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2019年10月03日  - No.38 - 3

引退競走馬が技を披露するサラブレッドメイクオーバー(アメリカ)[開催・運営]


 引退競走馬プロジェクト(Retired Racehorse Project)は10月2日(水)~5日(土)、ケンタッキーホースパーク(ケンタッキー州レキシントン)において、サラブレッドメイクオーバー&ナショナルシンポジウム(Thoroughbred Makeover and National Symposium 以下メイクオーバー)を運営する。米国サラブレッド・チャリティー(Thoroughbred Charities of America)が主催するこのイベントでは、人馬ともにお馴染みの顔が見られるだろう。

 2013年の設立から飛躍的に発展したイベント"メイクオーバー"では、今回は2018年12月1日以降に再調教を始めた元競走馬が技を披露する。トレーナーたちは次の10競技のいずれかに担当馬をエントリーする。(1)バレルレーシング(樽を回って走る速さを競う競技)(2)競技外乗、(3)馬場馬術、(4)総合馬術、(5)フィールドハンター、(6)フリースタイル、(7)ポロ、(8)ランチワーク(牛を追う競技)、(9)ショーハンター、(10)障害飛越競技。これら10競技においてそれぞれのチャンピオンが決められ、ファンの投票によりそのうち1頭が「米国で最も求められているサラブレッド(America's Most Wanted Thoroughbred)」という称号を獲得する。

 "メイクオーバー"は賞金総額10万ドル(約1,100万円)を提供する。ただし今年の参加馬の1頭タワーオブテキサス(Tower of Texas)は、現役時代に何度かG2競走を制し、ウッドバインマイル(G1)ではテピン(Tepin)の2着となり、すでに93万6,312ドル(約1億299万円)を獲得している。同馬は、セクレタリアト・センター(ケンタッキーホースパーク内のサラブレッド再調教・受入れ施設)のトレーナーおよび厩舎マネージャーであるカラ・トイ(Kara Toye)氏とコンビを組んで、ショーハンターとフィールドハンターに出場する。

 ミスターホットスタッフ(Mr. Hot Stuff)は現役時代、平地ではG1・3着内となり、固定障害ではG1優勝を果たしている。その後、クイン・スカラ(Quinn Scala)氏のもとで第3のキャリアを歩んでおり、"メイクオーバー"では障害飛越競技に出場する。"メイクオーバー"には他にも2頭の元固定障害馬が参加する。2015年の米国最優秀障害馬に選ばれたダワラン(Dawalan)はロジー・アレン(Rosie Allen)氏とのコンビでショーハンターと馬場馬術に出場し、G1馬ディプロマット(Diplomat)はサラ・カッツ(Sara Katz)氏とのコンビでフィールドハンターとショーハンターに出場する。

 ミスターホットスタッフは2009年にケンタッキーダービー(G1)で15着、ベルモントS(G1)で8着になった。"メイクオーバー"に参加するもう1頭のケンタッキーダービー出走馬はマイマンサム(My Man Sam)である。同馬は2016年にブルーグラスS(当時G1)で2着となり、ケンタッキーダービーでは11着となった。現役引退後は元ジョッキーのロジー・ナプラヴニク(Rosie Napravnik)氏のもとで第2のキャリアを歩んでおり、"メイクオーバー"ではショーハンターの団体戦に出場する。ナプラヴニク氏の姉でトレーナーのジャズ・ナプラヴニク氏もこのせん馬を手掛けており、ロジー氏の夫ジョー・シャープ(Joe Sharp)調教師もこの競技にチームメイトとして参加予定である。総合馬術に携わる一家に生まれたロジー・ナプラヴニク元騎手はサラブレッドの再調教と受入れに尽力しており、ベスルワイルドキャット(Bethel Wildcat)やサニモ(Sanimo)も総合馬術にエントリーしている。

 "メイクオーバー"では馬は一度しか出場できないが、騎乗者は何度でも出場することができる。今年の"メイクオーバー"には、これまで『米国で最も求められているサラブレッド』の称号を獲得した4人のトレーナーのうち3人が再び出場する。前回の優勝者エリザ・ウォレス(Elisa Wallace)氏は、世界中の大会に出場する総合馬術競技者である。同氏は今年の"メイクオーバー"で、クラフティチャージャー(Crafty Charger)を総合馬術に、プレイビッグ(Play Big)を総合馬術と馬場馬術にエントリーしている。

 ポロ競技で活躍する双子のチャーリー&ハリー・コールドウェル(Charlie and Harry Caldwell)兄弟は "メイクオーバー"の常連参加者であり、2017年にはチャーリー氏が優勝している。チャーリー氏とハリー氏は今年のポロ競技に、それぞれナットイナフレイン(NotEnoughRain)とシルクンレディ(Silken Lady)をエントリーしている。

 2015年に優勝したリンジー・パートリッジ(Lindsey Partridge)氏は今年、フェアリーオブヴィアス(Fairly Obvious)をフリースタイルとランチワークに、リジャイナクリスティーナ(Regina Christina)をフィールドハンターと競技外乗にエントリーしている。

 "メイクオーバー"では、引退競走馬のアフターケア・サラブレッドの調教・健康セミナーに関するフォーラム、元競走馬の展示、見本市も開催される。

 もう1つの注目イベントは、10月4日(金)の"メイクオーバーマスタークラス(Makeover Master Class)"である(スポンサー:サラブレッド教育・研究基金)。異なる引退馬調教施設から出された3頭が紹介され、それらの馬と無作為にコンビを組んだプロトレーナー3人が馬格や動きを解説する。また、それらの馬を評価して第2のキャリアを始動させるプロセスを見通す。

 今年のマスタークラスで紹介される3頭は、重賞勝馬ファーライト(Far Right)、ノルマンディクロッシング(Normandy Crossing)、ポルタポンティ(Porta Ponti)である。ファーライトは2015年サウスウエストS(G3)で優勝し、アーカンソーダービー(G1)で後に三冠馬となるアメリカンファラオ(American Pharoah)の2着となり、その後ケンタッキーダービーに出走した(結果は15着)。マスタークラスに参加するトレーナーはエリザ・ウォレス氏、優秀な馬場馬術競技者のエミリー・ブロイエー・カーティス(Emily Brollier Curtis)氏、ダグラス・ナン(Douglas Nunn)氏である。

By Nicole Russo

 (関連記事)海外競馬ニュース 2018年No.38「2018年ブリーダーズカップ、引退競走馬プロジェクトと提携(アメリカ)

[drf.com 2019年9月30日「Graded winners among Thoroughbred Makeover participants」]

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