海外競馬ニュース 軽種馬登録ニュース 海外競馬情報 統計データベース 海外競馬場・日程 世界の競馬および生産統計 海外競走登録 申請書類
血統書サービス 引退名馬
twitter FB
TOPページ > 海外競馬ニュース > 南アフリカ、鞭なしのレースを試験的に施行(南アフリカ)[開催・運営]
海外競馬ニュース
2018年11月15日  - No.44 - 2

南アフリカ、鞭なしのレースを試験的に施行(南アフリカ)[開催・運営]


 南アフリカで、鞭を使わないという画期的なレースが試験的に施行された。同国の競馬統轄機関はこのレースの施行を、"鞭使用を巡って高まっている世論の圧力に対する意思表明"と表現した。この動きは、世界中の競馬に影響を与えると見込まれている。

 南アフリカのトップトレーナーであるマイク・デコック(Mike de Kock)調教師は、第1回目の"鞭なしのレース"を終えて、鞭使用を減少させることに賛成する意見を述べた。一方、BHA(英国競馬統轄機構)はこのレースの施行を注意深く見守っていたと述べた。

 この"鞭なしのレース"は113日(土)、ターフフォンテン競馬場において、7ハロン(約1400m)の未勝利戦として施行された。優勝したのは、ハムダン殿下が所有するハウワーム(Hawwaam デコック厩舎)である。

 このレースが施行された日はまさに、BCクラシック(G1)でのクリストフ・スミヨン騎手のサンダースノー(Thunder Snow)への鞭使用回数が世界中から批判され、鞭に関する議論が再燃した日だった。またこのレースの3日後には、メルボルンカップ(G1)で騎乗した6人のジョッキー(1着~3着馬のジョッキーを含む)に、鞭使用ルール違反による処分が下された。

 南アフリカ競馬機構(National Horseracing AuthorityNHA)の暫定CEOのアーノルド・ハイド(Arnold Hyde)氏は、こう語った。「113日の"鞭なしのレース"は、競馬産業が世論の圧力を受けていることに対する意思表明でした」。

 「私たちは新しいファンを引き付けなければなりません。"鞭使用は、一般の人々が競馬に対して悪いイメージを持っている分野である"という見方があります。そのため、競馬界の利害関係者が、将来の鞭使用について私たちが歩むべき道を真剣に考えるべく、徹底的に議論したいと思いました」。

 「次回の"鞭なしのレース"は2ヵ月後に施行される予定です。開催日は後日決定されます。これらの"鞭なしのレース"に関する制約条件についても検討しなければなりません。それは、"同じようなレースを正式に施行するか?"、"鞭使用は禁ずるが携帯は許可するか?"などです」。

 これまで100頭以上のG1馬を手掛けているデコック調教師は、こう語った。「これは素晴らしいイニシアティブです。このレースからいくつか良い発見がありました。ともかく、鞭使用ルールは見直されるべきです。騎手は鞭がないほうがうまく騎乗します。彼らの多くは、鞭を持っているときよりも鞭なしで騎乗しているときのほうが勝てます」。

 ハウワームは1馬身差で優勝し、2着のリーチフォーザライン(Reach For The Line)は3着馬を9馬身退けた。

 デコック調教師はこう続けた。「厩舎でハウワームに鞭を使ったことがないので、レースであえて鞭を使う意味はありません。ランドール・サイモンズ(Randall Simons)騎手が鞭を持っていたら、ハウワームが内側によれたときに鞭を入れていたでしょう。そうするとハウワームは余計にまずい方向に動き、ランドールは持ち手を変えてさらに鞭を入れていたことでしょう」。

 ターフフォンテン競馬場で施行されたこのレースとそこから得られた教訓については、12月に開催されるNHAの競馬施行規程調和委員会で議論されるだろう。今回の"鞭なしのレース"はすでに豪州の競馬関係者の関心を引いている。豪州の裁決委員の中には、ハイド氏に連絡してお祝いを述べる者がいるほど感銘を受けているようだ。

 南アフリカでは、英国とアイルランドで使われているのと同じエアクッション式の鞭が使用されている。そのタイプの鞭は苦痛を与えるよりも音が鳴るように作られているが、近年その使用方法は物議を醸している。

 南アフリカのリーディングトレーナーランキングで現在首位に立っているジャスティン・スナイス(Justin Snaith)氏は、最近のテレビインタビューでこう語った。「南アでの鞭の使い方は制御不能に陥っています。これは問題となっており、私たちはこれを抑制する必要があると考えています。若い管理馬がパニックに陥らないように、厩舎の乗り手には鞭を適切に使用するように厳しく指導しています」。

 英国やアイルランドでは、鞭を使用しないレースはありふれたものとなっている。それらのレースは一般的に、見習騎手やアマチュア騎手限定とされている。

 BHAのスポークスマンは117日(水)、「BHAは世界の競馬コミュニティーの一員として、他国の競馬において規制上の進展があれば、それを注意深く見守っています」と述べた。

By Michael Clower & Keith Melrose


Racing Post 2018117South Africa trials whip-free races as public pressure mounts」]


上に戻る