ジョッキークラブ円卓会議、米国競馬界にルール統一化が求められる(アメリカ)[開催・運営]
レーシングNSW(Racing New South Wales)とレーシングオーストラリア(Racing Australia)の会長を以前務めていたジョン・メッサーラ(John Messara)氏は、米国の競馬統轄者に対し、現行の州ごとに定められている薬物方針を廃止して、全米で一貫したルールを構築することを促した。
アローフィールドスタッド(Arrowfield Stud)のオーナー兼会長であるメッサーラ氏は、8月11日の第67回ジョッキークラブ円卓会議(Jockey Club Round Table Conference ニューヨーク州サラトガスプリングスで開催)において演説を行った。
米国競馬界が全米で統一された薬物方針を採用すれば、サラブレッド産業全体に有益な影響がもたらされると、同氏は確信している。
ジョッキークラブのジェームズ・ギャグリアーノ(James Gagliano)理事長との質疑応答において、メッサーラ氏はこう述べた。
「全米で統一された薬物方針を採用することで、米国におけるサラブレッド取引が活発となるでしょう」。
「豪州の競馬関係者は、薬物が投与されている可能性を理由に、米国の繁殖牝馬や種牡馬を購買するのに二の足を踏みます。私たちは判断を誤るよりも、距離を置くことを選んでいます」。
メッサーラ氏は、全米において豪州などと同様の薬物方針が実施されるのであれば、競馬のより一層の国際化への道が切り開かれるだろうと主張し、こう付言した。
「血統の国際的プロバイダーとしての米国の信頼性は、本来あるべきレベルより低くなっています。米国のホースマンには、団結を呼びかけたいと思います」。
「"サラブレッド競馬公正法(Thoroughbred Horseracing Integrity Act 訳注:米国反ドーピング機関に対し、競馬界の薬物ルールの独立監督機関を設立する権限を付与する連邦法)"が成立すれば、それは競馬の将来にとって素晴らしい基盤となるでしょう。公平な競争環境が作り出され、競馬は一層国際的なものとなるでしょう」。
一方、香港ジョッキークラブ(Hong Kong Jockey Club)のキム・ケリー(Kim Kelly)上級裁決委員は、米国の走行妨害に関するルールを他の国々のルールと統一するように求めている。競馬主要国の中で、米国・カナダ・トルコだけが"カテゴリー2"の走行妨害ルールを採用している。
"カテゴリー2"においては、走行妨害が偶発的なものであろうと不注意によるものであろうと、裁決委員は加害馬を失格にできる。裁決委員はまず、走行妨害があったかどうか、そしてそれが着順に影響を与えたかどうかを判断しなければならない。
大々的に報じられたケンタッキーダービー(G1)で1着入線したマキシマムセキュリティ(Maximum Security)の降着は、"カテゴリー2"の解釈により導かれたものである。
ケリー氏はこう語った。「"カテゴリー2"は一貫性がなく好ましくない結果をもたらすというのが私の見解です。"カテゴリー1"は完璧ではないかもしれませんが、他よりもずっと不備が少ないルールです」。
「すべての関連要因および様々な議論が考慮され、適切に検討された上での決定であるならば、それは常に支持できるものです」。
「透明性こそがすべてに勝ります。競馬のルールに対する信頼性が最も重要であり、それがなくなれば全てを失ってしまうことになります」。
By Carl Di Iorio/racing.com
[Racing Post 2019年8月16日「Messara urges US to adopt consistent nationwide drug policy」]