バーデン大賞14馬身差優勝のガイヤース、凱旋門賞で台風の目となるか?(ドイツ)[その他]
ガイヤース(Ghaiyyath 牡4歳)は9月1日(日)のバーデン大賞(G1)で他馬を撃退し、荒々しく力強い走りを見せて圧倒的な14馬身差で優勝した。鞍上のウィリアム・ビュイック騎手は驚きを隠せず、"まさに怪物"とお墨付きを与えた。
それは、観客にぽかんと口を開かせ、凱旋門賞(G1)での同馬の単勝オッズを急落させるほどのパフォーマンスだった。ガイヤースがエネイブルの史上初の凱旋門賞三連覇を阻んで栄冠を手に入れることにはオッズ15倍(これまでは34倍)がつけられており、同馬はエネイブル陣営にとって脅威となるかもしれない。
この日の午後はチャーリー・アップルビー調教師にとって記憶に残るものとなった。同調教師はムーンライトスピリット(Moonlight Spirit)でリュテス賞(G3 パリロンシャン)、さらにヴィンテイジャー(Vintager)でエッティンゲンレネン(G2 バーデンバーデン)を制していた。しかし、中でもガイヤース(ゴドルフィン所有)によるバーデン大賞の勝利は、宝石のようにきらびやかなものだった。5月から怪我のために戦線離脱していたビュイック騎手に復帰後初のG1勝利をもたらした同馬のパフォーマンスは、異彩を放っていた。
4月にガネー賞(G1)で3着になって以来の出走だったガイヤースは、すばやくハナに立ってリズムに乗った。最後の直線に差し掛かっても、ビュイック騎手が依然として先頭で全力を尽くし続けていたので、他馬は完全に圧倒され始め、どんなに頑張ってもガイヤースに一撃をくらわすほど接近できなかった。
これほどの大差のG1優勝はそうそうない。思い出されるのは、タートルアイランド(Turtle Island)とピーアン(Paean)による大差の勝利であり、それぞれ1994年愛2000ギニー(G1)と1987年ゴールドカップ(G1)を15馬身差で制した。
ビュイック騎手はこう語った。「ガイヤースはまさに怪物です。このような活躍をしばらく続けることを望んでいます。驚くべき馬です」。
「何らかの理由で、彼にはガネー賞で期待を裏切られましたが、チャーリーは常にガイヤースは2400mの距離で競走し続けると言って譲りませんでした。彼はついに今日、その実力を見せつけました」。
アップルビー調教師もガイヤースのパフォーマンスに圧倒されていた。また、陣営が我慢強く待ったおかげで、同馬はその能力をこれからも十全に発揮できると確信している。
同調教師はこう語った。「この馬にあっと言わされたのではないでしょうか?世界中のどこにおいても、彼が見せたようなスタイルでG1競走を14馬身差で勝つことは驚くべきことです。とてもワクワクさせられる馬で、現在凱旋門賞挑戦について話し合っています」。
「モハメド殿下に大いに感謝しなければなりません。殿下は私たちと同様に、この馬に大きな信頼を置いていて、レース間隔を大きく開けるという作戦に理解を示してくださいました。今日のことに関して言えば、我慢が報われる出発点だと思います」。
同調教師はこう続けた。「前走のガネー賞ではがっかりさせられました。ただ、そのときの優勝馬ヴァルトガイスト(Waldgeist)が昨年の凱旋門賞で素晴らしい走りを見せていたこと、2着のスタディオブマン(Study Of Man)も昨年仏ダービー(G1)を制していたことを考慮に入れなければなりません。また、ガイヤースは今シーズン初戦(アルクール賞)で良い走りを見せた後で、少しばかり揺り戻しもあったのかもしれません」。
ガイヤースとヴィンテイジャーの手綱を取ったビュイック騎手は、怪我のために夏の間ほとんど騎乗できなかった。アップルビー調教師はこう付言した。「ウィリアムと私は一緒に素晴らしいキャリアを積んできたので、2年ほど前から手掛けてきたこの馬が勝つことができてとても幸運です。彼が不在の間に、助っ人として騎乗してくれたジェームズ・ドイル騎手と一緒に取り組めたことも幸いでした。彼ほど適確な仕事をしてくれる騎手はいません」。
By Peter Scargill