけでした。走らせたい芝競走が1ヵ月後までなかったのです。そこで、"ダートで走らせてみるか"という気になりました」。
ヨシダはターフクラシックSで優勝した後、英国のクイーンアンS(芝G1 ロイヤルアスコット開催)とフォースターデイヴH(芝G1)でそれぞれ5着となっていた。そして今回のウッドワードSには単勝オッズ7倍で臨んだ。
ヨシダは1番ゲートから発走し、第1コーナーまで内埒沿いを走り、9番手で向正面直線に入った。ラリークライ(Rally Cry)はレオフリック(Leofric)と競り合いながら先頭を走り400m地点を24秒00で通過し、800m地点を47秒69で通過した。そして残り800mとなったとき、ロザリオ騎手はライバル馬の一団を抜くためにヨシダを追い始めた。
2頭の先行馬が最終コーナーに差しかかったとき、その2頭に挑もうとしていたライバル馬の壁はばらけ始め、ヨシダはゴール前100m辺りで全力を発揮した。ヨシダの外側にいたガンナヴェラは、内埒沿いをしぶとく走っていたレオフリックをとらえて2着となった。馬場「良」とされていたこのレースの勝ち時計は1分48秒94。
この日サラトガ競馬場で重賞3勝を果たしたロザリオ騎手は、こう語った。「私はただ乗っているだけでした。ヨシダのダートでのレース運びは抜群であり、すぐに馬場に慣れたようでした。最後の直線では思い通りに伸びてくれました」。
ノーザンファームが生産したヨシダの通算成績は11戦5勝。獲得賞金は128万9,770(約1億4,187万円)。モット調教師は次走について、いくつかの選択肢を検討しており、こう述べた。「私たちはもちろん、今後のレースについて話し合うでしょう。このような見事なパフォーマンスをしたのですから、BCクラシック(約2000m)も選択肢の1つとなるでしょう。ヨシダは芝1800mのレースでも優勝しています。2000mのレースを勝ったことはありませんが、今日のような素晴らしいレースを見たからには、1つの選択肢として考え始めなければならないでしょう」。
By Alicia Wincze Hughes
(1ドル=約110円)
[bloodhorse.com 2018年9月1日「Yoshida Prevails in Woodward Stakes」]