サウジの芝コース、試乗での評価は上々(サウジアラビア)[開催・運営]
サウジアラビア初の芝コースを設けるために一粒目の種がまかれたのは、11月初旬のことである。それからわずか3ヵ月足らずの1月29日、キングアブドゥルアジーズ競馬場の芝コースは4人の一流ジョッキーからのお墨付きを得た。
2月29日に総賞金2,000万ドル(約22億円)のサウジカップ(ダート1800m)が開催される。この芝コースでは、前座レースであるネオムターフカップ(芝2100m)、1351ターフスプリント(芝1351m)、レッドシーターフH(芝3000m)の3競走が施行される。
今回、フランキー・デットーリ、ウィリアム・ビュイック、ジェームズ・ドイル(James Doyle)、ダニエル・タドホープ(Daniel Tudhope)の各騎手が芝2000mを地元馬で試乗した。このコースの最終準備を監督するニューマーケット競馬場の馬場取締委員であるマイク・プロッサー(Mike Prosser)氏も立ち会った。
デットーリ騎手は、「馬場は完璧で、本番もこの状態なら最高ですね。テストは大成功です。全力疾走した状態でできるだけ速くコーナーを回るときの乗り心地も、しっかり確認できました」と語った。
またビュイック騎手も、「ある程度のペースを保って2000mを試乗して、適切に評価できました。コーナーも問題なく、まさに公平な競走ができる"良馬場"だと思います。文句のつけようがありません。有意義なテストができて満足しています」と上々の評価を与えている。
ビュイック騎手は、ファイサル・ビン・カリド・ビン・アブドゥルアジーズ殿下(Prince Faisal bin Khalid bin Abdulaziz)が所有するサプライズ(Surprise)に騎乗した。ファイサル殿下は、先日ペガサスワールドカップ(G1)を制覇してサウジカップに出走予定のムーチョグスト(Mucho Gusto)のオーナーでもある。
この芝コースは、アスコット競馬場、FIFAワールドカップ、ウィンブルドン、ロンドン五輪などで芝競技場の開発を担当したSTRI(スポーツターフ研究所 本拠地イギリス)により敷設された。
STRIは2019年の大半を費やし、メンテナンス構造や、複合的な散水システムを含むこのコースの設計と準備作業を行った。それまであった馬場表面の土は、芝の生育を早めるため一旦取り除かれて、サウジアラビア周辺の採石場から調達した砂と砂利を混ぜたものに置き換えて強化された。しかし現地の気候には逆らえず、最初の種まきは11月の1週目まで待つことを余儀なくされた。
STRIのコンサルタント部長であるリチャード・スタタード氏は以前、「涼しい秋冬のシーズンに芝の生育を確実に促したいと考えています。とにかく待つことが肝心で、今回植える寒地型牧草に適した低い気温になるまでは、種をまきません」とコメントしていた。
そして今回のテスト後、改めて次のように語った。
「世界トップクラスの競馬場の馬場の設計・敷設をタイトな納期に間に合わせるために、最大限の努力をしました。このコースで馬とジョッキーが最高の能力を発揮し、魅力的な競馬を見せてくれることを確信しています」。
サウジカップ開催は、サラブレッド競走が7レース、純血アラブ競走が1レースという構成。賞金総額は2,920万ドル(約32億1,200万円)に上り、国際舞台におけるサウジアラビアジョッキークラブの存在感を大きく高めている。
同ジョッキークラブの会長であるバンダル・ビン・カリド・アル・ファイサル殿下(Prince Bandar bin Khalid Al Faisal)も試乗に立ち会い、「今回我々をサポートするために時間を割いてくれた4名のジョッキーと、馬を提供してくれた地元調教師に心から感謝します」と語った。
By Bob Kieckhefer
(1ドル=約110円)
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[bloodhorse.com 2020年1月29日「Saudi Turf Course Gets Green Light from Jockeys」]