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2021年02月04日  - No.4 - 2

2020年の厳しい状況においても現役競走馬頭数は増加(アイルランド)[開催・運営]


 ホースレーシングアイルランド(HRI)が2020年競馬産業統計を発表したことで、新型コロナウイルス感染拡大がアイルランド競馬にもたらした赤裸々な現実が明らかになった。現役競走馬頭数が過去5年で4度目の増加を示したこと、そして競馬開催日数が確保されたことが、多難な一年から引き出された数少ない前向きの動向であった。

 アイルランドでは3月半ばから無観客競馬が続けられてきた。そのため、入場者数が2019年から91%減少したことや、場内発売金が2019年の6,830万ユーロ(約85億3,750万円)から89%減少して770万ユーロ(約9億6,250万円)になったことは驚くに当たらない。

 賞金総額にも影響が及ぼされ、2019年から23%減少して1,600万ユーロ(約20億円)にまで落ち込んだ。スポンサー契約は約69%減少していた。

 セリの売上総額は深刻なダメージを受け、2019年の1億6,500万ユーロ(約206億2,500万円)から35%減少して1億600万ユーロ(約132億5,000万円)となった。

 しかしながら、この報告にはいくつかの肯定的な面もある。HRIは2020年に332開催日をなんとか確保した。これは2019年の363開催日の8.5%減にとどまった。

 また、アイルランドの現役競走馬頭数は2019年の8,949頭から3.3%増加して9,248頭となった。

 馬主は全体的に0.5%増加して4,080人となった。競走馬を所有する単独の馬主・共同馬主・シンジケートの数が微増し、馬主として登録している法人の数は同水準を保った。

 レーシングクラブは6%増加し、馬主維持率は73.4%となり、前年の1.5%減にとどまった。馬主維持率は、2019年に活動していた馬主の中で2020年も出走登録を行った馬主の割合を示している

 HRIのCEOブライアン・カヴァナー氏はこう語った。「現役競走馬頭数はほぼ毎年増加し続けており、これは馬主についても言えることです」。

 「馬主の方々は非常に厳しい状況にありながらも競馬産業を支援し続けてくださっており、これは回復力の証しです。馬主の方々、そしてもちろん競馬ファンを安全に競馬場に迎えられるようになるときが待ち遠しいです」。

 「馬主の方々が支援を継続してくださっていることの有難さは、あらゆる面で感じられます。それに現役競走馬の頭数は、産業内の雇用レベルと、アイルランドの農村地域における広範な経済活動に直接的に影響を与えます」。

 カヴァナー氏はこう続けた。「セリ会社が多方面にわたって優れた柔軟性を示した年でした。セリの日程や会場が変更され、オンラインでのセリが広く利用されました。これにより促進された取引もあったのですが、年末に報告された数字は予想よりも低いものでした。2021年はこの分野に重点を置くべきです」。

 「他の多くの業界と同様に、アイルランドの競馬産業と生産界にとって2020年は困難なものでした。肯定的な面もいくつかあります。しかし、実質上は、過去の年と比較をしても役に立ちません」。

 「無観客競馬が続くことは競馬場にとって大きな打撃となります。競馬場と観客のおかげで事業が成り立つ場内ブックメーカー、トート社、ケータリング業者をはじめ多くの事業者が苦難に耐えていることを認識しています。HRIとアイルランド競馬場協会は、政府によって適切と判断され、すべての人々を再び競馬に迎え入れられるようになることを熱望しています」。

 なお1月には、英国の調教師たちが2020年の賞金総額が42%減少して18年ぶりの最低水準になったという報に接していた。

By David Jennings

(1ユーロ=約125円)

[Racing Post 2021年1月29日「Kavanagh praises 'resilience' as report reveals Covid-19 impact on Irish racing」]

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