南アフリカ競馬界・生産界、EUによる輸出手順の監査を歓迎(南アフリカ)[開催・運営]
EU(欧州連合)は、2020年4月あるいは5月に南アフリカの輸出手順に対する監査を実施することを認めた。これにより、南アフリカの競馬界と生産界は追い風を受けている。
監査実施の発表は12月17日(火)の会合を受けて行われた。この会合には、EU、南アフリカ農業省のムポー・マジャ(Dr Mpho Maja)動物衛生課長、国際貿易経済開発庁(ITED)のニキ・クルーガー(Niki Kruger)首席貿易交渉官が出席した。
官民連携企業である南アフリカ馬衛生&プロトコル(South African equine health and protocols:SAEHP)のエイドリアン・トッド(Adrian Todd)社長は、こう語った。
「EUは最終準備ができるように、事前監査チェックリストを年明け早々にも送ってくるでしょう。南アフリカの生産界と競馬界にいる我々全員にとって、最もワクワクするような展開です。民間と政府部門が協力して同じゴールを目指すときに何ができるかを示しています」。
2013年5月にEUの監査を受けて以来、南アフリカは世界のほとんどの地域に馬を直接輸出できなくなった。その監査において、南アフリカは輸出馬が収容される管理区域がアフリカ馬疫(African Horse Sickness:AHS)に感染していないことを保証できなかった。
それ以来、輸出馬は南アフリカで最短21日の検疫期間を義務付けられ、欧州に到着する前にモーリシャスでさらに3ヵ月の検疫期間、そして欧州から他国に輸送される前に30日~60日の滞在期間が求められる。
SAEHP は10月に発表した覚書において、「EUによる監査がさらに延期となれば、南アフリカの競馬界・生産界は内部崩壊のリスクに直面します」としている。
トッド社長はこの覚書でこう述べている。「私たちはEUに譲歩ではなく、疾病管理システムの調査を求めています。私たちの立場について働き掛ける上で、欧州と英国の競馬産業が支援してくれることを信じています。突破口なしでは、私たちの産業は存続できません」。
南アフリカで8回リーディングトレーナーとなり、SAEHPの理事会メンバーであるマイク・デコック(Mike de Kock)調教師は、「今年、厩務員の暴力的なストライキ、競馬場の閉場、賞金の大幅削減に見舞われた南アフリカ競馬界にとって、EUによる監査は"今年一番の知らせ"です」と述べた。
デコック調教師は輸出手順の変更後に、2014年チャンピオンズマイル(G1シャティン競馬場)をヴァラエティクラブ(Variety Club)で制して以来、国外でG1を優勝していない。
同調教師はこう語った。「今年数々の嫌なニュースがあった後に、これは今年一番の知らせです。南アフリカ競馬界の今後について考えるとワクワクします。まだ監査が終わるのを待たなければならず、いくつかの技術的問題も浮上するでしょう。それでも、私たちがここまで来られたことを嬉しく思っています」。
「これは死活問題です。ドバイの王族を含め南アフリカの競馬産業に多額の投資を行ってきた人々の中には、しびれを切らしてきた人もいます。しかし今ついに、具体的な展開がありそうです。トンネルの向うに光が見えてきました」。
「移動を制限する輸出手順のせいで、私の事業にも予期せぬことが起こりました。ドバイに滞在する海外でも通用する管理馬40頭が完全に足止めをくらったのです」。
「SAEHPのトッド社長とそのチームは懸命に働き、多くの障害に直面しながらも私たちをここまで導きました。彼らは称賛に値します。また、競馬界を優先してくれたマジャ博士、その他、舞台裏で素晴らしい仕事をしてくれた人々にも感謝します」。
By James Thomas