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2019年12月05日  - No.47 - 1

2020年ロイヤルアスコット開催の2レースの総賞金が100万ポンドに(イギリス)[開催・運営]


 2020年のロイヤルアスコット開催では、史上初めて総賞金100万ポンド(約1億4,000万円)のレースが施行される。それも1レースではなく2レースである。この賞金引上げは、同開催の賞金総額を1,000万ポンド(約14億円)とするという目標の最初の一歩となる。

 2020年ロイヤルアスコット開催(6月16日~20日)の賞金総額は、前年より76万5,000ポンド(約1億710万円)増加し、これまでで最高の809万5,000ポンド(約11億3,330万円)となる。

 プリンスオブウェールズS(G1)とダイヤモンドジュビリーS(G1)の総賞金はそれぞれ75万ポンド(約1億500万円)と60万ポンド(約8,400万円)だったが、2020年にはいずれも100万ポンド(1億4,000万円)となる。アスコット競馬場の役員は、海外馬券売上げとメディア&データ権料によって収入を増加させるために、外国調教馬を引き付けることを模索している。

 ロイヤルアスコット開催の全30レースはそれぞれ、総賞金9万5,000ポンド(約1,330万円)以上で施行される。そのうち、クイーンズヴァーズ(G2)[総賞金25万ポンド(約3,500万円)前年より2.5万ポンド増]やジャージーS(G3)[総賞金11万ポンド(約1,540万円)前年より2万ポンド増]を含む16レースの総賞金が引き上げられる。

 アスコット競馬場のCEOガイ・ヘンダーソン(Guy Henderson)氏は、世界中からの英国競馬界・生産界への関心を持続させる重要な役割をロイヤルアスコット開催は担っていると述べた。

 そしてこう続けた。「私たちの戦略は、英国競馬界への世界からの投資を促すためにロイヤルアスコット開催の注目度・人気・名声を高めることです。今回の賞金引上げは、同開催の主要G1競走をすべて100万ポンドレースとして施行するという私たちの目標に向けた最初の一歩です。また同開催全体の賞金総額を1,000万ポンド(約14億円)とするのが私たちの願望であり、バランスの取れた成長戦略の一部です」。

 「外国馬にとって大変魅力のある2つのレースを100万ポンドレースとして選びました。これらのレースに外国馬がもっと出走するようになれば、今回の賞金への投資に直接的な見返りがもたらされるでしょう」。

 アスコット競馬場の競走・コミュニケーション担当理事であるニック・スミス(Nick Smith)氏は、この賞金引上げはより身近な参加者もターゲットにしていると述べ、こう続けた。

 「英国で調教されているリステッド・G3・G2レベルの馬で、海外の同等レベルのレースに出走している馬は沢山います」。

 「豪州や日本の最強馬を引き付けたいというだけではなく(もちろん、引き付けたいのですが)、本命とはならなくとも英国に留まってG1レースに出走した馬に賞金を行き渡らせるという狙いもあります。これらのレースを英国の参加者にプロモートすることは、国際的にプロモートすることと同じぐらい重要なことです」。

 ヘンダーソン氏は、"なぜ、競馬番組全体に投資が広がらないのか?"と聞かれ、競馬場によってビジネスモデルが異なるからだと述べた。

 同氏はこう語った。「英国では賦課金を通じて補助金を提供する中央集金制度を採用しています。補助金は、独立した競馬場それぞれが各自のビジネスに適切なことを実施するために提供されます」。

 「アスコット競馬場のビジネスは他の競馬場とは異なっています。私たちの収入の70%は、何らかの形で来場してお金を費やした人々からもたらされます。それゆえ、提供するレースのクオリティーの向上が投資プログラムの中心にあります」。

 アスコット競馬場の2020年賞金総額は今年より81万9,000ポンド(約1億1,466万円)引き上げられ、1,440万ポンド(約20億1,600万円)となる(競馬産業が開催する英国チャンピオンズデーの賞金は除く)。アスコット競馬場自体からの資金提供額は740万ポンド(約10億3,600万円)から810万ポンド(約11億3,400万円)に引き上げられる。これは、2010年の提供額410万ポンド(約5億7,400万円)の約2倍である。

 それでも、アスコット競馬場は財政の圧迫から免れられるわけではない。なぜなら、政府のFOBT(固定オッズ発売端末)への厳格な対策によりベッティングショップの閉店が相次いでおり、メディア権料収入が減少しているからである。

 ヘンダーソン氏は、「英国において免許を取得した賭事業者(Licensed Betting Offices: LBOs)から得られるメディア権料と賦課金収入は厳しい状況にあります。2020年以降の計画を立てることはとても困難です」と付言した。

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By Bill Barber

(1ポンド=約140円)

[Racing Post 2019年12月3日
「Two Royal Ascot races worth £1 million in 2020 as course aims for £10m meeting」]

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