活躍が期待された女性騎手、サミー・ジョー・ベルが引退を発表(イギリス)[その他]
サミー・ジョー・ベル(Sammy Jo Bell)騎手(27歳)は、2015年シャーガーカップに見習騎手として出場し、2勝を挙げた。そのときは新たな有力騎手として今にも台頭しそうだったが、その後伸び悩んだことを認め、引退の意思を発表した。最近、ヨーク競馬場から臨時職の依頼を受けたことも明らかにしていた。
ベル騎手は2015年8月、開催直前に招待されたシャーガーカップでトップジョッキーとなり、シルバーサドル賞を獲得したとき、その後も数々の偉業を達成していくように思われた。
しかし、2015年シーズンに28勝した後、2017年にはたった16勝しか挙げられず、新たな挑戦を見つけるために現実的な決断を下した。
ベル騎手は2月12日にこう語った。「大分前から考えていたことです。怪我から復帰しましたが、期待していたほどの成果を挙げられませんでした。昨年は167戦16勝でまずまずでしたし、多くの人が16勝するのにも必死に頑張っていることは知っています。でも、私にとってそれは十分ではありませんでした。復帰したときにできるかぎりの努力をしました。以前と同じぐらい上手く乗れたと感じました。思い返して、"ひどかった"と感じる騎乗などありませんでした。しかしもう27歳なので、どこかで線引きをしなければなりません。今こそ前に進む時だと決心しました」。
北アイルランド出身のベル騎手は、ジム・ボルジャー(Jim Bolger)厩舎やケヴィン・プレンダーガスト(Kevin Prendergast)厩舎の馬に騎乗していた。その後英国に渡り、リチャード・フェイヒー(Richard Fahey)厩舎に属している。
2016年5月、カーライル競馬場において、後肢で立ち上がった馬の下敷きとなったことで、ベル騎手は重度の骨盤骨折を負い、8週間の車椅子生活を余儀なくされた。金属板を除去するために大きな外科手術を受けたことで再び長いリハビリ生活に入り、それを終えたところだった。
「騎乗を再開してレースに復帰するか、終わりにするか、最終的な決定をしなければならないことは分かっていました。発表を遅らせることで、考え直す選択肢を自らに与えていました。ずっと騎手を続けたいと思って努力してきました。けれど、決断を引き延ばしてはならないと分かっていました。次の章に進む前に引退発表を済ませてしまいたいと思いました」。
ベル騎手はアイルランドで10勝した後に、英国で72勝を挙げた。10月10日にはカテリック競馬場において、最後の騎乗馬となったオールマイラブ(All My Love パム・スライ厩舎)で勝利を挙げた。
「感傷的になっているわけではありません。しかし、記事に書かれると、また違った感情を抱くかもしれません。なぜならそれは引退する過程の最後の段階だからです」。
「まさに、騎手生活を終わらせようとしています。寂しい思いをするに違いありません。レースで騎乗することほど面白くアドレナリンがみなぎるようなことは他にありませんから。しかし、正しい決断をしたと確信しています」。
サミー・ジョー・ベル騎手の経歴
年齢:27歳
自己年間最多勝:28勝(2015年)
通算勝利数:82勝
リチャード・フェイヒー厩舎所属馬での勝利:51勝
英国における獲得賞金額:74万951ポンド(約1億1,114万円)
記憶に残る騎乗(1):騎手生活が始まったばかりの頃、レパーズタウン競馬場でケヴィン・プレンダーガスト調教師が管理するケルティックデイン(Celtic Dane)に騎乗して初勝利を挙げた。「ギニー競走のトライアルレースの施行日で、レースで騎乗し始めてからわずか3頭目の馬でした。この日を一生忘れないでしょう」。
記憶に残る騎乗(2):シャーガーカップ(アスコット競馬場)においてロイヤルシグナラー(Royal Signaller)とシェルベイ(Shell Bay)で勝利を挙げて、シルバーサドル賞を獲得したことで多くの見出しを飾った。この2勝は女性騎手チームを優勝に導くこととなった。「しばらくの間、そのことを自慢していました」。
記憶に残る騎乗(3):2016年4月のベヴァリースプリントHをアークティックフィーリング(Arctic Feeling フェイヒー厩舎)で制したことで、この馬での7勝目を挙げた。この馬は現在、ベル騎手の母と一緒に北アイルランドにいる。
By Lee Mottershead
(1ポンド=約150円)
[Racing Post 2018年2月12日「Shergar Cup sensation Sammy Jo Bell announces the end of her riding career」]