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2019年11月07日  - No.43 - 2

ブリックスアンドモルタル、BCターフを制して年度代表馬有力候補へ(アメリカ)[その他]


 11月2日(土)のBCターフ(G1 芝約2400m)の残り2ハロンの地点で4頭が先行していたが、追い込んで先頭でゴールを駆け抜けた馬は、今年の米国年度代表馬に選ばれるかもしれない。

 ブリックスアンドモルタル(Bricks and Mortar)は、最後の直線で先頭を走っていたユナイテッド(United)をゴールの100m手前でとらえて頭差の勝利を手に入れた。

 同馬は最高のパフォーマンスでそのキャリアを締め括り、2019年米国年度代表馬のタイトル争いに名乗りを上げた。

 怪我による14ヵ月以上の戦線離脱から昨年12月に復帰して6連勝中だったブリックスアンドモルタルにとって、2400mは初めての距離だった。これまでは、より短い距離のレースでこのような追い込みを見せてきた。

 ブリックスアンドモルタル(単勝4倍)はイラッド・オルティス(Irad Ortiz Jr.)騎手を背に2000mまで馬群の中にいたが、最後の直線では主なライバルの外側の位置につけ、ダッシュして最後のストライド(完歩)で先頭に立つことができた。

 チャド・ブラウン調教師は、「彼は進路を見つけると特徴的な末脚を見せました」と述べた。

 ブリックスアンドモルタルはBCターフ(12頭立て)の最初の1マイルで馬群の中団にいた。ブラウン調教師はとりわけ馬群がスタンド前を通る最初の800mで同馬の位置取りに気を揉んでいた。

 「彼が1周目のゴール板を通り過ぎたときに、あまり良くないと思ったので、全くやきもきしていました」。

 ブリックスアンドモルタルは残り400mの地点で7番手を走っており、先頭を走っていたバンドゥア(Bandua)から2½馬身離されていた。ペースを作っていたアクリメイト(Acclimate)はバンドゥアと鼻を争いながら最後の直線に入ったが、そのとき3頭の外側を回ったユナイテッド(単勝52倍)が先頭に立った。

 しかしユナイテッドはあまり長い間先頭に立ち続けることができなかった。オルティス騎手がブリックスアンドモルタルを外に出して絶好の位置につけたのだ。

 ブラウン調教師は、「彼の前に進路が開けたとき、勝ちを確信しました」と語った。

 ブリックスアンドモルタルは、勝ち時計2分24秒73でベイヤー指数104を獲得した[訳注:ベイヤー指数とは、1970年前半にワシントンポスト紙の競馬コラムニストのアンドリュー・ベイヤー(Andrew Beyer)氏が考案した米国サラブレッドの能力を示すスピード指数。主要ステークス競走勝馬の指数は100台であり、非常に成績が良い場合には120台まで評価され得る]。

 このレースにおける唯一のステークス未勝利馬ユナイテッドは2着となって、そのキャリアにおいてずば抜けて良いパフォーマンスを見せた。その1¼馬身差で3着となったのは、6月に英ダービーを制したアンソニーヴァンダイク(Anthony Van Dyck)(単勝6倍)である。

 ユナイテッドを管理するリチャード・マンデラ(Richard Mandella)調教師はこう語った。「とても興奮しています。一瞬勝つかと思いました。ユナイテッドはとてもよく走りました」。

 残り800mの地点でライアン・ムーア騎手を背に8番手を走っていたアンソニーヴァンダイクは終盤でよく追い込んだ。直線の入口では馬群に揉まれていたが、最後の1ハロンで先行馬との差を詰めた。

 エイダン・オブライエン調教師はこう語った。「彼はよく走りました。すこし荒いレースになりました。幸運をつかむときも、そうでないときもあります。彼は健闘しました」。

 今年芝の重賞を3勝しているズールーアルファ(Zulu Alpha)が4着となり、その後にアルーナク(Alounak)、マウントエベレスト(Mount Everest)、チャンネルキャット(Channel Cat)、アークロウ(Arklow)、アクリメイト、バンドゥラ、オールドペルシアン(Old Persian)、チャンネルメーカー(Channel Maker)が続いた。

 オルティス騎手は勝利に我を忘れていた。ブリックスアンドモルタルを歩かせウィナーズサークルに導かれるのを待っている時に、何度か雄叫びを挙げた。同騎手にとっては素晴らしい午後となった。その日はそれまでに、BCダートマイル(G1)をスパントゥラン(Spun to Run)で制していた。BCターフの後には、総賞金600万ドル(約6億6,000万円)のBCクラシック(G1)をヴィーノロッソ(Vino Rosso)で制した。

 ブリックスアンドモルタルは通算成績13戦11勝、獲得賞金7,085,650(約7億7,942万円)でその競走生活を終える。馬主はクララヴィッチステーブル(Klaravich Stables)とウィリアム・ローレンス(William Lawrence)氏である。

 同馬は今年、6つの異なる競馬場のさまざまな距離のレース(1800m~2400m)で、G1・5勝、G2・1勝を果たした。1月にペガサスワールドカップターフ招待S(G1 芝約1900m ガルフストリームパーク)で優勝し、3月にマーヴィンムニスメモリアルH(G2 芝約1800mフェアグラウンズ)、5月にオールドフォレスターターフクラシック(G1 芝約1800m チャーチルダウンズ)、6月にマンハッタンS(G1 芝約2000m ベルモントパーク)、8月にアーリントンミリオン(G1 芝約2000mアーリントンパーク)で優勝している。2020年からは種牡馬として日本で供用される予定。

 ローレンス氏は「信じられないほど素晴らしい年でした」と語った。

 夏の終わりから10月にかけて、ブラウン調教師はブリックスアンドモルタルをBCマイルに出走させるか、それとも初距離のBCターフに挑戦させるかについて話し合ってきた。そして、10月20日ごろにBCターフを目標に定めた。

 ブラウン氏はこう語った。「私たちのチームは正しい決断をしました。そして、彼がそれを証明してくれました。毎回期待に応えてくれる馬でした」。

By Steve Andersen

(1ドル=約110円)

 (関連記事)海外競馬ニュース 2019年No.31「社台ファーム、ブリックスアンドモルタルの引退後の所有権を獲得(アメリカ・日本)

[drf.com 2019年11月2日「Bricks and Mortar stays undefeated on the year in Breeders' Cup Turf, improves Horse of the Year chances」]


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