BHA、遺伝子ドーピングの研究に100万ポンドを初期支出(イギリス)[獣医・診療]
BHA(英国競馬統轄機構)は、競馬界が遺伝子操作から自らを守る方法を研究するために、100万ポンド(約1億4,500万円)を初期支出する。このことは、ロンドンで3日間(4月16日~18日)にわたり開催された"クリーンな競技のためのパートナーシップ会議(Partnership for Clean Competition conference)"で言及された。
この研究はニューマーケットのLGC研究所において実施され、科学者とともに遺伝子ドーピングの潜在的な有用性を調べる。それには、競走能力の向上、遺伝子発現の変更、レースの疲労や怪我からの回復のスピードを早めること、などが含まれる。
本紙(レーシングポスト紙)は昨年10月、IFHA(国際競馬統括機関連盟)とISBC(国際血統書委員会)が遺伝子ドーピングに対処する原則と実用的な抑止のための指針に合意したと伝えた。これは、人間のスポーツにおいて血液ドーピングの後の新しい未開拓分野であると見られる遺伝子ドーピングと闘う最初の一歩だった。
2018年凱旋門賞(G1)の翌日、第52回IFHA年次総会(通称:パリ会議)において、IFHAの遺伝子ドーピング分科委員会の議長である草野寛一氏(JRA獣医師)は、「遺伝子ドーピングは、競馬の公正確保と勝馬投票を危険にさらす可能性があり、遺伝子操作を受けたサラブレッドが作り出される恐れがあります」と警告していた。
"クリーンな競技のためのパートナーシップ会議"において、LGC研究所のアニマル・スポーツ・テスティング班の主任であるジェームズ・スカース(James Scarth)博士は、スピーチを行った。他の演者には、2005年世界マラソンのチャンピオンであるポーラ・ラドクリフ氏と元WADA(世界アンチ・ドーピング機関)事務総長のデヴィッド・ハウマン(David Howman)氏などがいた。
スカース博士はデイリーメール紙に、「遺伝子ドーピングについては長年議論を重ねてきましたし、競馬産業でもこれについて話してきました。しかし私たちは今、新しい時代の始まりを見ています」と語った。
By Scott Burton
(1ポンド=約145円)
(関連記事)海外競馬情報 2009年No.1「新手の不正行為、遺伝子ドーピング(アメリカ)」
[Racing Post 2019年4月22日「BHA commits £1 million in funds to fight against gene doping of horses」]