アデイブ、英チャンピオンSを鮮やかに制して英国G1初優勝(イギリス)[その他]
アデイブ(Addeybb)は驚異的に目覚ましいパフォーマンスで総賞金75万ポンド(約1億125万円)の英チャンピオンS(G1 アスコット)を制し、ついに英国でのG1初勝利を果たした。
昨年の同レースでマジカルのわずか¾馬身差の2着に敗れたアデイブは、主戦のトム・マーカンド(Tom Marquand)騎手(22歳)を背に、チャンピオンの戦いぶりで力強く報復した。
春に豪州でG1・2勝を果たしていた同馬は、英国での6歳シーズンの最終目標として、10月中旬の難しい馬場状態で施行される英チャンピオンSを見据えていた。スウィンリーボトム(コースの標高最低地点)付近で泥がぴしゃぴしゃと音を立てるほどの重馬場で、アデイブはフランスからの遠征馬スカレティ(Skalleti)に堂々と全力で立ち向かい、2¼馬身退けて優勝した。昨年のヒロイン、マジカルはさらに½馬身後ろの3着に敗れた。
ウィリアム・ハガス調教師はこの勝利により、今にも感情を爆発させそうになっていた。またマーカンド騎手にとっては、パートナーのホリー・ドイル騎手がグレンシール(Glen Shiel)でG1優勝の快挙を果たすなど2勝を達成していたので、この勝利は素晴らしい一日の集大成となった。
ハガス調教師はアデイブを今シーズンは新たな高みにまで育て上げた。「アデイブは本当に素晴らしい馬です。昨年ウォルファートンS(L ロイヤルアスコット開催)を制してから、チークピーシーズを着けるようなり、まさに安定した走りを見せています」。
「今日彼はやる気に満ち、レース前からとても調子良さそうに見えました。ただ、気難しくて鞍を着けるのに手こずりましたが、それは彼にとっては良い兆しです。そんな不思議な性格をしていますが、これは彼独特のものなのです。誰もが、彼がこの馬場状態を得意とすること知っています」。
その日の朝、アデイブが豪州で素晴らしい快挙を達成したことが折よく痛感させられる出来事があった。同馬がクイーンエリザベスS(G1 ランドウィック)とランヴェットS(G1 ローズヒル)で負かした牝馬ベリーエレガント(Verry Elleegant)が、コーフィールドカップ(G1 コーフィールド)で昨年の英ダービー馬アンソニーヴァンダイクを下して優勝したのだ。
今まで地球の反対側でアデイブが見せた圧倒的な勝利も同様に印象深いものだった。しかしハガス調教師が今まさに時のヒーローとなったアデイブのために本当に切望していたのは、英国でのG1制覇だった。
ハガス調教師はこう語った。「豪州でのパフォーマンスは洗練されたものでした。それでも彼はまだ英国でG1を勝ったことがありませんでした。何度か2着になっていたので、今回の勝利で私たちは大喜びしています。私たちはついにチャンピオン決定戦を、このように素晴らしい馬で勝つことができたのです」。
「6歳のワンマスター(One Master)がフォレ賞(G1 ロンシャン)の3連覇を達成した後、私は『馬を幸せかつ健康な状態に保って、若いときに酷使しなければ、年を取ったときに見返りを与えてくれるでしょう』と言いました。アデイブが行ったことはまさにこれです」。
アデイブは、ハガス調教師のサマービルロッジ調教場において近年成功を収めた主役であると同時に、マーカンド騎手をスターの座にのし上げた馬に違いない。この愛想のよい優勝騎手はそのパートナーを絶賛している。
「アデイブは特別な馬です。彼以上に優れた馬を夢見ることができるでしょうか?豪州でG1・2勝を果たし、帰国後も圧倒的強さを見せました。天才です。騎手としてのキャリアにおいて決して到達できないと考えていた高みに、こんなにも早くのし上げてくれました。それに彼のおかげで多くのチャンスを手にすることができました」。
マーカンド騎手は、ドイル騎手と一緒に行くためにレストランの予約を前もって済ませていると述べた。とりわけ、マーカンド騎手が最終競走のバルモラルHをニョール(Njord ジェシカ・ハリントン厩舎)で制してドイル騎手と同じ2勝を挙げたことで、シャンパンを1杯か2杯あけてこの日を祝うことになるだろう。
「あらゆることが良い方向に進んで、私たちは恵まれていました。それでも、とんでもないことです。チャンピオンズデーで騎乗できて、ホリーが2勝して、その後アデイブとニョールが勝つなんて、本当のおとぎ話です」。
「ホリーをすごく誇らしく思います。彼女は毎日起きて一生懸命働くということを繰り返しています。彼女以上にこの成功にふさわしい人はいないと心から思います。なぜなら、それは重労働と強い精神によって成し遂げられたからです。2人ともちょうどこの成功の波に乗れたことをとても幸せに思います」。
By Lewis Porteous
(1ポンド=約135円)