マーフィー騎手、コカイン使用疑惑を晴らすも3ヵ月間の騎乗停止処分(イギリス)[その他]
オイシン・マーフィー騎手(25歳)は尿検査でコカイン代謝物の陽性反応が出たために、フランスギャロの裁決委員から3ヵ月間の騎乗停止処分を言い渡された。同騎手はこれをうけ、遺憾の意を表明して謝罪した。
英国のリーディングタイトルを2年連続で獲得したマーフィー騎手は、この裁定に対して不服申立てを行わない。通常は6ヵ月間の騎乗停止処分が検討されると考えられていたが、裁決委員は毛髪検査の結果とマーフィー騎手の「コカイン使用者だったと後に判明する人物と関係をもったことで汚染された」という証言に理解を示した。
この事案は、フランス人テニスプレーヤーのリシャール・ガスケ氏のケースを思い起こさせる。ガスケ氏はコカイン使用疑惑が浮上した際に、スポーツ仲裁裁判所で「パートナーにより汚染させられた」と証言し、潔白を証明することができた。
マーフィー騎手は声明において、この裁定によりコカイン使用疑惑の疑いは晴らされたと述べた。それでも、同騎手が他の関与者について明らかにしたがらなかった中で、懲罰委員会は毛髪検査の結果から「マーフィー騎手はドラッグの常用者ではなかろうが1度は使用した可能性がある」と考えた。
騎手協会(PJA)が発表した声明において、マーフィー騎手はこう語っている。「フランスギャロのルールとその裁定を尊重し、不服申立てはいたしません。安心した一方で、環境汚染を通じてコカインが体内に入り込んでしまうような状況に身を置いたことを悔やんでおり、結果を甘受しなければなりません。プロのスポーツマンとして、今後同じような状況に身を置くことは二度とできません」。
「コカイン使用の疑いを晴らしましたが、これを機会に、ファハド殿下、デヴィッド・レッドヴァース氏、アンドリュー・ボールディング調教師に謝罪し、その支援に感謝したいと思います」。
フランスギャロはマーフィー騎手に、12月11日から来年の3月11日まで騎乗停止処分を科す予定であり、この処分は英国やアイルランドを含む他の競馬管轄区でも適用される。
声明にはこう記されている。「フランスギャロの裁決委員は、生体サンプルがコカイン代謝物の存在を明らかにしたことで、オイシン・マーフィー騎手に3ヵ月間の騎乗停止処分を科しました」。
「騎手とその弁護士が提出した弁明書と科学的証拠を考慮したうえでこの決定が下されました」。
マーフィー騎手は7月19日、シャンティイ競馬場でザリアジェット(The Lir Jet)に騎乗した後の薬物検査で陽性反応が確認され、10月初めにこの結果を公にした。
同騎手は、フランス当局から陽性反応の知らせを受けた8月19日に、民間試験所に毛髪サンプルを委託した。
懲罰委員会の審問では、毛髪サンプルよりも、世界的に有名なLCH研究所の調査結果とレース当日に実施された尿検査が重視された。しかしマーフィー騎手の弁護団とPJAの尽力がこの裁定が下されるのに役立ったようである。
マーフィー騎手はどのような禁止薬物の使用も強く否定している。
同騎手はサウスウェル競馬場でシーズン最後の騎乗を行い、新型コロナウイルス感染拡大のために短縮された今シーズンにおいて142勝を決めた。そしてその3日後の11月6日に、2年連続のリーディングタイトルを獲得した。
その後、ブリーダーズカップ開催でザリアジェットと英2000ギニー(G1)優勝馬カメコに騎乗したがいずれも着外だった。そしてバーレーンインターナショナルトロフィー(11月20日)においてドリームキャッスルで11着となり年内の騎乗を終えた。
By Scott Burton