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海外競馬ニュース
2021年11月11日  - No.42 - 1

ラヴズオンリーユー、日本調教馬としてブリーダーズカップ競走初優勝(アメリカ)[その他]


 ラヴズオンリーユーは4月に香港で、日本競馬が歴史的偉業を達成するのに一定の貢献をした。そして秋のデルマー競馬場で、彼女は日本競馬の歴史的瞬間において超越した存在となった。

 ラヴズオンリーユー(牝5歳 父ディープインパクト)は総賞金200万ドル(約2億3,000万円)のBCフィリー&メアターフ(芝G1)で1番人気馬ウォーライクゴッデスと伏兵マイシスターナットを退けて優勝し、日本調教馬として初めてブリーダーズカップ競走を制したのだ。

 DMMドリームクラブの取締役である野本巧氏は通訳を介して「これまで多くの日本馬がブリーダーズカップに挑戦してきましたが、勝利はありませんでした。だからこそここで挑戦する気持ちになり、大きな勝利を手にすることができたのです」と語った。

 ラヴズオンリーユーは4月のクイーンエリザベス2世ステークス(G1 シャティン)では日本馬3頭(グローリーヴェイズ・デアリングタクト・キセキ)を従えて優勝した。この香港のG1競走で日本馬が1着~4着を独占するのは初めてのことだった。

 この香港での勝利の2週間後、矢作芳人調教師は野本氏にブリーダーズカップ遠征について打診した。その時点で確実に約束したわけではなかったが、道筋をつけ実現へとつなげた。

 矢作調教師は通訳を介してこう語った。「レースは本当にタフで激しいものでした。しかしレースの前に、私たちの馬がナンバーワンだと思っていました。まさに偉大なレースですが、彼女を信じていました。そして今や、彼女はこの偉大なレースを制したのです」。

 1⅜マイル(約2200m)のBCフィリー&メアターフで最初に仕掛けたのは米国調教馬だった。ウォーライクゴッデス(馬主:ジョージ・クリコリアン氏)に乗ったジュリアン・ルパルー騎手が、最終ターン(3・4コーナーのあいだ)で内側に6頭を見ながら上がって行き、½マイル(約800m)を47秒83、1マイル(約1600m)を1分38秒2で通過して先頭に立っていたゴーイングトゥべガスに迫りながら直線に入った。そして一気に加速してきたウォーライクゴッデス(父イングリッシュチャンネル)が直線で先頭に立ち、優位を保ったまま残り約200mの地点を通過した。

 そこに、ワヤS(芝G3)を連勝したばかりのマイシスターナットが最終ターン(3・4コーナーのあいだ)を圧倒的な勢いで追い上げてきてゴール間近でウォーライクゴッデスを交わした。しかしゴール間近で一番優れたパフォーマンスを見せたのはラヴズオンリーユーだった。川田将雅騎手の手綱さばきで終始4~5番手につけており、ホームストレッチで混雑に遭遇しても我慢し、残り100mを切ったときに隙間を見つけて勢いよく前進し勝利を手にした。

 ラヴズオンリーユーはマイシスターナットに½馬身差をつけて優勝した。勝ち時計は2分13秒87(約2200m 芝:良)。ウォーライクゴッデスは3着を確保し、その1½馬身後ろの4着に英国クラシック2勝馬ラブが入った。

 野本氏はレース後、来年のブリーダーズカップ(キーンランド)にラヴズオンリーユーを連れて行きたいと述べた。

 チャド・ブラウン調教師はマイシスターナットの頑張りとホセ・オルティス騎手の騎乗を誇りに思っていた。馬主のピーター・ブラント氏はレース前、2018年最優秀芝牝馬シスターチャーリーと凱旋門賞馬ソットサスの半妹であるマイシスターナット(6歳)は引退して、フランスで供用される種牡馬シユーニのもとに送られる可能性が高いと語っていた。

 ブラウン調教師はこう語った。「ホセは素晴らしいレースをしました。ウォーライクゴッデスについて行くというプランでしたが、彼はそれを完璧に実行しました。私はただ、『もし勝つチャンスがあるなら、彼女について行き、直線で彼女のそばを走ってください。それでうちの馬が良い具合であれば勝負してください』と言っただけです。ホセはそれを実行したのです」。

 「彼女のことをとても誇りに思います。ほろ苦いですね。生涯で最高のレースをしてくれたのに、これが最後のレースで、残念ながら彼女にふさわしいG1勝利を手にできませんでした。これまでにいくつかのつらい試練もありました。とはいえ、彼女は繁殖入りします。管理するには素晴らしい牝馬でした。彼女の仔を調教するのを楽しみにしています」。

 3着に入ったウォーライクゴッデスは連勝が4でストップし、これまで8戦して2敗目を喫した。

 ビル・モット調教師は、「彼女は最終ターン(3・4コーナーのあいだ)で少し早く動きすぎました。外に出したときにかなり攻撃的になってしまったとルパルーは言っていました。彼が抑えられないほど疾走したのかもしれませんが、それは大した理由ではありません。先頭に立つのが少し早かったのかもしれません」と語った。

 日本がブリーダーズカップでふたたび勝利を果たすのはそれほど先ではなかった。この3レース後にはマルシュロレーヌがBCディスタフ(G1)で逆転優勝を果たした。これらの勝利は、7頭もの日本調教馬がブリーダーズカップに参戦した週末を際立たせた。

 日本中央競馬会(JRA)の宇野高宏氏はレース前にブリーダーズカップはとても親切な受け入れ体制をとってくれたと述べ、こう語った。「世界で最も権威のある競馬祭典の1つ、ブリーダーズカップにこれほど多くの日本馬が出走するのを目にするのは大変喜ばしいことです。馬は近年では世界中を遠征して、権威あるレースに参戦しています。日本馬も例外ではなくカーゴに乗って移動し世界中の強豪馬に挑んでいます」。

 「そうは言っても、これほど多くの日本馬が一度に米国に遠征してくるのをこれまで見たことがありません。それゆえJRAだけでなく競馬ファンや日本の競馬関係者にとっても、とてもエキサイティングなことです」。

 ラヴズオンリーユーは日本調教馬として初めてブリーダーズカップ競走を制したが、日本産馬としては2頭目である。フランスで調教された日本産馬カラコンティ(父バーンスタイン 母サンイズアップ 母父サンデーサイレンス)が2014年BCカップマイル(芝G1 サンタアニタパーク)を制している。

 ノーザンファームで生産されたラヴズオンリーユーの母は未出走のラヴズオンリーミー(父ストームキャット)であり、2016年ドバイターフ(G1)優勝馬リアルスティールやステークス勝馬プロディガルサンも送り出した。デインヒルダンサーの仔を受胎したラヴズオンリーミーはレーンズエンドにより2009年キーンランド11月繁殖セールに上場され、吉田勝己氏により90万ドル(約1億350万円)で購買された。
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By Frank Angst

(1ドル=約115円)

[bloodhorse.com 2021年11月6日「Loves Only You Wins BC Filly & Mare Turf for Japan」]


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