競馬場で一日を過ごしたいという重篤の競馬ファンの願いを叶える(オーストラリア)[その他]
メルボルンカップ優勝ジョッキーのクレイグ・ウィリアムズ騎手が、もう一日だけレースをコース脇で見て過ごしたいという願いをもった重篤の競馬ファンに敬意を表したことで、ナイジェル・レイサム氏のストーリーは世界中を駆け巡っている。
レイサム氏の願いは、アデレードカーニバルの初日(5月1日)にモーフェットビル競馬場で叶った。熱烈な競馬ファンは病院のベッドごと運び出され、残り200mの標識の外ラチのすぐそばに連れて来られた。レイサム氏にとっておそらく生涯で最後になるかもしれないが、ゴール前の直線を疾走する馬のすぐ傍らでひとときを過ごすことができた。
ウィリアムズ騎手はこの日3勝を達成し、主要レースの1つであるロバートサングスターS(G1)をインスタントセレブリティで制し、勝利に満ちた一日を送った。
しかし、最終レースでレディダンモア(Lady Dunmore)を勝利に導き3勝目を挙げた後、その日最後のインタビューを受けた一流ジョッキーがやりたいと思っていたことは、レイサム氏に敬意を表することと、自宅、競馬場にいた競馬ファンだけでなく、世界中の人々にレイサム氏の最後の願いを確実に知らせることだった。
ウィリアムズ騎手はこう語った。「ナイジェル・レイサム氏がいることが励みとなって、今日レディダンモアは勝つことができました。ナイジェルは競馬場に来ていますが、残念ながら彼の余命はかぎられています。彼は救急隊員と一緒にここに来て、一日中残り200mの標識のところにいます。彼の最後の願いはレースを観戦しに来ることでした。だからナイジェルのために、私はレディダンモアに"決勝線を越えたら必ず彼に勝利のゴーグルを渡すぞ"と言い、彼女は本当に見事な仕事をしてくれました。彼がいてくれたことは励みとなりました。この業界を支え、素晴らしい競馬開催日にここへ来ることが最後の願いだという彼のような人々に私たちは感謝したいと思っています」。
ナイジェル・レイサム氏のストーリーを公表したウィリアムズ騎手は世界中から評価を受けた。海外ではキャスターのフランチェスカ・クマーニ氏などが称賛した。
より身近なところでは、地元の南オーストラリア州の救急隊員たちが、レイサム氏の心温まる体験を通じて、患者のために期待を上回る努力をしていることが認められたことに感謝している。
By Racing.com/Kate Watts