マイケル・オーウェン氏、馬の福祉への理解を深めるビデオに出演(イギリス)[その他]
馬の福祉への取組みは、チェルトナムフェスティバルにおいて競馬界内部から批判の声が上がるなど、その成行きが注目されている。しかし今般、オーナーブリーダーでサッカー元イングランド代表のマイケル・オーウェン氏(39歳)から心強い支持を獲得した。
"ホースカムズファースト(Horse Comes First)"は、競走馬が現役中も引退後も手厚くケアされることへの理解を深めるために、英国競馬界の主要組織が一致団結して実施する馬の福祉への取組みである。競馬界は"ホースカムズファースト"を通じて、馬の福祉に関するプロモーションビデオを制作した。その中でイングランド代表として3回のワールドカップで戦ったオーウェン氏は、トム・ダスコム(Tom Dascombe)調教師と一緒に所有するチェシャー調教場(Cheshire yard)において、馬がどのようなケアを受けているかを紹介した。
"ホースカムズファースト"のウェブページ(オーウェン氏出演のビデオ有)。
https://www.britishhorseracing.com/regulation/horse-comes-first/
"ホースカムズファースト"はBHA(英国競馬統轄機構)をはじめ以下の組織により支持されている。
競馬場協会(Racecourse Association)、馬主協会(Racehorse Owners Association)、騎手協会(Professional Jockeys Association)、全国調教師連合会(National Trainers Federation)、ジョッキークラブ、英国厩務員協会(National Association of Racing Staff)、アリーナレーシング社(Arena Racing Company)、"競走馬の再調教(Retraining of Racehorses)"。
このプロモーションビデオはSNS上で、アイルランドのパット・スマレン(Pat Smullen)騎手から「いいね!」を獲得した。このビデオにはダスコム調教師とその助手のコリン・ゴーマン(Colin Gorman)氏も出演しており、オーウェン氏は"これらの人々は実際に自らの生活を馬に捧げています"と述べている。
華やかな現役時代に名門レアルマドリードでもプレーしたリバプールのスター、オーウェン氏はこう付言した。「何としても怪我を防ぐ方法で馬を調教しています。私たちの厩舎で馬がどのようなケアと調教を受けているかを目にすれば、ここにいる馬が快適に過ごしていると確信するでしょう」。
BHAのスポークスマンであるロビン・マウンジー(Robin Mounsey)氏はこう語った。「"ホースカムズファースト"は、『競馬界における馬の福祉の水準は高い』という認識を深める取組みです。競馬界以外の人々にもこのことを伝え、競走馬がどれほど手厚く扱われ、ケアされているかを示すことを目的としています」。
「マイケル・オーウェン氏は、世界中で高く評価された元サッカー選手であり、SNSで莫大なフォロワー数を誇るほどの大きな影響力があります。同氏の協力は、この重要なメッセージを幅広い人々に届けるのに寄与するでしょう」。
BHAの声明には、「馬の福祉は競馬界において絶対的な最優先事項です」と記されていた。しかしBHAは最近、馬の福祉の問題への対処方法に関して、激しい非難を浴びていた。一例を挙げると、アマチュアジョッキーのデクラン・レイヴリー(Declan Lavery)騎手がナショナルハントチェイス(チェルトナムフェスティバル)でジェリーズバッグ(Jerrysback)に騎乗して3着となったが、"馬の福祉に反する状態で騎乗を続けた"とされ10日間の騎乗停止処分を受けた。後日この処分は覆ることになる。
元騎手のサー・アンソニー・マッコイは、これは「チェルトナムフェスティバルで過去25年間に見られた裁決の中でも最悪なものだ」と述べた。レーシングポスト紙ではヘンリエッタ・ナイト(Henrietta Knight)、ミック・シャノン(Mick Channon)、チャールズ・エジャートン(Charles Egerton)の各調教師がBHAのCEOニック・ラスト氏を激しく批判した。彼らは同氏の態度を非難し、「障害競走に理解のない豪州出身者を多く雇いすぎている」と責め立てた(訳注:豪州では動物愛護団体からの抗議などが原因で、各州で行われていた障害競走は廃止され、現在は南オーストラリア州でしか施行されていない)。
By James Burn
[Racing Post 2019年3月27日「Former England striker Michael Owen puts his name to racing's welfare drive」]