ニュージャージー州、競馬を対象とした固定オッズ賭事の提供を開始(アメリカ)[開催・運営]
ニュージャージー州で競馬を対象とした固定オッズ賭事が提供され始めることで、急速に進化する米国の賭事環境において、数週間後に新たな節目が迎えられることになるだろう。
法案A4909(固定オッズ法案)は6月中旬、ニュージャージー州の上院と下院において満場一致で可決された。現在はフィル・マーフィー知事の署名を待つ段階である。
署名がされれば、モンマスパーク競馬場の1年で最も注目される競走、ハスケルS(G1 7月17日)に間に合うように、ニュージャージー州で競馬を対象とした固定オッズ賭事が稼働することになる。
ニュージャージー州は、2018年のプロ・アマスポーツ保護法(Professional and Amateur Sports Protection Act)の廃止で最高潮に達した米国でのスポーツ賭事合法化に向けた取り組みの立役者であり、それ以降、多くの州がニュージャージー州の先例に倣っている。
競馬の固定オッズ賭事を合法化する動きの先頭に立ってきた豪州の賭事技術企業ベットメーカーズ社(BetMakers)は現在、ニュージャージー州外でもこの革新的な動きを拡大させ、米国におけるパリミューチュエル賭事の独占を終わらせようとしている。
ベットメーカーズ社は昨年、ニュージャージー州サラブレッドホースマン協会(NJTHA)およびモンマスパークを運営するダービーディベロップメント社と、州内での競馬の固定オッズ賭事を提供・管理する10年間の独占契約を結んだ。
ベットメーカーズ社のCEOトッド・バッキンガム氏は6月中旬にこう語った。「この法案が細かい修正を経て、ニュージャージー州の上院と下院で満場一致で可決されたことを嬉しく思います。この法案の立法化にあたり、議員やニュージャージー州の競馬関係者との協議は、徹底的に余すところなく行われました」。
「ニュージャージー州を通じて米国に固定オッズ賭事を導入するための適切な法的・商業的枠組みを構築することを見据えて、私たちは取り組んできました」。
「米国の競馬産業の成長を促進する1つの対応策として、固定オッズ賭事を支持する声が競馬産業全体で高まっていると感じています。この機会がニュージャージー州、さらには全米の競馬産業に何をもたらすのか、また企業としてのベットメーカーズ社とその株主に何を可能とさせるのか、とても楽しみです。」。
米国において競馬の固定オッズ賭事が合法化されることで、スポーツ賭事の世界から新しい顧客を引き寄せることが期待されている。
また、レースが発走するまでパリミューチュエル賭事の配当を知ることができずに幻滅していた馬券購入者を引き留めることも期待されている。その状況は、年間数千万ドルを費やす大口馬券購入者がレース発走の土壇場で大量の馬券を購入する"二次的パリミューチュエル組織(secondary pari-mutuel organizations)"が無視できない規模に膨れ上がることで悪化していた。
ベットメーカーズ社の国際運営責任者であるダラス・ベーカー氏は、競馬の固定オッズ賭事について他の州とも"多くの話合い"をすでに行ったと述べた。
ベーカー氏は米国のホースレース・ラジオ・ネットワークに対してこう語った。「一般的な立場から、ニュージャージー州で何が起こるのか見守ってきました。次のステージは当然、私たちがしっかり準備し固定オッズ賭事を完全に運営して機能させることです。その間に、他の多くの州と諸般の事情について話し合うことになるでしょう」。
「スポーツ賭事を受け入れた州は、おそらく固定オッズ賭事を導入する可能性が最も高いと思われます。いくつかの州で規制当局の解釈のみでプロセスをいっそう迅速に進めることができると願っていますが、仮に法の制定が必要な場合は、ぜひともニュージャージー州で作られたものをモデルとしてほしいと思います」。
「その方が賭事業者にとっていっそう公平だと思います。また最も重要なことですが、全部の課題がクリアされ、すべての資金が適所に行き渡るようにすることで、競馬産業にとってもいっそうの公平をもたらすと考えます」。
By Bill Barber