グローバルスプリントチャレンジ、豪州・香港間の対立で休止(国際)[開催・運営]
中国本土で新たにオープンする従化区トレーニングセンター(Conghua Training Centre)の検疫措置をめぐり、豪州政府と香港ジョッキークラブ(Hong Kong Jockey Club:HKJC)の間で対立が生じている。グローバルスプリントチャレンジ(Global Sprint Challenge:GSC)はこの対立の犠牲となった。
豪州・日本・香港・ドバイ・英国の10競走(いずれもスプリントG1)からなるGSCを2018年は休止することが決定された。
2005年創設のGSCには、英国のキングズスタンドS・ダイヤモンドジュビリーS・ジュライカップが含まれていた。
GSCのリー・ジョードン(Leigh Jordon)会長はこう語った。「GSCパートナーズ(レーシングヴィクトリア・ドバイレーシングクラブ・JRA・HKJC・アスコット競馬場・ニューマーケット競馬場)は、いくつかの競走に出走できない馬がいるシリーズの開催は不公平となるだろうと考えました。それゆえ残念ではありますが、2018年のGSCを休止とすることを決定しました」。
「しかしGSCパートナーズは、競走馬が大陸間で頻繁に遠征するGSCを運営することに、これまでと変わらず力を注いでゆきます」。
「香港・豪州間の馬輸送の制限が解除されれば、より大規模で見ごたえのあるシリーズを2019年に再開するつもりです」。
「また今回の休止は、現行のシリーズ構成・ボーナス体系・スポンサーシップを見直し、ワクワクするような新しいマーケティング戦略を探る機会を与えてくれます」。
GSCは、5つの競馬管轄区のうちの3管轄区のシリーズ競走で勝利を収めた馬に、100万ドル(約1億1,000万円)のボーナスを提供する。しかし、2005年のGSC創設以来これを達成した馬はいない。
ブラックキャビアは2012年、ライトニングS(フレミントン競馬場)とダイヤモンドジュビリーS(ロイヤルアスコット開催)を制した。エアロヴェロシティは2015年、高松宮記念(中京競馬場)とクリスフライヤーインターナショナルスプリント(クランジ競馬場)で勝利を収めていたが、怪我のために地元の香港スプリントを回避した。
豪州の農業・水資源省は2017年10月、HKJCが従化区トレーニングセンターのオープンに伴い提案した防疫対策は不十分だとし、香港から豪州への馬輸入に6ヵ月の検疫期間を課した(訳注:レース出走や引退後の繋養を目的に香港馬を豪州に直接輸送できない。ニュージーランドを経由する場合はそこに180日間滞在させなければならない)。
HKJCはその防疫対策を強く弁護してきた。国際獣疫事務局(World Organization for Animal Health)と共同で従化区トレーニングセンターの馬衛生基準を設けたと主張し、この問題を長引かせている豪州政府を非難した。
2017年12月の香港国際競走には、豪州馬は1頭も出走しなかった。一方、HKJCは最近開催されたマジックミリオンズゴールドコースト1歳セール(クイーンズランド州)で1歳馬を購買しなかった。
By Scott Burton
(1ドル=約110円)
(関連記事)海外競馬ニュース 2017年No.37「豪州が香港からの馬の輸送を一時停止(オーストラリア・香港)」
[Racing Post 2018年1月19日「Global Sprint Challenge suspended as row between Australia and Hong Kong continues」]