アデイブ、英国から遠征してクイーンエリザベスS連覇を達成(オーストラリア)[その他]
アデイブ(せん7歳)とトム・マーカンド騎手は4月17日、クイーンエリザベスS(G1 ランドウィック)でベリーエレガントを破って王座を防衛した。
これはアデイブにとってG1・4勝目であり、観客の前での初めてのG1勝利となった。同馬は昨年、豪州でランヴェットS(G1 ローズヒル)とクイーンエリザベスSを制した後、英チャンピオンS(G1 アスコット)を制してシーズンを終えている。また、北半球調教馬として初めて、豪州のG1競走を3勝した。
週末に英国へ帰国するマーカンド騎手はレース後、感動した様子でこう語った。
「これほど涙が出そうになったことは、ものすごく久しぶりです。そんなに年を取ったというわけではありませんが。この数ヵ月間、家を離れていてとてもつらかったのですが、このような瞬間のためなら10回は繰り返すでしょう」。
「去年も信じられないほど素晴らしかったのですが、わざわざ豪州にまで遠征してきてこのようなビッグレースを制したのに観客はおらず、とても残念だと思わずにいられませんでした。自分には運がないと考えていたのですが、今では二倍幸運だと思っています。というのも、去年はここで無観客のなかG1初勝利を挙げて、今回はまるで同じことを繰り返しているかのようだからです。ここの雰囲気は本当に素晴らしいです」。
フィリップ殿下に哀悼の意を表して黒の腕章を着用しているマーカンド騎手は、「ウィリアム・ハガス調教師がアデイブをここに遠征させたのは驚くべき挑戦です。なぜなら、多くの人々と同様に、私もいくらか懐疑的に思っていたからです。感謝の言葉しかありません。信じられないほど素晴らしいです」と述べた。
アデイブは3番ゲートからゆっくりと発走し、マーカンド騎手は素早く動いて同馬を先頭集団の後ろにつけた。ベリーエレガントは序盤、ハミに強く逆らっているようだった。鞍上のジェームズ・マクドナルド騎手は同馬を馬群の最後尾に下げた。
マクドナルド騎手は最終コーナーを回るときにアデイブに外側から忍び寄ってきて、最後の直線に入ったところで挑戦してきた。しかし、ベリーエレガントは今回ばかりは先頭を譲る気配がまったくないアデイブにかなわなかった。
マーカンド騎手は、「アデイブは道中、いかにタフだったか。残り300mの地点では、周囲で何が起こっていようと関係なく、ただ彼が走っているだけという状態になりました。どの馬がどこにいるのかまったく分からず、ただゴールまで彼を攻めたててくるだろうということだけを感じていました。200mの叩き合いを首尾よく捌く馬がいるとすれば、彼しかいないでしょう」と語った。
ハガス調教師は、アデイブを豪州に遠征させるという決断が報われたことを喜んだが、緊張しすぎてレースの展開を見守ることができなかったことを認めた。
「正直言って、見ていられませんでした。アデイブはゆっくりと発走して、序盤はさほど熱のこもった展開にならず、私は調教場に出てしまいました。スタッフのみんなが大画面で観戦していたことですし」。
「女性スタッフの1人は"具合が悪くなるくらい"と言っていましたが、とても感動的な瞬間でした。調教場にいる他の馬がアデイブのようなことを実現できるとは思いません。記念すべき瞬間です」。
アデイブは今回のレースで初めてブリンカーを着用した。ハガス調教師は、マーカンド騎手のアドバイスによりブリンカーを着用したと説明した。
「トムがブリンカー着用を決定し、私はそれを支持しました。トムの判断は正しかったです。私は前回重馬場で苦労したので馬場を気にしていたのですが、アデイブは驚くほど回復力のある馬で、今日はそれを証明してくれました」。
「馬がゴールした後に最初に電話をかけてきたのは、ベリーエレガントを管理するクリス・ウォラー調教師でした。彼がいかにスポーツマンであるかを物語っています。今日は南北両半球の競馬にとって素晴らしい日であり、私たちはその一部になれたことをとても誇りに思います」。
By Tommy Churchyard