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海外競馬ニュース
2020年12月24日  - No.50 - 4

マルチアリス調教師、家族ぐるみの違反行為で6ヵ月間の業務停止処分(フランス)[その他]


 シャンティイの調教センターの新星の1人、アンドレア・マルチアリス調教師(37歳)は、80歳の調教師の名義で密かに厩舎を運営していた家族ぐるみの陰謀と疑惑のために、6ヵ月間にわたり競馬に関わる全ての活動を停止するよう命じられた。

 マルチアリス調教師はフランスギャロの上訴委員会(12月17日 パリ)での審理において、調教師免許を持つジャン-クロード・ナポリ(Jean-Claude Napoli)氏の名義で姉エリザベッタ氏とともに厩舎を運営していたという調査結果を裁決委員が支持したことで、業務停止処分を言い渡された。

 ウェイトゥパリスの6月のサンクルー大賞(G1)優勝により注目されたマルチアリス調教師は、2017年に調教拠点をイタリアからフランスに移して以来最高のシーズンを送り、リーディングランキングで第6位となっている(訳注:ウェイトゥパリスは11月に海外からの唯一の遠征馬としてジャパンカップに出走して10着となった)。

 8月にフランスギャロの職員たちがナポリ氏の厩舎があるカブリエスの調教センターの捜査を行ったことが、マルチアリス調教師に類まれな嫌疑が掛けられる発端となった。カブリエスは、マルチアリス調教師が拠点するシャンティイから南に約500マイル(約805 km)も離れた場所である。ここでマルチアリス調教師とその馬主たちが以前関わっていた馬12頭が見つかり、そのうち5頭はナポリ氏の管理馬として登録されていなかった。

 マルチアリス調教師は不服申立てを行った理由として、信じていた人々につけこまれたこと、そしてフランス語で"管理上の細かいニュアンス"を理解していなかったことを主張した。

 マルチアリス調教師は、姉エリザベッタ氏が"ナポリ氏が高齢であることを利用して"カブリエスの厩舎においてナポリ氏名義で馬を管理した状況を説明したが、自身はその厩舎とは無関係であると述べた。

 マルチアリス調教師の弁護士は、マルチアリス一家の全体像を次のような印象的な言葉で言い表した。「ミラノを拠点とする調教師のアントニオ氏とその息子アンドレア氏が仕事をこなしている一方で、エリザベッタ氏は一家の"厄介者"です。彼女の不適切なやり方の後始末をアンドレア氏がすべきではありません」。

 マルチアリス調教師の妹であるG1ジョッキーのジェシカ・マルチアリス騎手はこの件には関与しておらず、証言はしなかった。

 「エリザベッタ氏が一人でやってきて馬房を貸してほしいと頼んできたときに、自分のフランスギャロの調教師口座のログイン情報を渡すという弱さを見せたことを深く悔やんでいる」というナポリ氏の証言も、弁護士は引合いに出した。

 初回の審理(11月27日)における重要な証言の1つは、マルチアリス調教師が6月にカブリエスの調教センターに馬房を借りられるか頼んできたが、フランスギャロの裁決委員に却下されていたというものだ。

 上訴委員会においてその依頼について聞かれたマルチアリス調教師は、父アントニオ氏が申し込むようにプレッシャーをかけてきたと主張した。そして、その依頼が裁決委員によって断られたときには安心したが、父はその決定に極めていら立っていたと語った。

 ナポリ氏が名目上は管理しているはずのこれらの馬の馬主に請求書を送った形跡がないことについて、上訴委員会の裁決委員もマルチアリス氏を徹底的に追及し、初回の審理のときと同様の結論にいたった。

 上訴委員会はマルチアリス調教師に対して、2021年1月1日~6月30日の期間の馬の調教や所有を禁じ、エリザベッタ・マルチアリス氏を含む6つの馬主グループにも同じ制裁を下した。

By Scott Burton

[Racing Post 2020年12月18日「Rising star banned for running shadow trainer operation under 80-year-old's name」]


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