移籍馬シムシル、バーレーンインターナショナルトロフィー優勝(バーレーン)[その他]
シムシル(Simsir せん4歳)は、第2回バーレーンインターナショナルトロフィー(11月20日)でバーレーンに移籍してから初めての出走を果たし、世界トップクラスの遠征馬2頭をかろうじて阻止してあわや首差の勝利を収めた。
フランキー・デットーリ騎手が手綱を取ったグローバルジャイアント(Global Giant)は、サヒール競馬場の最後の直線の半ばでゴールに向けて跳びこむようなダッシュをかけたが間に合わなかった。2019年愛ダービー(G1)優勝馬ソブリンはライアン・ムーア騎手を背にグローバルジャイアントの鼻差の3着となった。
アガカーンスタッドが生産したシムシル(父ゾファニー)はバーレーンインターナショナルトロフィー(芝2000m)の前半において、単騎先行していた穴馬クーラーフォレスト(Coolagh Forest)に唯一挑んでいった。この2頭は他の12頭を大きくリードしながら最後の直線に入って行った。
シムシルに騎乗していたリー・ニューマン(Lee Newman)騎手はゴールまで残り300mほどで脚をなくしつつあったクーラーフォレストを抜かし、簡単に勝利を手にするかと思われた。しかし、残り100mの地点でデットーリ騎手とムーア騎手が激しく追い込んできて、スピードが急にあがりメーターの針が振り切れて飛ぶ勢いだった。2頭のライバル馬はジャンプすればシムシルに届くような距離まで迫っていた。
ニューマン騎手はこう語った。「5ハロン標識で恐れずに挑んで行き、そこからスイッチを入れました。スピード抜群の馬に乗っていればそれができる馬場であり、シムシルはまさにそのような馬でした。それは、私を信じてくれたファウジ・アブドゥラ・ナス(Fawzi Abdulla Nass)調教師のおかげです。彼は世界中のどのジョッキーにでも騎乗依頼できたでしょうが、シムシルの騎乗を私に託してくれました。とても嬉しく思っています」。
シムシルと同じ厩舎のポートライオンズ(Port Lions)が4着に入ったことは、バーレーンの関係者がこのレースの出走馬をうまく選んだことで得られた満足の行く結果だった。以前、シムシルはアガ・カーン殿下、ポートライオンズはゴドルフィンに所有されていた。
ナス調教師はこう語った。「このような素晴らしいレースで勝てて、最高のスリルを感じています。シムシルはそれを勇ましく成し遂げました。以前この馬を管理していたミック・ハルフォード(Mick Halford)調教師は私に、彼が硬い馬場を得意とすると常に断言していました。それは正解でした。ニューマン騎手の手腕が光ったレースだと思いました。最後の直線で仕掛けるのが早いと感じましたが、彼は私が間違っていることを証明しました」。
シムシルは2月27日にメイダン競馬場のハンデ戦でゴドルフィンのライバル馬4頭を退けて優勝して以来の勝利を収め、競走成績を10戦4勝とした。ただし、グローバルジャイアントやソブリンのような力量を持った馬と対戦したことはこれまでなかった。
グローバルジャイアント(牡5歳 父シャマルダル)は今年、英国でジョン・ゴスデン調教師に管理され7月にニューベリ競馬場のリステッド競走を制している。
ソブリン(牡4歳 父ガリレオ 母ディヴォーティッドトゥユー 母父デインヒルダンサー)は愛ダービーで驚異的な勝利を収めたが、その後1年近く戦線を離脱していた。復帰後に4戦したが、最高着順はわずか3頭立てのキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1 7月25日 アスコット)でエネイブルから5½馬身引き離されて手にした2着だった。
ソブリンはバーレーンインターナショナルトロフィーへ追加登録されて出走した。エイダン・オブライエン調教師は「ソブリンはレースで先行するのを得意とするスピード抜群の馬です」と述べ、この牡馬が最終的に走ったのとは逆の展開を予想していた。
By Bob Kieckhefer
[bloodhorse.com 2020年11月20日「Simsir Lands Bahrain International」]