デットーリ騎手、メルボルンカップで騎乗停止処分を受ける(オーストラリア)[その他]
今年のメルボルンカップ(G1 芝3200m)は、クレイグ・ウィリアムズ騎手が騎乗したヴァウアンドディクレア(Vow And Declare)が優勝した。一方、デットーリ騎手には9開催日の騎乗停止処分が科され、その騎乗馬マスターオブリアリティ(Master Of Reality)は2位から4位へ降着になった。
マスターオブリアリティ(ジョセフ・オブライエン厩舎)は、ゴールドカップ(G1 ロイヤルアスコット開催)で健闘しストラディヴァリウス(Stradivarius)の3着となっている。同馬の騎乗を任されたデットーリ騎手はメルボルンカップ入線後、不注意騎乗の嫌疑を掛けられた。裁決委員が2着馬マスターオブリアリティは4着馬イルパラディーゾ(Il Paradiso エイダン・オブライエン厩舎)の走行を妨害したと判断したことから、審議が行われた。
イルパラディーゾに騎乗したウェイン・ローダン(Wayne Lordan)騎手はデットーリ騎手の騎乗を批判しなかった。それでも、裁決委員はこの走行妨害が着順を変えるのに十分だったと判断し、マスターオブリアリティを2位から4位へ降着にし、3位入線のプリンスオブアラン(Prince Of Arran)と4位入線のイルパラディーゾの着順をそれぞれ1つずつ上げた。
今後1ヵ月間日本で騎乗する予定のデットーリ騎手を対象に行われた審議では、同騎手は不注意騎乗を行っていたと判断され、11月14日までの騎乗停止処分が言い渡された。
デットーリ騎手は、豪州で最も権威あるレースにおいて僅差で敗れたばかりで悔しそうな表情を浮かべていた。その後、ウィナーズサークルでジョセフ・オブライエン調教師と馬主のニック・ウィリアムズ(Nick Williams)氏にハグされた同騎手は、「泣きたいです」と言って検量室に向かって行った。
ウィリアムズ氏はこう語った。「デットーリ騎手はこのレースで勝つ気満々でしたので、彼のことを思ってがっかりしています。彼はマスターオブリアリティにあらゆるチャンスを与えてくれました。世界最高のジョッキーとされているデットーリ騎手でメルボルンカップを勝つこと以上に素晴らしいことはなかったでしょう。勝つこともあれば、負けることもある。それが競馬です。マスターオブリアリティは2マイル(約3200m)に適した馬で、私たちのために素晴らしいレースをしてくれました。ビッグレースの勝利は逃してしまいましたが、たしかに私たちにスリルをもたらしてくれました」。
デットーリ騎手はこれまでに、フレミントン競馬場のこの看板レースで2度2着となっている[1999年セントラルパーク(Central Park)、2015年マックスダイナマイト(Max Dynamite ウィリー・マリンズ厩舎)]。ジョセフ・オブライエン調教師はこのスタージョッキーに同情している。なお、同騎手はマックスダイナマイトに騎乗した際にも、1ヵ月間の騎乗停止処分と過怠金2万豪ドル(約150万円))を科されている。
オブライエン調教師は、「私自身よりもフランキーのことを思って残念な気持ちになっています。私は来年もメルボルンカップに戻って来たいのですが、フランキーがこのレースをこの先勝てるかは分かりません」と語った。
デットーリ騎手は裁決委員に、マスターオブリアリティがイルパラディーゾに対して行った妨害は些細なものだったと述べた。
同騎手は、「マスターオブリアリティは仲間を探していて、左側に行きました。しかし、私は両手で手綱を持って方向を修正しました。おそらく、もう1完歩早く動けたのでしょうが、他馬を少しだけ妨害することになりました」と語った。
ローダン騎手は11月1日のBCフィリー&メアターフ(G1)でイリデッサ(Iridessa ジョセフ・オブライエン厩舎)を勝利に導いていた。同騎手はデットーリ騎手と同じ考えだった。
ローダン騎手は裁決委員にこう語った。「私ははるかに後ろのほうから追い込んできました。フランキーの馬は疲れ始めており、ゴールが迫っていたので、私はそのまま走り抜きました。その妨害がレースにどれだけ影響したかは分かりません」。
By Jack Haynes in Melbourne
(1豪ドル=約75円)
[Racing Post 2019年11月5日「'I want to cry': Frankie Dettori banned after agonising defeat in Melbourne Cup」]