英ダービー馬オーソライズド、トルコで供用（トルコ）［生産］

　複数の消息筋は本紙（レーシングポスト紙）に対し、2007年英ダービー優勝馬オーソライズド（Authorized 15歳）をトルコが購買したことを認めた。同馬は種牡馬として、グランドナショナルを連勝したタイガーロール（Tiger Roll）を送り出している。

　トルコジョッキークラブ（Turkish Jockey Club）は、2020年から供用する種牡馬を立て続けに購買しており、オーソライズド（父モンジュー）の購買はその直近の例である。同クラブはすでに北米からボードマイスター（Bodemeister）とスーパーセイバー（Super Saver）、フランスからマイボーイチャーリー（Myboycharlie）を購買している。

　過去6年間ロジス牧場（フランス・ノルマンディー）で供用されていたオーソライズドが、これまでトルコが欧州から購買した中で最も注目を浴びる種牡馬となるのは間違いない。

　元リーディングジョッキーのマイケル・キネーン氏がマレンゴインベストメンツ社（Marengo Investments）およびナイトンハウス（Knighton House）と共同生産した鹿毛のオーソライズドは、当歳のときにタタソールズ社12月セールにおいてトニー・ナーシーズ（Tony Nerses）氏により9万5,000ギニー（約1,397万円）で購買された。その後、イマド・アル・サガル（Imad Al Sagar）氏とサレー・アル・ホマイジ（Saleh Al Homaizi）氏を馬主とし、ピーター・チャプル-ハイアム（Peter Chapple-Hyam）調教師に管理された。

　オーソライズドはデビュー戦（未勝利戦）で敗れたが、2戦目のレーシングポストトロフィー（G1）を制した。3歳シーズン初戦のダンテS（G2）で圧勝したことにより英ダービー（G1）では1番人気に推され、5馬身差の楽勝を収めた。これはフランキー・デットーリ騎手にとって15回目の英ダービー挑戦にして初めての勝利となった。

　同馬はその後、エクリプスS（G1）で2着となった後、強豪馬ぞろいの英インターナショナルS（G1）でディラントーマス（Dylan Thomas）、ナットナウケイト（Notnowcato）、デュークオブマーマレード（Duke Of Marmalade）を退けて優勝した。

　オーソライズドは当初、平地の種牡馬としてダーラムホールスタッド（ニューマーケット）で供用され［ただし2年目はキルダンガンスタッド（アイルランド・キルデア州）で供用］、平地競走において数々の優秀な産駒を送り出した。最も有名な産駒は、英国産だが豪州を拠点にG1を何度も制しているハートネル（Hartnell）である。またG1優勝牝馬のアンビヴァレント（Ambivalent）とシールオブアプルーヴァル（Seal Of Approval）も送り出している。

　オーソライズドは豪州にシャトルされ、南半球でさらに2頭のG1馬、コンプレイセント（Complacent）とポウナム（Pounamu）を送り出している。

　オーソライズドは障害の種牡馬となってからのほうが大きな名誉を手にする。ニコルスキャニオン（Nichols Canyon）、スターンルビン（Sternrubin）、ザンディマン（Zamdy Man）などの優秀な障害競走馬のほか、最も注目に値するタイガーロール送り出したのだ。タイガーロール（ゴードン・エリオット厩舎）はゴドルフィンによって平地から障害に転向させられた馬であり、今年レッドラム（Red Rum）以来のグランドナショナル2勝を達成した。

　英国とアイルランドの障害種牡馬を供用する牧場はオーソライズドの購買を持ち掛けていたが、ダーレーが断り続けていたことは広く知られている。同馬は今年、ロジス牧場にて種付料1万2,000ユーロ（約144万円）で供用され、87頭に種付けを行った。

　トルコではすでにトルクマクト（Toruk Macto）やビシビシ（Bici Bici）などの産駒が活躍しているので、オーソライズドは種牡馬として高い人気があった。

　トルコジョッキークラブは伝えられるところによると、供用している種牡馬の死や老齢化を受け、新たな優良種牡馬を採用している。同クラブのサラブレッド生産を向上させるための財源は、国内の賭事売上げからの税収により増えている。

　同クラブはトルコの5つの種馬場で種牡馬を供用しているが、生産者がさまざまな種牡馬を使えるように、それらの種牡馬を交互に移動させている。

By Martin Stevens

（1ポンド＝約140円、1ユーロ＝約120円）

［Racing Post 2019年12月10日「Authorized the latest sire confirmed as sold to the Turkish Jockey Club」］