バーチャルリアリティのグランドナショナルをITVが放映(イギリス)[その他]
ITVレーシングはグランドナショナル中止で空いた放送枠で、同レースのコンピュータシミュレーションを放映しようとしている。バーチャルリアリティ(仮想現実)のグランドナショナルは4月4日午後5時にITV1で放映される。
英国競馬が4月末まで全面的に中止されたことを受け、ITVレーシングは『ITVクラシックレース』もユーチューブチャンネルで放映する。これは、SNS利用者が選んだレースで構成される。
このシミュレーションは世界一有名な固定障害レースを精密に再現するために、アルゴリズム(コンピュータが計算処理を行うときの手順)やCGIアニメーション(コンピュータで作った画像のアニメーション)を駆使する。エイントリー競馬場とグランドナショナルの障害は、見た目を一層リアルにするためにグラフィックデザインされている。
"バーチャルリアリティ・グランドナショナル"の出走馬は、新型コロナウイルスの世界的流行を受けて3月16日に中止が決定された現実のグランドナショナルに参戦する可能性の高かった40頭で構成される。
これまでの"バーチャルリアリティ・グランドナショナル"優勝馬[現実の順位]
2017年優勝馬コーズオブコージズ(Cause Of Causes)[2着]
2018年優勝馬タイガーロール(Tiger Roll)[優勝]
2019年優勝馬ラスヴィンデン(Rathvinden)[3着]
この番組のホスト役はニック・ラック(Nick Luck)氏が務め、リチャード・ピットマン(Richard Pitman)氏とアリス・プランケット(Alice Plunkett)氏が進行役を務める。この番組では過去の優勝馬による40頭立てのグランドナショナルも放映され、レッドラム(Red Rum)とタイガーロールの対戦が見ものである。
制作総責任者のロブ・マクローリン(Rob McLoughlin)氏はこう語った。「私たちは最新のCGI技術とアルゴリズムを駆使し、実際のグランドナショナルに先立ってバーチャルリアリティレースを披露する準備をしていました。しかし今では、英国全体を元気づけたいと思っています。また、現実のレースではどのようなことが起こるのかコンピュータに尋ねてみたいです」。
「現実のグランドナショナルが中止となったのはとても悲しいことですが、バーチャルリアリティのグランドナショナルも魅力的で楽しく、2017年から信じられないほど精密であることが証明されています」。
このシミュレーションを制作するインスパイアードエンターテインメント社(Inspired Entertainment)の最高商務責任者であるスティーヴ・ロジャーズ(Steve Rogers)氏は、こう語った。「2017年にコーズオブコージズが"バーチャルリアリティ・グランドナショナル"で優勝し、数時間後の本当のグランドナショナルで2着になりました」。
「2018年の結果は、現実もバーチャルもほぼ同じ展開でタイガーロールが優勝して、驚異的なものとなりました。また2019年に、コンピュータは上位5頭のうちタイガーロールを含む3頭を的中させました」。
「私たちのチームは、今年の"バーチャルリアリティ・グランドナショナル"をこれまでになく一層リアルなものにするために日夜働いてきました。レッドラムとタイガーロールの対戦を放映するのが待ち遠しいです。もの凄い映像に仕上がっています」。
ITVは『ITVクラシックレース』と同時に過去4年間の目玉映像を放映する。また、障害シーズンを振り返るビデオポッドキャストも4月1日に視聴可能となる。
実際のグランドナショナルが中止となる前、タイガーロールが同レースを三連覇するオッズは9倍となっていた。また、同馬の強敵であるバーロウズセント(Burrows Saint)・エニーセカンドナウ(Any Second Now)・デフィニットリーレッド(Definitly Red)にそれぞれ13倍、マジックオブライト(Magic Of Light)に17倍のオッズが付けられていた。
By James Stevens
[Racing Post 2020年3月27日「Would Tiger Roll have done it? ITV to broadcast virtual 2020 Grand National」]