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2020年10月08日  - No.39 - 1

ルジェ調教師、凱旋門賞でソットサスに実力を発揮させる計画が成功(フランス)[その他]


 ジャン-クロード・ルジェ調教師(67歳)は、クリスチャン・デムーロ騎手とともに凱旋門賞(G1)初優勝を達成したときに、あらゆる段階で正しい判断をしてきたと述べた。同調教師が手掛けるソットサス(Sottsass)はインスウープ(In Swoop)とペルシアンキング(Persian King)を勇敢に打ち負かし、昨年の3着から順位を上げて凱旋門賞勝利を手にした。

 デムーロ騎手は後になって、同じ厩舎のラービアー(Raabihah)ではなくソットサスを選ぶように勧めてきたのはルジェ調教師だったと明かした。凱旋門賞までの今シーズンの成績が4戦1勝と振るわなかったソットサスの出走計画には疑念が掛けられていたが、同調教師はそれを完全に晴らした。

 数々の紆余曲折があった週の終わりに、ロンシャン競馬場の裁決委員は着順を確定させる前に10分もの審議を行ったことで、優勝馬関係者に冷や汗をかかせた。

 凱旋門賞3勝を目指していたエネイブルは6着となった。イヴァンジカ(Ivanjica)が優勝した1976年以来最もスローペースでレースが展開し消耗戦となったことで、エネイブルのファンが希望を抱く瞬間はほとんどなかった。

 しかし、優勝馬関係者にとってそれは全く重要なことではなかった。なぜなら、ルジェ調教師が1年前に凱旋門賞を終えて鞍を外した瞬間から練り始めた計画を実行していたからだ。

 ルジェ調教師はこう語った。「このために1年間働いてきました。2020年の最大の目標でした。開催日程に様々な変更が生じたため予定どおりに進めるのは簡単ではありませんでした」。

 「私たちはこの馬のためにやりたいと思っていたことを完全には実行できませんでした。しかしこの数日間は、彼が最高の状態にあると実感していました」。

 9月の愛チャンピオンS(G1 レパーズタウン競馬場)でソットサスが4着となったのを直接目撃した数人は、目の前にいる馬が凱旋門賞の本命であるとは思わなかったかもしれない。しかしルジェ調教師は、2000mを得意とする優良馬マジカル(Magical)とガイヤース(Ghaiyyath)を相手に戦ったことで、最も重要な日程に先駆けてソットサスに必要なスピードを蓄えさせたと確信していた。

 「フォワ賞(G2 ロンシャン)ではなく愛チャンピオンSに向かうのは難しい選択でしたが、短めの距離のほうがソットサスを鋭敏にさせると考えました。それは正しい判断でした。凱旋門賞当日に100%の実力を発揮させるために、すべてが計画されました。そして結果はこのとおりです」。

 父ジョヴァンニ・バッティスタ氏が亡くなって1ヵ月たらずで欧州の騎手の頂点を極めたデムーロ騎手は、数時間にわたりさまざまな感情を交錯させたに違いない。

 同騎手は表彰台を降りるときに「今はただこの瞬間を味わいたいです。明日の朝に目を覚ましたときには、もっとはっきりと実感するでしょう。父が亡くなってから1ヵ月も経っていません。彼への大きなプレゼントです。天から見守ってくれていることでしょう」と語った。

 デムーロ騎手はフランキー・デットーリ騎手の後ろにつけることをレース前に計画しており、そのとおりに実行していたが、一旦エネイブルが後方に下がると、ソットサスへの信頼が高まった。

 「スタートしたときに"勝った"と思いました。エネイブルが先頭に立たないのを目の当たりにしました。私たちがそれほど速く走っていないことが分かったときに、彼が直線で全力疾走して勝つことを確信しました。スローペースは大きな助けになりました。彼の末脚が他の馬を撃沈させることは分かっていました」。

 ルジェ調教師は凱旋門賞の前の数日間に、"ソットサス(父シユーニ)はしかるべきときにピークに達する"という考えを隠さなかった。その考えは、ラービアーではなくソットサスのほうを選ぶようにデムーロ騎手に勧めるのに足りるものだった。

 デムーロ騎手はこう語った。「愛チャンピオンSの前は、ラービアーに乗る予定でした。ソットサスは、昨年と同じ馬だとは思えないほど意欲も適応性も劣っていました」。

 「しかしアイルランドでのレースの直後に、ルジェ調教師は"ソットサスは復活するだろう"と言いました。私は"あなたがそう確信するのであれば、それを信じてソットサスに乗ります"と言いました」。

 「彼にとってアイルランドのレースに出走したことが役立ちました。なぜなら彼は今シーズン、フランスではそのような速いペースで走っていなかったからです。あのレースを経験することが本当に必要であり、後日調教で乗ったときには、"彼は復活した"と感じました」。

 ルジェ調教師は長い間、凱旋門賞は解くのがほぼ不可能なパズルであると認めていた。胸がどきどきするような今回の勝利の後、同調教師は再びその考えを述べた。

 そしてエイダン・オブライエン厩舎の4頭が出走取消となったことが、レースがどのように展開するかついての考えをはっきりさせたと明らかにした。

 ルジェ調教師は、「ペルシアンキングが先頭に立ったのを見て驚きませんでした。なぜなら、彼がかかってしまうのを抑えるには一番良い方法だからです。得意としない距離と馬場状態にもかかわらず、素晴らしいレースをしました。ソットサスはペルシアンキングの後ろの好位につけ、よく粘りました」と語った。

 その他すべてのこととして、エネイブルの歴史的快挙達成を妨げた張本人となったことについてどう感じているかと聞かれて"(競馬とは)そういうものだ"と述べ、こう続けた。

 「ジョン・ゴスデン調教師のことは大好きです。彼は自分の仕事に専念していますし、今年は私も英国に行けず、彼もフランスに来られずで、友情を築くほど会っていません。彼はとても偉大な調教師でエネイブルは超優秀な牝馬です」。

 「もし負かされるのであればエネイブルに負かされたいと思っていました。しかし、優勝馬は1頭のみです。それにエネイブルは2着ではなかったので、彼女に犠牲を払わせたわけではありません」。

 今回の凱旋門賞を細かく調べて、遅いタイムやペースが遅かったこと、そして不良馬場などを指摘して疑念を投げ掛けるフォーム(競走成績)の研究家はいるだろう。

 しかし今回現地で観戦できなかった馬主ピーター・ブラント(Peter Brant)氏にとっては、1971年のミルリーフが勝った凱旋門賞を現地で観戦したときにまで遡る夢の実現となった。

 そしてルジェ調教師はソットサスが仏ダービー(G1 ジョッケークリュブ賞)をレースレコードで制したことを意識していた。その2019年仏ダービーに病気のために立ち会えなかったルジェ調教師であるが、今回は時の人としてソットサスと一緒にきっかり時間どおりにやって来た。

By Scott Burton

[Racing Post 2020年10月5日「Rouget proves master of the hour as Sottsass soars in Prix de l'Arc de Triomphe」]


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