イタリアの最後のG1競走が消滅(欧州)[開催・運営]
経営難のイタリア競馬産業は、さらに2つの打撃を受けた。イタリアの最後のG1競走リディアテシオ賞が2019年にG2競走に格下げされ、ヨーロッパ・パターン競走委員会(European Pattern Committee:EPC)でのイタリアの地位は当分"準メンバー"とされることになった。リディアテシオ賞は、ルカ・クマーニ調教師がゴッドギヴン(God Given)で現役最後のG1勝利を挙げたレースである。
1月24日にBHA(英国競馬統轄機構)で開催されたEPCの会合を受けて、他にもパターン競走に大きな変更があった。まず、シーズン終盤に長距離路線の牝馬にチャンスを与えるため、凱旋門賞ウィークエンドに施行されるロワイヤリュー賞(2500m パリロンシャン競馬場)がG1競走に格上げされた。そして、3つのG3競走がG2競走に昇格した。その1つは、後にBCマイル(G1)優勝馬となるエキスパートアイ(Expert Eye)が昨年制したシティオブヨークS(約1400m ヨーク競馬場)である。
EPCのブライアン・カヴァナー(Brian Kavanagh)会長はこう語った。「EPCは厳しい基準に従ってレース格付を行っており、基準を満たさないレースは降格しました。また2020年に格下げの可能性のあるレースがあれば、競馬統轄機関に通知しています。残念なことに、2019年に格下げされたレースの中には、イタリアの最後のG1競走リディアテシオ賞が含まれていました」。
「EPCは、イタリアの農林政策省の代表者たちが会合に出席してくださったことに満足しています。そしてこの困難に取り組むための一連の改革が終了するまで、イタリアのEPCでの地位は"準メンバー"になります。EPCはイタリアができるだけ早く正式メンバーに復帰することを心から望んでいます。そしてこの目標に向けてイタリアの統轄機関と協力したいと思います」。
他には、プライドS(約2000m)とゼットランドS(約2000m)がリステッド競走からG3競走に昇格することで、ニューマーケットの秋開催に恩恵がもたらされるだろう。一方、アイルランドのシーズン前半の2歳牝馬限定レースを強化する取組みの一環として、バランシーンS(約1200m カラ競馬場)がG2競走に昇格し、フィリーズスプリント(約1200 ネース競馬場)はリステッド競走からG3競走に昇格する。
他の注目を引く変更には、ジャンプラ賞(G1)の競走距離短縮(1600m→1400m)がある。このレースは伝統的に7月初旬にシャンティイ競馬場で施行されており、2017年にはサンダースノー(Thunder Snow)が優勝している。この変更の目的は、競馬番組の空白を埋め、3歳馬が目指しやすいレースとすることにある。これにより、モーリスドゲスト賞(G1 1300m)あるいはジャックルマロワ賞(G1 1600m)への路線が築かれるだろう。
EPCは、レース格付の基準では独ダービー(G1)やオイロパ賞(G1)を含む24レースが格下げのリスクに晒されていると通知している。
By Graham Dench
[Racing Post 2019年2月6日「Italy loses its final Group 1 following downgrading of Premio Lydia Tesio」]