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2021年07月08日  - No.25 - 1

セントマークスバシリカ、強豪古馬相手のエクリプスSを制覇(イギリス)[その他]


 サンマルコ広場に立ち眺める壮大なサンマルコ寺院以上に素晴らしい光景はめったにないが、7月3日(土)のエクリプスS(G1 サンダウン)におけるこの有名なベネチアの大聖堂にちなんで名付けられた馬による鮮やかな急襲も、そのような数少ない光景の1つだろう。

 わずか4頭立てであることが一部で批判されたこのレースは、驚くべきチャンピオン、セントマークスバシリカを生み出した。同馬はすでにフランスのクラシック二冠を達成しており、確かに最も洗練された現役の3歳中距離馬である。

 少頭数だったかもしれないが、古馬のアデイブとミシュリフが世界を舞台に証明した中距離での最高の実力を持ちこんだ、一流のエクリプスSとなった。

 セントマークスバシリカが残り¼マイル(約400m)を切って、まるで古馬のライバルたちがトレッドミルの上を走っているかのように、これらの馬を追い抜いていった。この馬に馬齢基準による10ポンド(約4.5kg)のアローワンスを与えるなどというのは、これらの古馬にとっては詰まるところ無茶な話だったということが証明された。

 アデイブとミシュリフはこの3歳馬を相手に長期戦に持ち込みたかったに違いないが、セントマークスバシリカは彼らにそのチャンスを与えず、彼らをかわすとすぐに引き離して去ってしまった。

 このように素晴らしいセントマークスバシリカの末脚のおかげでエクリプスSの史上最多記録タイの6勝目を挙げたエイダン・オブライエン調教師は、この新たに現れたスーパースターを「これまでの馬とは少し違います」と称賛し、勝利したライアン・ムーア騎手とともにこの勝馬をこれまで出会った中で最も輝かしい才能の持ち主だと話した。

 オブライエン調教師はこう語った。「長年調教してきて、このような馬がいたことは記憶にありません。挑戦して行って戦い、喧嘩を仕掛けていくような馬はいましたが、彼は他の馬についていって急加速するのがとても好きなのです。彼はレースをすぐに終わらせてしまいます。今日もそのようなレースぶりでしたが、彼は一味違うのです」。

 「これまで、これほどの強豪馬が揃うエクリプスSに3歳馬を挑戦させたことはないと思います。相手は2頭のれっきとした古馬でしたが、セントマークスバシリカは彼らに2~3馬身差をつけて勝ちましたし、道中もゆったりとしたペースでした。彼はまず彼らに力を出させて、その後を追い掛けていきました。こんなことをする馬が他にいたか思い出せません」。

 オブライエン調教師は1½マイル(約2400m)に挑戦することも不可能ではないとしながらも、やはり何度も口にしたのはセントマークスバシリカのスピードであり、とりわけその力強い末脚だった。それは今回の離れ業の前に、2歳のときのデューハーストS(G1)、3歳のときの仏2000ギニー(G1)と仏ダービー(G1)で発揮されていた。

 オブライエン調教師はこう続けた。「ライアンは今日、セントマークスバシリカに圧倒されていました。彼に合図を送ったときの俊敏なスピードの上げ方が信じられなかったようです。彼は道中リラックスして走る馬ですが、仕掛けて行くように促すと、すごい力を発揮してくれます。それは本当に特別な馬の証だと思います」。

 オブライエン調教師はこれまでのキャリアの中であらゆることを見てきたが、この馬に対しては強い自信を抱いている。そして、セントマークスバシリカの傍らに立つと何か違う勢いが戦いの中に現れるのを感じると述べ、こう説明した。

 「彼はいつも自信を持ってレースに送り出せる馬です。そのようなタイプの馬は違った感じがします。今回唯一神経質になった点は、今日の彼は失うものが多いということでした。デューハーストSを制してクラシック二冠を達成しているので、そう感じていました」。

 「彼はどこかの段階で古馬との対戦に乗り出さなければならず、今回の相手は平凡な古馬ではありませんでした。彼がそのような相手に挑んだことは、とても特別なことです」。

 ムーア騎手はセントマークスバシリカ(父シユーニ)とまだ2回しかコンビを組んでおらず、今シーズンに入ってからはこのレースが初めてだった。元リーディングジョッキーは調教師と同様に感服していたようだ。

 エクリプスSの2勝目を達成した同騎手はこう語った。「彼はデューハーストS、仏2000ギニー、仏ダービーを制しています。それに今回競い合った2頭は世界中のどの馬よりも優れていることが証明されています。だから、彼はとてもエキサイティングな馬なのです。実直な馬ですが、ものすごい末脚をもっています」。

 「ダッシュをかけるように促すと、彼はすぐに仕事を始め、あっというまにレースを終えてしまいました。非常にタフな実績馬2頭と対戦すれば、どこかの段階で手綱を緩めなければならなくなってしまうので、早めに仕掛けなければなりませんでした。それにしても最後の1ハロンは最高でした」。

 パディパワー社とベットフェア社は、英インターナショナルS(G1)でのセントマークスバシリカのオッズを3倍から2.5倍に下げた。同馬は、英インターナショナルS(8月19日 ヨーク)と愛チャンピオンズS(G1 9月12日 レパーズタウン)を視野に入れている。

 オブライエン調教師はこう語った。「チームでどこに行きたいのかを決定しますが、彼にはヨークとレパーズタウンに行く選択肢があり、私もそのように思っています。競走距離を1マイルに戻しても全く問題ありません。今の彼を見ていると、1¼マイル(約2000m)も快適にこなすでしょうが、どのような路線に進むかはチームの決定によります」。

 優勝馬の3½馬身後ろの2着争いもまた壮観なものとなった。アデイブがミシュリフを首差で退けて2着を確保し、エルドラマは2¾馬身離されて4着だった。

 アデイブに騎乗したトム・マーカンド騎手はこう語った。「アデイブはすべてを出し切りました。欧州一、おそらく世界一の3歳馬にあれほどのアローワンスがついていたことを考えれば、彼はまさにスーパースターです。彼にとても満足していますし、彼は果敢に追いつこうとしました」。

 ミシュリフを手掛けた1人、ジョン・ゴスデン調教師はこう語った。「ミシュリフは長期休養明けでしたので、ラスト1ハロンで前を走る馬との差が広がってしまいました。道中はよく走っていたのですが、勝馬に近づくことができませんでした。このレースで彼は調子を取り戻すだろうと思いますので、次は英インターナショナルSを目指すでしょう」。

By Lewis Porteous

 (関連記事)海外競馬ニュース 2021年No.21「オブライエン調教師、セントマークスバシリカで仏ダービー初制覇(フランス)

[Racing Post 2021年7月3日「Beautiful St Mark's Basilica stamps class on small but mighty Eclipse field」]

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