2022年から競走馬が消費目的で屠殺場に送られることを禁止(イギリス)[開催・運営]
BHA(英国競馬統括機構)による大幅なルール変更により、英国のレースに出走する馬はすべて、来年1月以降、人間のフードチェーンの一部となるために屠殺場に送られることが許されなくなる。
この新たな決定により、ウェザビーズのアプリと馬パスポートを通じてその馬が人間の消費に供されないと申告されていないかぎり、どのような馬であっても出走登録が受け付けられない。1月1日までに馬はパスポートを通じて人間のフードチェーンから外れることが申告されていなければならない。
このルールはすべての英国調教馬に適用される。英国全体で約1万4,000頭の競走馬が調教されている。
競走馬に人道的な安楽死措置が取られる場合には、今後も屠殺場に送られることが認められる。しかしお金と引き換えに消費用として屠殺するために送ることはできない。このルールが英国のレースに出走する海外からの遠征馬にも適用されるように、BHAは他の競馬国と連携を図っている。
BHAの馬健康・福祉担当理事であるジェームズ・ギヴン氏はこう述べた。「競馬界の獣医学委員会は、英国で出走する馬をフードチェーンから除外する決定を本年1月に下しました。その後この決定について、競馬産業と協議され、規制委員会により承認され、最終的に9月にBHA理事会により承認されました」。
「英国競馬界は安楽死措置の実施規則を定めています。それは調教師や馬主が終末期の決断を下す際の助けとなります。安楽死措置は可能な限り厩舎あるいは適切な環境で実施されるべきであると、指針が明確に定めています」。
BBCの番組「パノラマ」が7月に放送した「ザ・ダークサイド・オブ・ホースレーシング」という調査では、英国とアイルランドで2019年から元競走馬4,000頭が屠殺されたことが報告された。このドキュメンタリーでは、英国の食肉処理場F・ドゥルーリー・アンド・サンズの屠殺方法の衝撃的な映像が紹介された。それは殺処分室に複数の馬が一緒に連れて行かれるものや、馬にライフル銃が使われるものだった。
その後、スウィンドンにあるこの食肉処理場の閉鎖を求める請願書が10月7日(木)までに約11万人に達する署名を集めている。ギヴン氏は、消費のために競走馬を屠殺場に輸送することは競馬界では認められるべきではないと述べた。
ギヴン氏はこう語った。「私の見解では、消費のために屠殺場への馬を輸送することは安楽死とは見なされず、競馬界において容認されるアプローチではありません。そのため、それを阻止するルールは前向きなステップなのです。英国のほとんどの調教師や馬主がこれに同意し、すでにこの原則を守っているものと、私は確信しています」。
By Matt Rennie
[Racing Post 2021年10月7日「Racehorses prohibited from entering human food chain from next year」]