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海外競馬ニュース
2021年06月03日  - No.20 - 4

アーリントンパーク競馬場を救うために期待される州政府による圧力(アメリカ)[開催・運営]


 イリノイ州の競馬関係者は、背水の陣での州政府の努力に期待を寄せている。それは、チャーチルダウンズ社(CDI)にアーリントンパーク競馬場での競馬開催を維持するように圧力を掛けるというものだ。

 最新の試みでは基本的に、閉場の危機にあるアーリントンの事態を収拾させるためにCDIの保留中および将来のカジノ運営免許の申請を人質に取ることが要求されている。

 長年のオーナーブリーダーであるジム・エドガー元知事が最近になって一緒に声を上げ始めた。アーリントンハイツデイリーヘラルド紙のインタビュー(5月30日付)で、エドガー氏は現知事のJ・B・プリツカー氏に対し、CDIがイリノイ州でカジノ事業を拡大しようとしていることを利用して介入するように求めた。

 これは、数日前にイリノイ州サラブレッドホースマン協会(ITHA)がイリノイ州司法長官事務所にこの件について独占禁止法の調査を実施するよう要請したことを受けたものである。

 CDIは再開発への土地売却を意図して、象徴的な片持ち梁の屋根のグランドスタンドを含むアーリントン競馬場の土地を入札にかけた。これは新たに認可された同競馬場でのカジノ運営免許を申請しないという2019年の驚きの決定を受けたもので、この決定により州内での競馬の復興を望むホースマンたちの期待は打ち砕かれていた。

 CDI(本社:ケンタッキー州ルイビル)は、アーリントンから15マイル以内の距離にあるイリノイ州で最も成功しているリバーズカジノ(Rivers Casino)の過半数株主である。また、イリノイ州ウォーキーガンでも新たなカジノ運営免許の申請を行っている。そして、イリノイ州のゲーミング界の至宝でシカゴに計画されているカジノおよびシカゴの空港でのサテライトのスロットマシン運営免許にも関心を示している。

 シカゴのカジノはさまざまな理由から行き詰っていたが、現在は軌道に乗っている。イリノイ州ゲーミング委員会(IGB)は、ウォーキーガンの入札を検討することに慎重であり、落札者を決定する予定日を設定していない。エドガー氏はデイリーヘラルド紙に対し、これらの申請がプリツカー知事に有利な材料を与える可能性があると語った。

 「運営免許を付与するときには、州にとって何が最高の利益になるかを考えなければなりません。ある企業が州にとって最高の利益になることを本当にしていないのであれば、なぜその企業に運営免許を付与し続けるのか私にはよく分かりません」。

 「CDIはまだ州内のカジノ運営免許を追加的に取得しようとしているので、州はCDIに対して影響力を持っていると思います」。

 エドガー氏は、CDIによるリバーズカジノの過半数株の取得をIGBが承認したことを悔やんでおり、「州は少なくとも、基本的には競馬運営を放棄しないという何らかの確約を得るべきでした。嘆かわしいことです」と述べた。

 IGBとイリノイ州競馬委員会(IRB)は別組織である。レーシノ(racino レース+カジノ)を認可することを内容とするゲーミングを大々的に拡大する2019年の法律が成立するまで、IGBには競馬の規制に対応した経験がなく、競馬の利益を考慮する理由もなかった。

 共和党のエドガー氏は2018年にプリツカー知事の政権移行チームの一員を務めた。そして、州上院の承認を条件にIGBとIRBのメンバーを任命するこの民主党の知事だけがCDIに対して圧力をかけるのにふさわしい存在であると、同氏は述べている。

 同氏はデイリーヘラルド紙のクリストファー・プラツェック(Christopher Placek)記者に対し、「知事の事務所から圧力が掛けられなければなりません。しかし私が見るかぎりでは、それはまだ起こっていないと思うのです。でも、知事は競馬のこともCDIのことも理解しています」と語った。

 元知事はまた、アーリントンが閉場すればシカゴ地域でサラブレッドとスタンダードブレッドの競馬を施行する競馬場はホーソンだけになり、関係者はおそらく開催日程をめぐって争うことになるだろうと指摘した。2019年に成立した法律により、シカゴ南部の郊外に繋駕競走専用の新しいレーシノを建設することが認められたが、皮肉にもプリツカー知事はそれを建設する予定だった州有地の売却を拒否して、この計画を頓挫させた。

 エドガー氏は1991年~1999年に州知事を務めた。その任期中、家族とともに生産と競馬事業に携わっていた。しかし利益相反を避けるために主にインディアナ州で馬を出走させ、シカゴループの場外馬券発売所で午後のレースに出走する所有馬を見ている様子が時折見かけられていた。

 今回の介入要請に対して、知事と司法長官のいずれの事務所もコメントを出していない。

By Bob Kieckhefer

 (関連記事)海外競馬ニュース 2020年No.32「チャーチルダウンズ社、アーリントンパーク競馬場の売却を検討(アメリカ)

[bloodhorse.com 2021年5月30日「Can State Government Pressure on CDI Save Arlington?」]


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