大手ブックメーカー5社、賭事依存症対策への資金提供額を大幅増加(イギリス)[その他]
英国の大手ブックメーカー5社は、賭事依存症の治療・研究への資金提供額を大幅に増加することに合意した。
デジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)のジェレミー・ライト大臣は、「政府との幅広い議論の一環としてより多くのことを実施したいという賭事産業の意欲に、勇気づけられてきました」と語った。
ブックメーカー5社[ベット365社(bet365)、スカイベット社(Sky Bet)、ウィリアムヒル社(William Hill)、GVC社(GVC ラドブロークス・コーラル社)、フラッター社(Flutter パディパワー・ベットフェア社)]は、今後5年間において任意の資金提供を粗利益の0.1%から1%に引き上げることに合意した。これにより、資金提供の総額は6,000万ポンド(約81億円)に上る。
5社のCEOは、次の2点を目標とする長期的計画の策定の協議プロセスにも着手する。① 賭事に関する被害から若者・傷つきやすい消費者を保護。② 賭事依存症の人々への治療サービスの迅速な拡大。
5社のスポークスマンはこう語った。「研究・教育・治療への資金提供額を増加させるなど、一層安全な賭事を提供するための対策の実施に向けて、DCMSのライト大臣と積極的に関わり合ってきました」。
「私たちは引き続きこの問題に取り組みます。そして"賭事による被害の影響を最小限にとどめる"という共通目標を達成するには何が最善か模索するために、すべての利害関係者と協議するでしょう」。
「さらに私たちは、賭事による被害を最小限にするための対策について、より広範囲のブックメーカーとともに取り組んできました。そのうち、この取組みについても報告します」。
政治家、運動家、そして賭事委員会(Gambling Commission)など賭事依存症について取り組んでいる団体は、現在の任意の資金提供を義務的な賦課金支払いに転換するように要求している。しかし大臣たちは現在のところ、この要求に抵抗している。
ライト大臣は6月19日にこう述べた。「賭事依存症に取り組む研究・教育・治療のための資金を増やすことなどで、賭事産業が社会的責任を一層向上させ、賭事客の安全を確保することを期待しています」。
「私は最近、賭事産業の重要人物たちと会合を持ちました。またDCMSは、賭事産業からの資金提供を増やして、消費者が安全に賭事を行えるようにする対策を確約する強固なプログラムについて、彼らと話合いを継続しています」。
「政府にとって、賭事による被害のリスクから消費者とその家族を守ることは優先事項です。賭事産業が現在さらに多くの対策を講じる必要があると認識していることで、私は勇気づけられています」。
慈善団体ギャンブルアウェア(GambleAware)への任意の資金提供は昨年、1,000万ポンド(約13億5,000万円)近くにまで上った。ブックメーカーからの提案が賭事産業全体に広がるのであれば、同産業からの提供額は1億ポンド(約135億円)にまで上るだろう。
現在のところ、賭事依存症治療を専門とする医療センターはロンドンに1つある。この夏2つ目がリーズにオープンする予定。
労働党のトム・ワトソン副党首は、賭事産業が義務的な賦課金支払いを行うことを要求してきた者の1人である。同氏は6月中旬、この賦課金がどのように使われるかについて、正式な監査プロセス、影響評価、訓練、臨床基準が必要だと述べた。
By Bill Barber
(1ポンド=約135円)